プラス・ハンディキャップに関わって3年。はじめて「俺、この人と同じかも」と思った。

私は「Plus-handicap」創刊直後からライターとして関わり、現在は一般社団法人プラス・ハンディキャップの理事も務めている、プラハン最古参メンバーのひとり。でも、正直いって、今までどんな障害の方や難病の方の話が出てきても、どこか他人事に感じていました。「だって俺、健常者だし」みたいな。
 

その感覚をあまりにこじらせすぎて「普通すぎて生きづらい?」なんて記事を書いて炎上したこともありました。
 

そんな私がはじめて「自分もこの人と同じ病気かも?」と疑ったのが、8月16日の澤橋さんのコラム「マルファン症候群という難病をご存知ですか?~突然死のリスクと向き合うガリガリ兄ちゃん~」です。
 

上記のコラムの中に書かれているマルファン症候群の外見上の特徴のうち「親指と小指の輪っかで手首が一周できるくらい指が長く手首が細い」「漏斗胸」「猫背」は見事に私に当てはまっていたのです。また、高身長で四肢と指の骨格が人より長いというのも、半分くらいは当てはまります。私は身長は175cmなので高身長というわけではありませんが、手足が細長く、特に腕が細長いのは今でもちょっとしたコンプレックスです。ちなみに小学校3年生とか4年生の頃のあだ名は「ガリガリマン」でした。
 

私の「手」。下に敷いてあるのがA4のノートです。身長に比べて手は大きいです。
私の「手」。下に敷いてあるのがA4のノートです。身長に比べて手は大きいです。

 

澤橋さんのコラムが掲載された日の夜は理事メンバーでチャット会議だったのですが、思わず私は
 

「話しぶった切りますが、さっきの澤橋さんの記事を読んで自分もマルファンじゃないかとビビってます(笑)」
 

と打ち込んでいました。
 

プラス・ハンディキャップに関わって3年以上。はじめて「自分もこの人と同じかも!」という記事が現れたのです。普通なら心配になる人が多いのかもしれませんが、私はなぜかものすごく嬉しく感じました。「自分も普通じゃないかも!」という喜びです。
 

20160903
 

マルファン症候群は見た目の問題ではなく、コラーゲンを生成する力が弱いことで、大動脈解離が起こる危険性が高い、死に至る可能性もあるという点が恐ろしいということです。理事メンバーには診察してもらった方がいいのでは?と言われましたが、個人的には診察せず、今のままでいいかなと思っています。
 

幸いにもこれまでの健康診断で異常が見つかったことはないですし、8年くらい前に原因不明の胸の痛みがあったときに心臓周りを詳しく検査したのですが異常はなく(心因性という診断)、今も何ともありません。これまでフルマラソンも10回以上完走して、今も年に1,2回はフルマラソンを走っているくらいなので、一般的な水準でいけば健康そのものです。
 

澤橋さんにお会いする機会があれば「澤橋さんのコラムを読んで、自分もマルファン症候群かもと思ったんですが」と聞いてみたいと思います。
 

自分はもしかしたらこの病気なのかもしれない?と思えたことは、今後の人生においてもプラスだと思っています。何か突発性の痛みなどに襲われた時に「マルファン症候群かもしれない」と医師に伝えられるだけでも、そこから詳細の検査をしてもらえるかもしれません。
 

世間には数多くの病気や障害などがあり、そのすべてを知っているひとはほとんどいないでしょう。だからこそプラス・ハンディキャップのような場所で”なかなか知らないリアル”を発信していく意義があるのだと思いますし、そこから得られる情報が予防や対処につながるのかもしれません。3年以上経って、プラス・ハンディキャップの意義を再確認することができました。
 

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この記事を書いた人

井上洋市朗

「なんか格好良さそうだし、給料もいいから」という理由でコンサルティング会社へ入社するも、リストラの手伝いをしてお金をもらうことに嫌気が差し2年足らずで退職。自分と同じように3年以内で辞める若者100人へ直接インタビューを行い、その結果を「早期離職白書」にまとめ発表。現在は株式会社カイラボ代表として組織・人事コンサルティングを行う傍ら、「生きづらい、働きづらい環境を変える方法」についての情報発信を行っている。