エグモントホイスコーレン探検隊。デンマーク留学記⑤

この連載は「ワカラナイケドビョウキ」という不思議な病気になり障害をもった私が、ノーマライゼーション発祥の国デンマークに留学する1年間の放浪記です。デンマークでゴロンゴロンでんぐり返しをしながら「障害ってなんだろう」と考えます。
 


 

日本でいうと九州ほどの面積しかないデンマーク、その第二の都市オーフスの程近くにあるオダー市。海沿いの小さな田舎町です。
 

そこにあるのが、私が通うエグモントホイスコーレン。この学校が、どんな建物なのかというと、青い空の下に建つ、この現代的な大きな建物。ドンッ。
 


 

この学校はとってーーーーも広い。200人の在校生が全員住む寮やキッチン、市民に開放しているジムやプール。学生が家族やゲストを呼ぶためのティーハウス(コテージ)もある。
 

学校内の地図を見てみただけでは、どこに何があるのかさっぱりわからない。
 

学校内に掲示されている特大地図

 

最初に来た頃には、間違えて紛れ込んでしまったのかと思うほどオロオロ。
 

学校に来て1ヶ月経ち、ようやく今自分がどこにいるのかわかるようになってきました。でも、いまだに授業で移動するときに迷う。オロオロ。
 

おおまかに説明すると学校内の施設はこんな感じ。

①校舎
②学生寮
③職員寮
④ゲストのためのティーハウス(コテージ)
 

①校舎
 

校舎のエントランスに入ると目の前に大きなプールとトレーニングジム。ここは市民利用可。ウォータースライダーなどもあり、週末には近所の子供たちが来て、プールで泳いでいます。そのプールを通り過ぎると奥には体育館や食堂、小教室や音楽室、美術室など、主に学校生活で利用する施設がつづきます。
 

体育館。この日は車椅子サッカーをしていました。

 

特別な日は体育館がパーティー会場に早変わり

 

体育館でワインを飲むなんて……
なんか悪いことをしてるようでワクワク

 

デンマークでは何もしない「ヒュッゲ」という習慣があります。ただボードゲームをしたりお喋りしたり、ひなたぼっこしたりする、そんな時間を味わいます。
 


 

②学生寮
 

さらに校舎の奥へ進むと寮棟。寮室はおよそ100部屋。
 

寮棟の廊下

 

障害のある学生はリフトやシャワーチェアなど特別な設備が必要なため基本的に一人部屋。障害のない学生は二人一部屋の相部屋です。部屋割りは学校側が考えるため、学生は入学の日に自分の部屋やルームメイトを知ります。半年間一緒に暮らす友人は、たぶん一生の友達。お部屋の中にはそれぞれのドラマがあるのです(気分は現代版ハリーポッター)。
 


 

お部屋のなかはこんな感じで、バストイレつき、家具備え付け。部屋のタイプや設備は様々です。
 


 

シャワーチェアつきのお部屋のバス・トイレ。必要な福祉用品は学校にあれば貸し出してくれて、なければDIYの授業のときに自分で作ってみるのです!
 

③職員寮
 

校舎と学生寮の入っている建物を抜けると裏庭がドーン。
 

裏庭の写真。右の赤い棟がアシスタントティーチャーの寮。

 

そこに建っているのが、職員の寮。基本的に先生方はご自宅から通っているので寮には住みませんが、アシスタントティーチャーと呼ばれる卒業生からなる一部の先生方などは学校内の寮に住んでいます。
 

デンマークの人は赤が大好き

 

④ティーハウス(コテージ)
 

裏庭の芝生をずんずんと通り抜けると、徒歩30秒ほどで海岸が。その海岸沿いにティーハウスもあります。ここは学生が呼んだ家族やゲスト、日本から短期研修でくる団体など研修団体もよく使っています。海の近くのコテージなんて、もはやリゾート地。うっとり。
 

看板にはティーハウスの表示が。

 

おおまかですが、こんな学校で生活しています。これ以外にも海岸の近くにはサウナがあったり、バスケットボールができるスペースがあったり、子供たちが遊べる公園があったり。学校というより、ひとつの村。コミュニティで一緒に生活することによって、社会性を学び、自分の人生について考えています。
 

ここに来てから学校全体が全員親戚みたいなかんじ。とりわけ人との距離感がとっても近いデンマーク人。朝は「God morgen(ごも~ん)」おはようと言ってハグ。ぎゅ~。友人同士でも、男女問わず手を握り合って喋ることもしばしば。
 

最初、手を握り合って話している学生を見たとき、「恋人同士かな?」と思って他のデンマーク人の子に聞いたら「ちがうよ、デンマーク人はただ喋る時距離が近いだけだよ~」とのこと。
 

だからか。デンマーク人の男の子が英語に通訳してくれる時、耳に息がかかるくらい距離が近いからわたしのことが好きなのかと一瞬思ったが違ったのか。くそっ。いっときの夢を見せてもらったかと思って心の中にしまっておこう。
 

なぁ~んて思いながら……でもそのほがらかで暖かい国民性と、村のような学校の雰囲気で、もっと皆と仲良くなれたらいいなぁ。
 

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この留学は、ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業第36期研修生として行きます。ミスタードーナツに行くとレジの横に置いてある募金箱。全国の皆様の応援で行かせて頂きます。
 

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この記事を書いた人

Namiko Takahashi