【発達障害の方へインタビュー】発達障害と診断されて前進した人生〜グレーゾーンという価値を認められる生き方〜

■今回のインタビュー記事の掲載について
 

Plus-handicapでは、株式会社よりよく生きるプロジェクトと連携して、過去に生きづらさを抱えていたけれど、現在では前向きに生きられていると感じている方々へのインタビュー記事を全5回掲載します。生きづらさを感じている人へのヒントとなり、また、生きづらさについての理解が深まればと考えております。
 

最終回となります今回は、発達障害の方へのインタビューをご紹介いたします。
※インタビュー内容をそのまま掲載できるように、名前はイニシャルにしています。
 

ケース5:発達障害Eさん30代

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インタビュアー:織田 昇(よりよく生きるプロジェクト カウンセラー)
 

織田カウンセラー(以下、O):今日はよろしくお願いします。Eさんは発達障害とお伺いしました。これまでと現在の状況を教えて頂いてもいいですか?
 
 
 

Eさん(以下、E):大学院を卒業後、広告系の会社で人事課に所属し、給与・社保関係の仕事をしています。社会人3年目で、障害者枠での入社です。契約社員から正社員にもなれました。
 

障害は広汎性発達障害とそううつ病です。小さな頃には、服を自分で着やすいように自分で切ってしまうなど、発想が周りの人と違うことで、両親を困らせていました。20歳の時にうつ病、その後にそううつ病と診断されましたが、この時はまだ、発達障害と認定されていませんでした。
 

当時、人間関係に悩み、体が動きませんでした。誰にも自分のことを理解してもらえないと考えていました。体が動かないにも関わらず、両親に病院に連れて行かれましたが、病名がついたりつかなかったり。先が見えず、もがけばもがくほど、どつぼにはまる感覚でした。両親には、連れ出すよりも、つらさを共感して、長い目で見てほしかった。立ち止まってもいいよという言葉がほしかったです。今思えば、両親なりに、私のためを思ってのことだと思えますが。
 

27歳の時に広汎性発達障害と診断されました。そこから、そううつ病は発達障害の2次障害(別の障害が原因で起こる障害のこと)であることがわかりました。そううつ病の治療はあくまで表面上のもので、根本の原因は発達障害であるとわかったことで、とても楽になったことを覚えています。
 

色えんぴつ
 

O:生きづらさを抱えていたときって、どんな心境だったんですか?抜け出すキッカケになったものって何だったんでしょう。

E:当時は、体が動かず、人間関係もうまくいかず、何をして良いのかわからない、歳だけを取っていく焦りがありました。公務員になろうと思ったのですが、失敗してしまいました。
 

抜け出すキッカケは、発達障害の診断。自分が人と発想が違うのは、発達障害が原因だったと納得できたからです。それまではどうして自分だけが他の人と違ってしまうのか、うまくいかないのか、それがわからず辛かったのですが、原因がわかったことでほっとしたことをよく覚えています。
 

あとは、社会に出たことです。実際に働くことで考え方が変わりました。今までは、白か黒かという考え方しかありませんでした。しかし、働いてからは、グレーゾーンのようなあいまいさがわかりました。ものごとは全てはっきりしなくても、あいまいにしてもいいことがあると思えるようになりました。正しい、正しくないということも人によって違うんですよね。
 

O:現在の心境はいかがですか?これからどのように過ごしていきたいですか?

E:今は、お陰さまで働かせてもらって、生活していけているのでいいですね。良いのか悪いのかわかりませんが、その場さえ良ければ…とも考えています。変えなきゃと思う部分もあるのですが。
 

これからについては、決められないです。社労士の資格取得を目指していますが、やっていた仕事が外部にアウトソースされたため、社内で仕事がなくなりつつあります。この職場に居続けるのか、職場を変えた方がいいのか。生活している点だけを考えると居続けた方がいいのですが、スキルや経験を考えるとこのままで良いのかどうかを悩んでいて、これからのことはまだ決められないです。
 

O:なるほど。将来社労士になった時に少しでもプラスになるような新しい道を考えるための時期かもしれないですね。それでは最後に同じような境遇にある人、現在生きづらさを抱えている方へメッセージなどあればお願いします。

E:まじめな人は障害者手帳を使い倒すなど、したたかさを持つことが大事だと思います。正しい・正しくないということは人によって違うので、もっとアバウトに生きていてもいいと思います。正しい・正しくないということよりも、生きていることが大切です。案ずるより産むが易しでいきましょう。
 

発達障害を持つご両親は、「こうしてやりたい」「原因を探ろう」と思う方もいらっしゃると思いますが、まずは立ち止まってほしいです。立ち止まって、お子さんのお話を聞いてほしいです。どんなことに困っているのか。何に大変さを感じているのか。それだけで、理解してもらえていると思えるので、つらさがやわらぎます。
 

そして、自分は自分であり、子どもは子どもです。気になるとは思いますが、あまり干渉しすぎないようにしてほしいですね。お子さんがつらそうなのに、病院に連れ回すとかやめた方がいいです(笑)。
 

O:そうですね(笑)。貴重なお話ありがとうございました。

E:ありがとうございました。
 

パソコン、ノート、コーヒー
 

インタビュー後記

発達障害に限ったことではないですが、ご両親がお子さんに対して、父性的な縦の関係で「ああしなさい、こうしなさい」、母性的な縦の関係で「大丈夫、そのままでいいわよ。私がやってあげるから」という縦関係で親子関係が築かれると、両親目線で期待を押し付けてしまうことがあります。その結果、少しの失敗を見守ることができず、全てに手を出してしまい、依存や反発が起こって、その子が自分の力で生きていく勇気をくじいてしまいます。
 

したがって、横の関係で、その子が「服を自分で着やすいように自分で切ってしまうなど、発想が周りの人と違うことで、両親を困らせていた」というところひとつをとっても「発想が周りと違うことは、本当はすごい才能である」と認めてあげて、どうやったら服が着やすくなるか一緒に考えてみることが大切なのかもしれません。そのためには、一度立ち止まって、何が起こっているのか話を聞いてあげる存在となることが必要です。
 

また、グレーゾーンを生きるということ。「白の反対は黒」だと思っている人は、0か100かの世界を生きています。成功か失敗か、善か悪か。2択の世界はとても生きづらいです。本当は、「白の反対は白ではない」ということです。「好きの反対は嫌い」ではなく「好きの反対は好きではない」ということ。そして、好きの中にも「大好き」「好き」「◯◯な時は好き」などたくさんの好きが入っています。
 

そうやってグラデーションの世界を生きはじめると、「違い」の中に「同じ」が見つかる。完璧にはできてないけど、半分はできるとか。きっと生きやすくなるヒントが見つかりはじめます。
 

発達障害と聞くと特別なものと感じる人が多いかもしれません。しかし、発達障害とは人間関係が希薄な時代、新しい価値観が必要な変化の時代に、新たな人間関係のあり方を教えてくれる存在なのではないでしょうか。彼らが生きがいを感じられる社会こそが我々にとっても生きがいを感じられる社会であるとインタビューを通じて感じました。
 

全5回。過去生きづらかったけれど、今は前向きに生きている方々のインタビューをお送りしてきました。今回でインタビューは終了します。今までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。今後も、生きづらい人の支援をしていきながら、なかなか知らないリアルをお届けしようと考えております。また書くこともあるかと思いますが、その時まで。
 

インタビュアー 織田昇

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