「無理しないで」はプレッシャー。どうせなら「頑張ってるね」と言ってほしい。

言ってもらってありがたい。けど、心のどこかで素直に受け取れない。そんな言葉はありませんか?その人の本心か分からない、あるいは、自分が後ろめたいなど、色々な場面があると思います。
 

そんななか、私がモヤモヤするワードトップ2はこれ。
 

「無理しないでね」
「頑張らなくていいんだよ」
 

大抵は頑張りすぎていたり、落ち込んでいたり、そんな相手にかける言葉だと思います。私自身、体調を崩しがちなので、こう声をかけてもらうことがあります。しかし、その度に、遠回しに「元気になれ」「健康になれ」と諭されているように感じてしまうんです。
 

被害妄想だと思われるかもしれませんが、とりあえずこう言ってもらっても、100%ありがたい気持ちで受け取ることができない自分がいるのは確かです。
 

意図はわかるし、自分でも周りに使ってしまうことはあるので、言葉自体を否定するわけではありません。でも、持病がある身としては、「健康になる/ならなければならない」と思ってしまうと、なかなか簡単には受け入れられないものだったりします。
 

この背景としては、双極性障害2型という精神疾患があることが関係しています。これは躁状態とうつ状態を繰り返す病気です。特に2型の場合は軽躁状態といって、一見すると「最近調子良さそう。いろいろやってるな。」くらいの状態と、明らかなうつ状態を繰り返します。
 

体調が悪い時(私の場合は主にうつ状態になった時)ほど、いろいろな心配事が頭をよぎります。これから生活していけるのか、今後もっと悪くなってしまったらどうしたらいいのか、などなど。「なんとかしないと」と、とても焦る。そんな時に「無理しないで」と言われると、正直とてももどかしいです。「いや、頑張りたいのに!」と。
 

(一方で、重要な点として、自身の経験も踏まえると、実際うつ状態の時や体調が悪い時には正常な判断ができなかったりするので、うまく周りに頼りつつ本当に無理しない/頑張らないに越したことはありません。)
 


 

では、この場合、うまく励まし励まされるにはどのような声かけが良いのでしょうか。
 

まず、病人なりに頑張ってることもまぁまぁあって、それを認めてもらう方が気が楽です。精神疾患の場合だと、生活や環境のコントロールなどがあるでしょう。「無理しないでね」という漠然としたエールより、「〇〇を頑張ってるね」と言ってもらうと、多少こそばゆいかもしれませんが、より安心できます。
 

あるいは、「〇〇はこうした方がいいんじゃない?」という具体的なアドバイスに言い換えてもらう方が受け入れやすいです。具体的に指摘されると自分の行動を客観的に振り返るきっかけになります。
 

こうしてみると、言い方は違いますが、冒頭の二言と伝えたい肝の部分は一緒になりませんか?もちろん、これはあくまで私の場合です。人が違えば、ちょうど良い声かけも違うでしょう。
 

誰でも生きていれば多少無理をすることはあるし、頑張れるなら頑張ったほうがいいとも思います。それは病気や障害と付き合ってる間も同じです。頑張る内容と程度の問題はその時々であるとして、多分、誰もが頑張っていることを認めたり褒めてもらう方が、本当の意味で無理なく、前向きに毎日を過ごす力につながるのではないでしょうか。
 

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この記事を書いた人

杦本 友里(すぎもとゆり)

1988年茨城県生まれ。双極性障害2型当事者。障害の受容はまだ途上。躁の波も鬱の波もまだうまく乗りこなせないけど、こんな自分だからこそ生きられる道を模索中。とはいえ、自分探しをして果たして何年経ったことか。でも、病気になってから将来のことを考えるのがますます難しく感じている今日この頃。日々の小さな発見を大事にしながら、執筆やイベントを通じて、少しずつでも「違う視点」との橋渡しができれば。