ヨーロッパ最大の福祉機器展「REHACARE 2017」に行ってみた!デンマーク留学記⑭

この連載は「ワカラナイケドビョウキ」という不思議な病気になり障害をもった私が、ノーマライゼーション発祥の国デンマークに留学する1年間の放浪記です。デンマークでゴロンゴロンでんぐり返しをしながら「障害ってなんだろう」と考えます。
 


 

福祉機器におしゃれなものってあるのかなぁ。福祉機器は障害者や高齢者が使うものだから…。私には関係があるのかなぁ?
 

“ショウガイ”や”フクシキキ”という言葉、そして目の前に広がっているこの景色は、自分の人生に落っこちてきた23歳のときまで未知の世界でした。
 


 

この日訪れたのは「REHACARE 2017」。毎年秋にドイツで行われている、ヨーロッパ最大の福祉機器展です。
 

2017年は10月4日(水)から7日(土)までの四日間にわたり、ドイツ有数の商業都市デュッセルドルフで行われました。国際見本市がよく行われる広々とした会場には、障害児支援、障害者スポーツ、視覚聴覚障害者支援、専門的な医療器具など様々なブースが出ています。
 


 

数あるブースの中で巡り合い、キュンっときた、お気に入りを紹介します。
 

●第1位 ゲーム型リハビリテーション器具「RAPAEL」
 

韓国企業NEOFECTが開発した「RAPAEL」。グローブ型のガジェットを手に装着し、目の前のモニターでインベーダーゲームや卓球ゲームをしながら、手のリハビリを行います。腕の稼働域や握力を測定することもできる商品です。
 


 

やってみました!楽しい~〜〜!
 

装置も軽く腕に負担を感じない上に、ゲームは感度が高く本格的。時折、リハビリをサボりたい願望が脳内にちらつく私でも、一日中モニターに向かっていられる楽しさ。
 

現在は病院を中心に販売しているそうですが、一家に一台欲しい。お値段は税抜き約8,000ユーロ(約100万円)から。
 

●第2位 車椅子に乗ったまま運転ができる福祉自動車「ELBEE」
 

チェコの企業Elbee Mobilityが販売している「ELBEE」。最大の特徴は車椅子に乗ったまま運転ができること。また後部座席もあり二人乗りで、最大速度80㎞。手軽に車に乗り、行動範囲を広げることができます。
 


 

福祉自動車というイメージとはかけ離れたカラーバリエーションの豊富さに胸がきゅーーーんとなりました。車椅子移譲の手間暇を考えずに、ふらっと出掛けられるって、本当に嬉しいこと。
 

ヨーロッパの一部の国では使用できますが、日本では、安全面から車椅子に乗ったままの運転は禁止されているので、まだまだ未来の車…(手塚治虫感)。だけど、夢が広がります。きゅん。お値段、税抜き22,000ユーロ(約300万円)から。
 


 

第3位 リラクゼーション楽器&ベッド「OVERTONE TUBE」
 

ドイツ企業OVERTONE TUBEが発明した「OVERTONE TUBE」。蓋を閉めた状態の見た目は、THE大きい琴。ベッドなの?楽器なの?という感じでインパクトナンバーワン。マットの上に寝そべり、上部の蓋をパタンと閉め、外から、上部に張り巡らされた弦を演奏してもらいます。楽器の中に閉じ込められる体験はリラックス必至。
 


 

試してみました。ベッドに横になり、上から扉を閉めてもらうと中はMRIに入ったような気分。でも頭部と足先はしっかりと開いているので圧迫感はありません。リラックスできるのか?は外側で演奏する人の演奏技術次第。私は店員さんの遊び心によりロックっぽい演奏をされたので、爆音に閉じ込められる衝撃に爆笑してしまい、リラックスとは程遠い感想になりました。
 


 

でも、笑えたので、なんだか癒し効果抜群。笑顔っていいね。
 

今回「REHACARE」に一緒に参加した車椅子ユーザーの友人は「日本の福祉機器展は”機能性”重視だけど、ヨーロッパの福祉機器展は”遊び心”と”デザイン性”重視だね」だと感じていました。
 

確かに、ハンモックなどのリラクゼーション用品や国内外のバリアフリー観光に関するブースが多数揃い、これでもか!!!と”余暇”を大事にしている雰囲気。また、車椅子用の洋服やレインコートなど、ファッション用品は若者向けのものも多く、デザイン豊かでした。
 

福祉機器がもつ役割である「日常生活を手助けする」ってどういうことだろうって考えたときに、日本の福祉自動車などでみる充実した機能性もやっぱり大切。だけど、リラックスや余暇も日常に欠かせない要素です。「REHACARE」はその”日常”の範囲がしっかりと拡張されているなと感じました。
 


 

「なみこ~、寝たきりになる前に全自動介護マシンができるといいね~」とよく言う私の姉。姉よ、安心せい。全自動で介護できる未来は、たぶんすぐそこじゃ。
 

ましてや福祉機器があれば”寝たきり”なんて言葉が、未来にはなくなっているんじゃないかなぁ。そうなるといいなぁ。
 

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ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業第36期研修生として留学中です。ミスタードーナツに行くとレジの横に置いてある募金箱。全国の皆様の応援で学ばせて頂いております。
 

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この記事を書いた人

Namiko Takahashi