誰かに補ってもらって成り立つ発達障害から、自立する発達障害へ

「お前は仕事を頼むと120%、200%を目指してやってくれる。でも、周りがついてこられないから80%、60%の状態でいい」
 

私が、自分は発達障害であると伝えると、相手の反応はさまざま。
 

「甘えるな」「ツラい人はほかにもいる」もあれば「そんなものはない」と返す方もいる。ただ、あまりそれはツラいことではないです。
 

最もツラいのは仕事で衝突したとき、「あの人は違うから…」と理由にされて腫れ物扱いに変わること。そんなこと仕事には関係ないんですが、そう思われてしまうのもなにか理由があるんだろうと。
 

20160815①
 

「自分は○○障害なんで!」
「私には見えない障害がある」
 

仕事をしていて、発達障害を「できない理由」として語る方もいるんだなと気づきました。「できない理由」として語る方がいるなら、エキセントリックな反応をする方、腫れ物扱いをする方がいてもおかしくはありません。
 

発達障害は、例えば国語と社会以外は0点みたいな状況になりやすいものです。英語・数学・理科はほとんどできないけど、国語と社会だけはクラスの誰も勝てないほどの成績を取っている。そんな感じ。
 

「お前は仕事を頼むと120%、200%を目指してやってくれる。でも、周りがついてこられないから80%、60%の状態でいい」
 

冒頭のこの言葉は、昔勤めていた会社の先輩に言われたことでした。当時の私は「ついてこられないヤツが悪い」と考えていましたが、今は違います。得意とする仕事や業務が飛び抜けていても、その他で重要な仕事や業務が抜け漏れていれば、周りが補わないといけない。きっと先輩は、私のそんな抜け漏れを補っていてくれていたんだと思います。
 

「ついてこられないヤツが悪い、じゃあなぜついてこられないのか」
 

それは私が考えていないことを他の方々は考えているからなのかもしれません。
 

20160815②
 

国語や社会で100点がとれるのは、ほかの教科をやっていないから。実はこれ、誰でもできて、自慢できることではないのかもしれません。
 

先輩は私を含めて、後輩たちの面倒を見ている。上司や社長にも「改善するべき」と言っているし、それを聞いてもらえる信頼も持っていました。当時の私は「バカを相手にしてもしょうがないですよ」と偉そうに言っていたものです。
 

一教科以外0点に近い私に対し、先輩はすべての教科で平均より5点上を目指している。発達障害がわかった今、彼を目指すのがベストだと考えています。
 

そう意識していても、得意なことで不得意なことを誤魔化そうと自分が流されてしまうこともまだあります。ただ、流されたときには確実に自分を信頼してくれていた友人や仕事仲間がひとり去って行く…。
 

発達障害だと気づいて最も良かったのは「「自分には不得意なことがある=バカは自分だった」と気づけたこと。得意なことは勝手に伸びる。不得意なことは努力や工夫をしないと埋められない。
 

発達障害も含めて、当時の私みたいに誰かに補ってもらわないと成り立たない状態は、一見自信があるように見えても不安定で、ちょっとしたことで崩れていく。不得意を埋めていき、自立を目指していけば、安定していくのではないでしょうか。
 

いま僕が仕事で苦言を呈するときは、「あの時の自分みたいだ」と感じたときです。僕も先輩以外の言葉は腫れ物に見えていましたが、先輩のおかげでいま腫れ物はありません。
 

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この記事を書いた人

山川 譲