ニュージーランドに行ったことで見えてきた、日本のお母さんって実はすっごく生きづらいんじゃないかという話

はじめまして、内藤ゆりかです。日本の大学で乳幼児教育を勉強していましたが休学し、ニュージーランド(以下たまにNZ)にワーキングホリデーに来ています。
 

ニュージーランドの教育や保育が日本で注目され始めていると聞いて、この国を選んだのですが、来てみてビックリ!日本にいた時から感じていた「日本のお母さんたちの生きづらさ」が自分が思っていた以上のものなんじゃないかと感じるような「子育てのギャップ」を目の当たりにしています。今日は、私が現地で見たこと、知ったこと、そこから見えてくる日本のお母さんの大変さについて書いてみます。
 


 

ニュージーランドの女性

 

そもそもNZは世界で初めて女性参政権が認められた国でもあり、女性の社会的地位が確立されていて男女間の格差も小さく、女性が住みやすい国なのではないかと感じます。世界経済フォーラムによる世界144ヶ国を対象とした「ジェンダーギャップ報告書」においても、男女格差の少ない国ランキングで9位にランクインしています(日本は114位)。
 

そして「お母さん」はというと、家庭ではいい意味で「楽をする」という特徴があります。
 

食事が1番の例かもしれません。私の元ホームステイ先では毎晩(盛ってません、毎晩です)ファストフードのハンバーガーやピザ、NZの国民食フィッシュ&チップスのオンパレードでしたし、テイクアウト文化が浸透しているので「外で買ってきた食事」は当たり前になっているようです。
 

さらに子どものお弁当も、パスタ・ジャムサンド・フルーツ・生野菜のスライス・ビスケット・ポテトチップスなどを詰め合わせた非常に簡単なもの。保育園の給食ですら生野菜のスライス2種類に小指サイズの小さな春巻きだけ、など。驚くほどシンプルですよね。それでもNZの子どもたちはすくすく育っているようです。
 

ニュージーランドのお父さん

 

さて、家庭のことを行うのはお母さんメインではありません。実はニュージーランド人男性のことを”Kiwi Husband”と呼ぶのですが、これは国鳥のKiwiに由来し、メスが卵を産みオスが子育てをするというKiwiのライフスタイルからそう名付けられたという説があります。
 

その由来の通り、ニュージーランドのお父さんは妊娠・出産・授乳以外の家事や子どものことを当たり前に行います。未就園児の昼間のお世話、園や学校の送り迎え、食事作りや片付け、家の掃除から庭仕事、日曜大工など、働くお母さんと多岐に渡って分担しているようです。
 

実際に、私のボランティア先の小学校や保育園ではお父さんが送り迎えに来ることは全く珍しくありませんし、なんと両親揃って来るご家庭も!平日昼間のプレイセンター(親が子どもを連れて遊びにくるところ)にもお父さんが何人かいます。男女父母関係なく、仕事も家事もそれぞれのライフスタイルに合わせて柔軟にこなすことができるようです。
 


 

94%が疲れている!日本のお母さん

 

一方で日本のお母さんたちはどうでしょうか?「日本のお母さん」と聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?
 

大変そう、忙しそう、子育てと家事の両立が難しい、保育園が見つからない、孤独…。私は日本にいた時に子どもの遊び場のスタッフとして、主に乳幼児の子どもがいる様々なお母さんたちと関わっていた経験がありますが、ニュースで取り上げられるような問題や課題は身近にもやはり多く、「お母さんってなんて大変な仕事なんだろう」と感じていました。
 

フジ医療機器による「第7回 お母さんの疲労事情と解消法調査」によると、子どもを持つ全国1,668名の女性の94.0%が普段から「疲れ」を感じているという調査結果が出ています。
 

どうして日本のお母さんはこんなにも疲れているんでしょうか?
 

日本のお母さんを苦しめる「神話」

 

今では否定されることが多いものですが、「女性は子どもを産めば母性が芽生え、家事や育児を完璧にこなし、さらに夫を献身的に支えるもの」といったような日本特有の意識に苛まれているお母さんは多いように思います。このような意識を「母性神話」と言います。また「三歳児神話」というものもあり、こちらは「3歳までは(保育園などに預けず)常に母親が側におり母親の手で子どもを育てるのが子どもの発達にとってよい」というものです。
 

どちらもすでに科学的に否定はされてはいるものの、共働き世帯よりも専業主婦の方が多かった世代の方の間ではこれらを信じている方は多いですし、子育て中の世代でも潜在的な部分で男女ともに未だに根強くこれらの考え方を持っている人が多いと感じられます。
 

実際に、旦那さんのスーツを出しておかなくて怒られたというお母さんや「保育園に子どもを預けてまで働くなんてかわいそう」と義母に言われたお母さんを何人も見てきましたし、お母さん自身も知らず知らずのうちに潜在的なその意識にとらわれているようです。
 

NZの食事の例を挙げましたが、日本では「お母さんが手をかけて栄養バランスのとれた食事をつくる」というような意識がどこかにあるのではないでしょうか。「幼稚園のお弁当で冷凍食品、加工食品禁止」という話題が出たこともありましたよね。たしかに毎日ジャンクフードでは健康的に成長することはできませんが、多少手を抜いても人間は育つものだと思います。
 

さらにこの神話は社会にまで影響を及ぼしています。日本総研による男性管理職へのアンケート調査からは、女性登用に賛成している男性管理職ですら約6割以上が「女性は仕事をせず子育てに専念すべきだ」「家事・育児は女性の方が適しており、経済的責任を負うのは男性である」と考えているという結果が出ています。
 

女性の社会進出が推進されているにも関わらず、それぞれの中の潜在的な「神話」が阻んでいることもあるようです。
 


 

お母さんが楽しく子育てできるようになるヒント

 

ニュージーランドと日本のお母さん、育児、そして社会の違い、いかがでしたか?
 

やはりお母さん1人で家事育児を負担するのはとても大変なことだと思います。かといってお父さんはフルタイムで朝早くから夜遅くまで仕事をするのがまだまだ当たり前の日本で「ニュージーランド人のように父親はもっと母親を支えろ!」「イクメンになれ!」というのも全くもって無理な話です。
 

それでも、そんな現状を心苦しく思っているお父さんたちもたくさんいるのではないでしょうか?
 

男女の別なく働き方を見直しそれぞれが自分の価値観で働くことができるようになれば、日本人はもっと自分を、そして家族を大切にでき、さらに一人ひとりのライフスタイルを理解、受容できるようになるのではないかと感じます。
 

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内藤ゆりか