100回のエッチで最低3回の失敗。コンドーム、ちゃんと着けられますか?

コンドームを着けた状態での避妊の失敗率って知っていますか?実は3%〜15%もあると言われています。つまり、100回のエッチで、最低3回は失敗するということ。
とはいっても、コンドームを完璧に着ければ、避妊の失敗率は3%ほどに抑えられるとポジティブに考えてみたとき、あなたは正しい装着方法で、理想的に、かつ完璧にコンドームを着けられる自信はありますか?コンドームの正しい着け方なんて、学校じゃ教えてくれません。
もし、着け方を失敗したら?そして、相手が妊娠してしまったら?思いがけない妊娠は、とりわけ女性の環境や人生プランを大きく変えてしまうもの。生きづらさを予防できるなら防いだほうがいいのは当たり前のこと。男性にとって、大事な役目なんじゃないでしょうか?

 

中学校や高校の性教育では、コンドームの着け方を教えることに対して、及び腰な事例が多くあります(及び腰な事例、理解や危機感を持って積極的な事例、学校により実情は様々です)。及び腰の理由は「コンドームの着け方を学校で教える=コンドームをつければセックスしてもいい」と学校が生徒に向かって言っていることになるから、だそうです。中高生はセックスなんて触れる機会がないから知らないし、知らないものはしないはずだという理屈です。うん、違和感。
個人差はありますが、10歳(小学4年生)くらいから「第二次性徴」というものが始まって、心や身体が大人になる準備を始めます。このとき、男性も女性も生殖の能力が身体に備わります。男性の精子の生産が一番盛んな年齢は18~19歳ごろと言われています。10代はそこに向けて上り調子の時期=ヤリたい盛り(性欲のピーク)なわけです。女性も性的なことに興味が出たり、恋人ができて親密な関係になりたいと思ったりする時期でもあり、そんな時期にセックスが起きても不思議なことはありません。
性教育はセックス教育でもなければ、セックスを奨励する教育でもありません。人間関係を学ぶ機会(デートDV予防などにつながる)、他者を尊重することを知りコミュニケーションを学ぶ機会、避妊や性感染症予防などの健康とキャリアプランに関して学ぶ機会などであり、総じて言うならば、生きる上で基礎的なスキルを学ぶ機会です。性教育を広い視野で捉え、実施する機会を作っていただきたいものです。それが若い世代の性交開始年齢を遅らせることにもつながります。
妊娠・出産・中絶に関する心身のリスクの大半を引き受けるのは女性です。1億円払ったって、籍を入れたって、男性には責任なんて取れません。やんちゃするのがかっこいいとか、セックスを経験していることが大人みたいでかっこいいと思う気持ちは分からなくはないけれど、その価値観、ホントは厨二っぽくてダサいのでやめた方がいいと思います。
セックスが下手だろうと、経験人数が少なかろうと、自分の行動に責任が取れるひとと、自分に厳しくて他人に優しいひとが、一番大人で一番かっこいいものです。これは避妊に対する考え方も一緒です。

●避妊に関する話① コンドームを使う
男性が積極的に使える避妊法はコンドームをつけること。正しい付け方、皮の処理とか、案外知りません。
コンドームの正しいつけ方 byピルコン&Link-R

コンドームの正しいつけ方 byピルコン&Link-R(年齢制限解除版)

●避妊に関する話② ピルを飲む
そうはいっても、コンドームを使った場合の避妊の失敗率は3~15%。ゴム製品だし、破れたり外れたりすることも心配。女性が自分でできる避妊法としてピルを飲むというのがあります。1日1錠毎日飲むことで90%を超える避妊効果がある薬です。他にも、肌つやがよくなる、生理が軽くなるなどの良い副作用もあります。
「ピル」と聞くとよくないイメージを持つ人もいるかもしれませんが、子宮内膜症など女性特有の病気の治療に使われる薬でもあり、危険なものというわけではありません。コンドームとピルを併用することでより確実な避妊になります。
●避妊に関する話③ 緊急避妊
女性が「ピルを飲む」と決めなければ使うことはできません。コンドームだけの避妊でセックスして、コンドームが外れた・破れた!なんてことがあったらパニックです。
そんなときには緊急対応の方法「緊急避妊」があります。緊急事態(外れた・破れた)から72時間以内に薬を飲むことで、高い確率で避妊ができるようになるというもの。ただし、この薬は産婦人科の病院で処方してもらわないと手に入らない+値段が高い(18,000円程度。保険が効かないので病院によって価格が違う)です。また、これは緊急対応のための最後の手段なので、いつも使っていい避妊法ではないことは頭に入れておいてください。
●避妊に関する話④ セックスしない
どんな避妊法も100%確実なものはありません。そのなかで、唯一絶対に妊娠する心配のない選択肢。それが、「セックスしない」というもの。好きな人がいたら、相手に触れたい、親密になりたい、セックスしたいと思うのは、何もおかしいことではなく自然なこと。それでも、「今はまだ早いんじゃないか」「セックスが怖い」「何かあっても責任取れない」と思う人もいると思います(そういう相談も時々受けます)。欲に身を任せて無茶に突進する前にそういう躊躇ができることは素晴らしいです。
セックスをためらうことも、セックスを経験したことがないことも、恥ずかしいことではありません。遅れているなんてこともありません。ひとりひとり人生の歩み方が違うように、いつ誰とセックスするのかも違って当然です。自分で選んで、後悔や苦悩をしない選択を掴み取ることが大事です。セックスしない選択をすることも前向きな選択ですし、そういう選択ができるカップル関係もステキなものです。

●セックスっていつからしていいの??
コンドームを買うのにもピルを手に入れるのにもそれなりの金銭的なコストはかかるわけで、一定の安心のもとにセックスをするのにはそれなりのお金がかかるものなのだということははっきり言っておきたいと思います。
妊娠を望んでいないのに避妊をおろそかにすると思いがけない妊娠が起こる可能性があるので避妊はちゃんとした方がいいですよという話で、これは生殖が可能な男女がセックスをする場合のものすごく基本的な理(ことわり)と言ってもいいくらいです。
「いつからセックスしていいの?」という問いに関して色々な意見はあると思いますが、私は「単に年齢が成人しているというだけではなく、何が起こっても責任持てる状態かどうかが大きなポイント」と常々言っています(責任を取りきれないことはあるかもしれませんが、逃げずに責任を持つことはできると思います)。
という話を噛んで含めて考えてみると、避妊にはお金がかかるものの避妊するのは自分のやることに責任を持つという点でとても大事なことということになります。自分の身体も気持ちも相手の身体も気持ちも大事にできるのが成熟した人間関係で、それは日常においてもセックスにおいても変わりません。

記事をシェア

この記事を書いた人

柳田 正芳

1983年神奈川県生まれ。大学時代に「大学生が大学生に性の知識を届けるインカレ団体」の事務局長。卒業後、一般企業での就業を経て紆余曲折ののち、大学時代の経験をもとに「若者の性のお悩み解決をする団体」を起こす。活動を進める中で「日本の男性の生きづらさ」に気づき「男だって生きづらい」を解決する活動も立ち上げたり、産婦人科の病院や自治体で「夫婦のコミュニケーション」をテーマにしたワークショップの講師業などもおこなっている。