休職と復職の話。私の解決策は「自分に期待しないこと」だった。

休職と復職。
 

どちらも簡単な決断ではありませんでした。しかし、今となっては自分に合った働き方をちゃんと考える大事なきっかけだったと思っています。
 

前置きになりますが、これはあくまで私の場合の休職と復職についての話であって、実際の病状や、職場との関係など、様々な要因によって休職と復職をめぐる状況は異なると思います。もし今まさに休職や復職をする段階にあるとしても、これを読んで参考になる部分、そうでない部分があるでしょうし、あるいは全く違う手順になるなど、色々と違いがあると思うので、そこは取捨選択しながら読んでいただければと思います。
 

休職と復職の話
 

ちょうど去年の今頃、朝どうしても起き上がれなかったり、一日中異常にしんどいなど、どうしても仕事に行けない日が続きました。
 

耐えかねて普段通っている精神科に駆け込んだところ「うーん、しばらく休んでみましょうか」と主治医から告げられました。そう言われた時の気持ちは「え、そんなに悪いの?薬変えるとかしたら何とかならないの?」という戸惑いの方が大きかったです。
 

私はもともと双極性障害(躁鬱病)があるので、深めの鬱期が来てしまったことは自覚していましたが、休職するほどのことであるとは思っていませんでした。
 

そしてそれから2ヶ月の間、病気休職することになりました。
 

その2ヶ月間の、特に最初の1ヶ月はとても辛かったです。仕事を休んでる自分は「サボってるんだ」とか「役立たずだ」とか、自分を責める言葉ばかりが頭を占拠していました。ご飯はあんまり食べれないし、睡眠もろくに取れないし、仕事も休んでるのに、体と心は全然休まっていませんでした。
 

また、体調が悪くて動けもしないのに、頭では早くまた働けるようにならなければという焦りが大きく、でもそれができない自分に対して気持ちは悪循環。
 

この頃は働かなければと思っている一方で「でも元のところでまたやっていけるのだろうか」「戻っても再発してしまうのではないか」と不安や恐怖もかなり募っていました。考えれば考えるほど、心身ともに追い詰められてしまいました。
 

そんな中で、私が快方に向かったきっかけは、家族と主治医に「もうどうしても辛いから入院したい」と告白したことだったように思います。
 

相談の結果、実際には入院はしませんでしたが、それだけ思いつめていた自分を自覚し、他人にさらけ出したことで、なんとなく気が楽になったのだと思います。たったそれだけのことでしたが、その告白のあとは休養を取れている感覚も戻り、職場復帰についても少しずつ前向きに、現実的に考えられるようになっていきました。
 

ここで、休職して良かったことと困ったことを簡単にまとめてみます。
 

休職と復職の話
 

そして休職した2ヶ月も終わりに近づいた頃の診察で、主治医から「段階的になら復帰してみても良いでしょう」と言われました。早速職場の上司に連絡を取り、職場復帰について保健師や産業医を交えて相談することになりました。
 

すぐに産業医面談が設定され、主治医からの診断書を受けて、まずは「復帰プラン」を立てることになりました。話し合いの結果、1日4時間・週2日の勤務から始めることになりました。
 

1日4時間を週2日とはいえ、いざ始めてみると、終業後の体力の消耗は思った以上で、最初はついていくのがやっとの状況でした。また、戻ったからといって意気込んで頑張りすぎないようにするために、気力と体力のバランスをとるのもなかなか大変でした。でもこの「頑張りすぎないためにバランスをとる」姿勢は、後々自分が働き続けるために重要なことでした。
 

復帰後は1日の就業時間を延長していき、就業日も週3日、4日、とだんだん増やしていった結果、休職明けから5ヶ月目にはフルタイム勤務に戻ることになりました。
 

その間、2〜3週に一度くらいの頻度で、産業医や保健師、上司との三者面談を重ねました。就業状況の確認、生活状況の確認(一日の活動時間や睡眠時間などの記録を取っていました)、その上で就業時間を延長するかなどを相談し、復帰プランを更新していきました。
 

休職明けから半年以内にフルタイム勤務に戻るというのは、一般的には割と早いペースでの復帰だったかもしれません。
 

フルタイム勤務に戻ってからそろそろ半年が経ちますが、多少の浮き沈みはあるものの、今の所は去年ほどの落ち込みには至らずにこれています。でもここまで来るのに一番効果があったのは「頑張りすぎないためにバランスをとる」作戦だったと思っています。
 

休職と復職の話
 

その作戦の中でも最も重要だったのは「自分に期待しない」ことでした。これはすなわち、自分の体力・気力は少なめに見積もって臨む、ということです。
 

復帰しても、以前ほどのスピード感で動くことができなくなってしまったり、体力的にも持続しなかったり、思うようにいかないことや元のようにはできなくなってしまったこともたくさんありました。
 

それでも自分なりに働き続けるためには、限られた体力・気力・時間の中で、優先順位とか取り組みやすさとか、いろんなパラメーターを地道に調節しながら、できることを確実に実行していくことでした。
 

「自分に期待しない」というとなんとなくネガティブな響きに聞こえるかもしれませんが、決してそうではなくて、言い換えるとすると「できないことも含めた等身大の自分の価値を最大化する」という捉え方に近いです。
 

休職して何より実感したことは、仕事を休んだからといって心身が休まるような「正しい」休み方をするのは結構難しいということです。
 

いくらお医者さんに「無理しないように」と言われたって、普通の生活ができない自分自身を責めてしまう気持ちを消すことは難しかったです。物理的に休む時間はもちろん大事なのですが、質的な休養に結びつく考え方を持てるかどうかの方が重要だと思いました。
 

また、復職するにあたっては、組織の制度をうまく利用することができて(産業医・保健師との連携など)、また上司の理解もあり、無理のない復帰プランを実行することができたことは本当に感謝しています。サポートを受けられたからこそ、休職を繰り返さないためにはどうしたらいいのか、今だからこそ考えるべき自分の働き方はなんなのかを考えることにつながりました。
 

休むのは難、戻るのもまた難でした。でもその中で仕事や自分に向き合ったことが、今後、何かしらの形で生かされればいいなとそこだけは自分に期待することにしています。
 

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この記事を書いた人

杦本 友里(すぎもとゆり)

1988年茨城県生まれ。双極性障害2型当事者。障害の受容はまだ途上。躁の波も鬱の波もまだうまく乗りこなせないけど、こんな自分だからこそ生きられる道を模索中。とはいえ、自分探しをして果たして何年経ったことか。でも、病気になってから将来のことを考えるのがますます難しく感じている今日この頃。日々の小さな発見を大事にしながら、執筆やイベントを通じて、少しずつでも「違う視点」との橋渡しができれば。