障害を笑いに変えてもええんちゃうの?

最近、テレビで障害のことをネタに笑いをとる企画も出てきてはいるものの、日常生活においてはまだまだ障害のことを笑いにするのはタブーとされているように思います。私が障害特性を説明するとき、笑わせようと思ってあえて自虐ネタを入れて話すときがあるのですが、相手の表情が固まるのがほとんど。「障害のことを笑ってはいけないのでは?」と変に気を遣われ、お互いに重い空気が流れることもあります。
 

健常者が同じような自虐ネタやったら笑ってもええんかいな?なんで障害者が自虐ネタで笑わそうと思ったら遠慮されるんやろ?

 

そんなモヤッと感を私は抱えてしまいます。頭がハゲているお笑い芸人がハゲネタやってどっと笑わせたらおいしいなって思えるのに。ネタが障害になるとなぜおいしいと思えないのだろう。
 

障害ネタは感動オンリーなの?

 

そんな疑問が沸いているところにこの動画を見つけました。
 

[ted id=2017]

ステラ・ヤング: 私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく
 

TEDxSydney2014にてコメディアン兼ジャーナリストのStella Young(ステラ・ヤング)氏がスピーチした内容です。「感動ポルノ」という言葉で一時期ネット上でたくさんシェアされていましたが、私はこの動画を見てやっと疑問が解けました。
 

あぁ、障害ネタって健常者にとっては『笑いの対象』じゃなく『感動の対象』やったんや。「障害者の話=感動話」というのが世の中の認識やったんや。

 

私は仕事の合間をぬって講演活動もさせていただいております。講演の打ち合わせで依頼先からテッパンで出てくるのが「聞いてる方たちを感動させられそうですね。」というセリフ。「あぁ、また出てきたよ」と思いつつその場はにこやかに聞き、すかさずこうツッコミを入れます。
 

「感動を求めてはるんでしたら、違う方に講演を依頼されたほうがよろしいのではないでしょうか。私はしがない障害者なんで感動なんてとてもとても。せいぜい呼べても笑いだけですよ(笑)。」

 

重く堅苦しいことも、感動を呼ぶことも苦手な私。同じ話すなら思いっきり笑い飛ばしてほしいと思っています。笑ってくれたらおいしいなと思えるので。
 

20160818①
 

障害ネタを笑いにする難しさ

 

しかし、障害ネタを全部が全部笑っていいものだって言えないことも事実としてあります。一番最初に書いたコラムを最近読んだ方から直接感想をいただきました。その方の承諾を得て、一部掲載させていただきます。
 

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東田さんこんにちは。コラムを拝見させていただいて思うことがありメールさせていただきます。(中略)タイトルを「発達障害と診断を受けるまで、自分を「宇宙人」だと本気で思っていた。」としたのは笑わそうと思ってでしょうか。どうしてそんなタイトルをつけようと思ったのか私には理解に苦しみます。障害のことを笑いのネタにすることで傷つく方もたくさん出ると思います。私は息子が発達障害ですが、息子が笑われるのはすごく傷つきます。この記事を読んで息子のことを笑われているようで傷つきました。(以下略)
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このメールをいただき、障害を笑いのネタにすることの難しさを痛感しました。私がタイトルに宇宙人と入れたのは笑いのネタにするためではなく、診断を受けるまで自分が宇宙人だと本気で思っていたからですが、文章の受け取り方は人それぞれ。読み手の立場によって笑いに変換できないことも起きるのだと認識させられました。笑いに変換するのは相手との関係性が築けてないと難しいのかもしれません。
 

20160818②
 

どうすれば障害ネタで笑わせることができるのか?

 

先ほどのメールで障害ネタを笑いにする難しさを痛感したと同時に疑問も新たに出てきました。
 

じゃあ、障害のことを不快感なく笑いに変えるにはどうすればいいねんやろ?

 

障害のことを話すと重い雰囲気になる理由を私なりに考えてみました。

*無理に明るく持っていこうとしていると思われている
*障害のことを気にしていないフリをしてるのではと勘繰られている
*障害のことを笑うのはタブーだと子どものときから刷り込まれている
*笑うことで相手のことをバカにしてしまうのではと思っている
 

こんなもんでしょうか。ただ健常者にも日常があるように、障害者にも日常があります。健常者の日常ネタで笑うことがあるなら、障害者も日常ネタで笑うことがあってもいいはずだと私は考えています。ですので、私が講演するときには最初に、
 

「私は堅苦しいのが苦手です。どうぞ楽に聞いてください。そして笑いたくなったら遠慮なく笑ってください。笑ってくれるほうが緊張ほぐれますので。」

 

と話しています。相手に遠慮をさせないように自分から持っていくことが大事かと思います。
 

生きづらさを解消する薬・笑い

 

障害を抱えることで生まれる生きづらさは正直あります。でも笑い合えることで生きづらさはある程度解消されるのではないでしょうか。障害を笑いに変換することで良好な人間関係を築くことができたら、生活しやすくなるのではと思います。
 

あ、私が障害のことで自虐ネタしてるときはどうぞ素直に笑ってください。よろしくおねがいします。
 

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この記事を書いた人

東田愛子