諦めさえしなければ、障害は障害ではないと思うんですよね

 

plus handicapをご覧のみなさん。
こんにちは。ライターのリーホーです。
 

早速ですが、みなさん。こちらをご覧になったことはありますか?
(おなじみになったこの出だし(笑))
 
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映画「暗闇から手をのばせ」
 

正直、ご存知の方はあまり多くないかと思います。
私自身も、原稿取材のためにアンテナを張っていなければ知らないままでした。
 

まずは簡単なあらすじをご紹介します。
 

障害者専門の派遣型風俗店(デリバリーヘルス)“ハニーリップ”で働くことに
なった主人公・沙織。
「楽そうだし、(障害者は)身体が動かないから怖くなさそう」という
軽い気持ちでこの業界に飛び込んだ彼女が、店長の津田が運転する車で
客の待つ住宅街へ向かうところから物語はスタートします。
 

その中で彼女は、
進行性筋ジストロフィー患者、両手両足に障害(欠損)を持った障害者、
バイク事故による脊髄損傷で不具になった障害者
をお客として相手をしていきます。
 

この映画は、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2013」受賞もしたそうです。
詳しくはこちら
「障害者専門のデリヘル(デリバリーヘルス)」という産業があったことは
知りませんでした。

 
映画の冒頭で、デリヘル店の店長が言っていたことがとても衝撃的です。
「この街には、(統計学的に言うと)10,000人の障害者いることになる。
だけどさ。お前(主人公・沙織のこと)も思っているかもしれないけど。
この街で障害者を見かけるか?見ないだろ?
み~んな家に閉じこもっているんだよ。そう考えたら、この商売は
絶対に当たると思うんだよ。だから、前の(普通のデリヘル)をやめて、
こっちでやってみようと考えたんだよね」
障害者を食い物にしているという議論は起きるかもしれませんが、
今回はそこはおいておきまして。
 

ビジネスセンスを感じる店長であると思ったのと同時に、
「障害者はみ~んな家に閉じこもっている」というセリフに強く反応しました。

 

まさにそうなんですよね。
このplus-handicapでもその問題をテーマにしているので、
映画の冒頭から
「あ~、同じ問題意識を持っている人(監督)だなぁ」と、
強く共感させられました。
今回は、「障害者の性」については特に取り上げません。
映画を観て単純に感じたことを書きたいと思います。
 

内容について書くとネタばれになってしまいますのでポイントだけ。
映画に登場した3人の障害者。
・進行性筋ジストロフィーで余命が限られている障害者。
・両手両足が不自由な障害者。
・脊髄損傷で不具になった障害者。
「『障害』と言ってもいろいろとあるんだなぁ」と同じ障害者である
私自身が感心しつつ、、、
 

彼らに共通していると思ったのは。
「(障害によって)人生を諦めてしまっている」
という点です。
3人3様に障害を抱えながら、人生の目標を見出せていない。
そういう経緯もあり、性のはけ口としてデリヘルを呼んでいる。
 

もちろん、時間制限(枠)がある映画の中での話ですので、
そういう部分を描いていないだけかもしれませんが。
 

毎回毎回、同じことを言っておりますが、
障害者の問題はそこにあると思うんですよね。
人生の目標や生きる意義を見出せていない健常者もたくさんいます。
しかし、障害者は「障害」によって出来ることに物理的な制限があるので、
そうしたことが顕著に現れやすくあります。
だからどんどん社会と離れていってしまうし、健常者との差も大きく
なってしまうんですよね。
ですが、問題はそこだけなんですよね。
 

脊髄損傷の障害者と主人公が深く語り合う場面があります。
その話の中で、
「人(女性)を好きになることの素晴らしさ」を感じた脊髄損傷の彼は、
自然と外に出るようになり、車いすでも働ける仕事を探し始めます。
人生の目標と言っては大げさかもしれませんが、
人との出会いによって、彼の人生は変わり始めました。
 

そんな人を障害者だと思いますか?
法律上、便宜的に“障害者”という言葉を使うかもしれませんが、
もはや“フツーの人”だと思います。
もちろん物理的な不便さはあるかもしれませんが、それは
目が悪い人が眼鏡をかける程度のことなのだと感じます。
自分でも痛感していますが。
 

「障害」を負うことは、一度、人生のどん底を感じます。
しかし、そこで諦めてしまったら試合終了です。
周りの人間も同情はしてくれますが、具体的なアドバイスはできません。
当然です。みんな自分の人生で目一杯なのですから。
やっぱり自分で気付くしかないんですよ。
 

今回の映画では、「性(恋)」というものがきっかけとなっていました。
それで充分だと思います。
自分の力で、なんとか気付いていく。それしかありません。
しかし、そうは言っても孤独を感じる障害者はたくさんいます。
そんな時、このplus-handicapが見てくれる人たちの希望になったり、
勇気になったり、単純に話題になったりしたらとても嬉しいです。
 

ちなみに「暗闇から手をのばせ」は、今週、12日(金)までです。
レイトショーで1日1回しかやっていないですが、お時間ある方は、
是非、一度、足を運んでみてはいかがでしょうか?@渋谷です。

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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この記事を書いた人

堀雄太

野球少年だった小学4年生の11月「骨腫瘍」と診断され、生きるために右足を切断する。幼少期の発熱の影響で左耳の聴力はゼロ。27歳の時には、脳出血を発症する。過去勤めていた会社は過酷な職場環境であり、また前職では障害が理由で仕事を干されたことがあるなど、数多くの「生きづらさ」を経験している。「自分自身=後天性障害者」の視点で、記事を書いていきたいと意気込む。