ワークライフバランスのとれたブラック企業

ブラック企業については、これまでもいくつかの記事で私の考えをお伝えしてきました。現状では言葉の定義があいまいで、定義されていたとしても判断が主観的による内容(例:ブラック企業とは若者を使い捨てる企業である)であることが非常に多くなっています。ですから、私は「各自が自分なりのブラック企業の定義を持つこと」がまずは重要だと考えています。その上で、ブラック企業に就職しないための方法や見極め方を考えるべきです。
 

【参考記事】
湘北高校はブラック企業である
ブラック企業を怖がることの恐怖
ホワイト企業
 

その結果、当然ながらひとりひとりブラック企業の定義は異なります。私にとってのブラック企業が他の人にとってはホワイト企業である可能性も十分にあるはずです。ただ、Twitterなどをみているとブラック企業批判をしている方々の多くは「残業代が支払われない」「業務時間が長い」ことをブラック企業の判断基準としている気がしています。
 

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ブラック企業と対比で使われることはありませんが、最近では「ワークライフバランス」という言葉もあります。では、質問です。ワークライフバランスのとれた企業はブラック企業ではないのでしょうか?
 

私はなんとなく、ワークライフバランスがとれていれば、ブラック企業ではない気がしていました。ブラック企業というと夜遅くまで残業代も出ないのに働く職場、一方でワークライフバランス企業とは定時出社定時退社の残業なし、土日出社もなしというイメージです。
 

しかし、ブラック企業もワークライフバランス企業の働く時間だけに注目をしていていいのでしょうか。往々にして楽しい時間は短く、退屈な時間は長く感じます。ですから、業務時間の中身を見る必要もあるはずです。
 

私が行った早期離職者100人インタビューの中でこんな人がいました。大手電機メーカーの関連会社に就職したTさんは上司とケンカしたことがきっかけで営業部から別の部署へ異動となりました。仕事内容は雑用。ドラマ「ショムニ」のような部署です。仕事は暇すぎて「ない」という状態で、残業もありませんから定時出社定時退社です。それでも大手メーカーの関連会社ですから、生活が苦しいような薄給ではありませんし、会社の寮もあります。しかし、彼は1年半ほどで会社を辞めます。「この会社にいても自分に明るい将来はない」ことを悟ったからです。
 

この会社はブラック企業ではないのでしょうか?ちなみに、Tさんは「あの会社で働くことは誰にも勧められない」と言っています。
 

また、直接話を聞いたわけではありませんが、定時出社定時退社だけど業務中はひたすらテレアポでノルマを達成できなければなぜできなかったのかの反省文を書かされるという(噂の)会社もあります。会社名を検索すれば予測検索で「〇〇 ブラック」というキーワードが出るくらいの会社です。この会社は業務時間だけで見ればワークライフバランスのとれた企業とみることもできるのではないでしょうか?しかし、離職率は大変高いと聞きます。(公表数字なし)
 

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実は昨年、私は株式会社ワークライフバランス社が発行する認定ワーク・ライフバランスコンサルタントの資格を取得しました。同社はワークライフバランスに関してはとても有名な企業で、多くの企業のワークライフバランス推進のサポートをしています。同社の考えるワークライフバランスとは残業ゼロでもなく、完全週休二日制でもありません。ワーク(仕事)の活動がライフ(私生活)を豊かにし、ライフでの様々な経験がワークでの自由闊達な発想や能力開発にも寄与するという“ワークライフシナジー”という考え方です。
 

この考え方には私も非常に共感できました。「ブラック企業」という言葉の定義を「若者を使い捨てにする企業」とするのであれば、超長時間労働だけども、本人の能力が大きく伸びる会社はブラック企業ではないということになります。実際には多くの優秀な人材を輩出している企業でも、超長時間労働に耐えきれずにうつ病になって辞めていく人もいるのですが。。。
 

一方で、いまだに残業時間や業務時間ばかりに執着してブラック企業やワークライフバランスを語る人も少なくありません。残業代を支払うのは企業として当然のことであり、業務時間も労働基準法の範囲内であることは大前提ではありますが、「ブラック企業」や「ワークライフバランス」という視点で企業を見るとき、その言葉だけに踊らされるのではなく「そこに自分の望んでいるものはあるのか」を考えること、もしそれが難しければ「そこで予想されることは自分が受けいれられることなのか?」を考える必要があります。
 

ちなみに、私はワークライフバランス社の社員の方に「自分は定時出社定時退社とか絶対イヤです。自分の好きな時間に仕事したいです」とお伝えしました。それでも同社の方とは仲良くさせていただいています。一見良さそうな言葉の状態が、万人にとって居心地がいいなんてことはないんです。

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