ある生活保護の事例から – 「生きづらさ」をなくしていくために大切なこと

皆さま、ごきげんよう。矢辺です。
 

3月は障害者雇用について多く書きましたが、今日は趣旨を変えます。今回は、個人にスポットを当て、「生きづらさ」をなくしていくために、私が大切だなぁと思うことを書いていきます。
 

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皆さんはこれをみてどう思いますか?
 

・生活保護

・職なし

・執行猶予

・強姦罪
 

本人の責任に寄るところ大で、だいぶ悪い人にみえる人が多いのではないでしょうか。
 

それでは、これは、どうでしょうか?
 

・両親が小さい頃に離婚

・いじめられ、引きこもりがちで対人関係が苦手

・義父がアルコール依存

・兄と不仲
 

本人のせいではなく、逆に少しかわいそうに思える人が多いのではないでしょうか。
 

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実はこの2つの事例は、私が支援した同一人物で起こった話なんです。
 
 

ある部分だけをみると悪人。でも、その人のことを詳しく知ると、実はとても苦労している背景があり、詳しくは書けませんが犯罪に巻き込まれる理由があったのです。私は、この方と触れる中で、ある一方的な見方で人を判断してはいけないということを教えてもらいました。
 

つまり、ある部分だけをみてしまえば刑を犯してしまった悪人かもしれない。しかし、一方で人は「好きで悪いことをするのではなく、そうせざるを得なかった何かがある」。そう思うようになったのです。
 

先日、仮釈放になったホリエモンこと堀江貴文氏が仮釈放の記者会見でこんなことを言っていました。
 

私が刑務所に入って思ったことは、刑務所にいる人たちって極悪非道でも、変わった人でもなくて、普通の人なんです。ほんとうに普通の人だなあと思いました。若干、変な人もいますけど、凶悪犯というよりはトラウマを抱えたりとか、家庭環境が良くなくてルサンチマンみたいなものを社会に対して持っていたりしますが、でも話してみると普通のどこにでもいる方々です。

逆に言えば、世の中にいる人が何かのきっかけで犯罪者になってしまうこともあると思います。そういった人たちがちょっとしたことでつまずいて刑務所に入って、そして絶対いつかは出てくる。そして皆さんの隣に住んでいたりすることもある。そういった人たちが再び犯罪を起こさないことが大事です。社会が受け入れて、偏見を少なくして、再犯を減らすことは世の中のためになります。これはとても大事なことです。

「堀江貴文氏が仮釈放、記者会見の様子を全文起こしでレポート」より

 

私はこういう経験をしていたので、ホリエモンの言葉にとても共感しました。
 

我々は、メディアから発せられるイメージで人を語りがちです。
 

生活保護、職なしは悪で、本人の努力不足だ

 

そう思う人もいるでしょう。
 

しかし、私が接してきた生活保護、職なしの人は、先ほどの例のような生活保護、職なしにならざるを得なかった「何か背景」が必ずあります。そして、ホリエモンが言うように若干変な人もいますが、普通の人がほとんどです。また、たまたま何かのきっかけで犯罪者になってしまうこともあります。
 

だからこそ、その背景を、周囲の人間が理解し認めることなく、「お前が悪かった」「お前の努力が足りない」と一方的に言うことだけで、本当に本人は生活保護を抜け出し、仕事をしようと思うのでしょうか。
 

自立するためには、その人のある一部分を切り取って判断し批判するのではなく、その人の背景を周囲が理解し、認めること
 

ここから本当の自立が始まるのではないでしょうか。むしろそこからでしか私は、自立できないと思います。
 

そして、メディアから垂れ流される報道のイメージだけで、人のある部分を切り取って判断し批判しない。この「背景を理解し認める」ということを多くの人ができればきっと、生きづらさはなくなっていくと考えています。
 

私は引き続き、このような「人の背景を理解し認めること」ができる人が増えるように努力をしていこうと考えています。
 

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この記事を書いた人

矢辺卓哉

双子の妹に知的障害があったことが「生きづらいいね!」の始まり。彼女たちを恥ずかしいと思った自分の心を恥ずかしいと思い、大学3年時、障害のある人に関わる仕事を生涯の仕事にすると決める。障害者採用支援の会社で6年間働き、株式会社よりよく生きるプロジェクトを設立。現在は、障害のある人やニート・フリーター、職歴の多い人、企業で働きたくない人などに特化した支援を行っている。また、障害者雇用を行う企業へ退職防止、障害者が活躍できる組織づくりのコンサルティングを行う。「人生を味わいつくせる人を増やす」ことが一生のテーマ。