止めたくても止められない。リストカットなどの自傷行為ってなぜしちゃうの?

リストカットはあまりにも有名な自傷行為。ただ、それ以外にも、髪の毛や眉毛やまつ毛を抜いてしまう、タバコやライターなどで体に火をつける、爪を噛んだり剥がす、皮やかさぶたを剥がす、薬の大量服薬、ストレスを感じてのピアスやタトゥーなども挙げられます。ピアスやタトゥーってファッションなのでは?と思われるかもしれません。たしかに、ファッションで楽しむ人が大半ですが、中には自傷行為として行う人もいるのです。
 

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皆さんに知ってほしいなと思うことは、これらの多くは「死にたい」からするのではないということです。自傷行為をしない人には理解しがたい行為でしょう。もしかしたら、やっている人の中でもそれが分かっていない人もいるかもしれません。また、人に見られるためや構って欲しいからやっているわけでもありません。むしろ他人に「バレたくない」と思っているひとが多いのです。
 

自傷行為は「つらい」と感じたときの代替行為で、自分の体を痛めつけたりします。このとき、βエンドルフィンという脳内麻薬が放出されるそうです。これは、モルヒネの6倍の鎮静作用があると言われており、自傷行為をした場合にもこのβエンドルフィンが放出されるそうです。
 

だから、傷つけても「痛くない」のです。むしろ脳内麻薬が出ていることによって「快感」を覚えてしまうのです。傍から見れば痛そうなのに、当人たちは「痛くない」と感じています。一度ハマってしまうと、止めたくても止められなくなってしまう人が当然出てきます。その結果、不本意ながら命を落とすという人も出てきます。
 

マラソン選手などが走っていると気持ちがよくなり、ハイテンションになる状態をランナーズ・ハイといいますが、その時にもβエンドルフィンが放出されるそうです。本当は苦しくて仕方ないのに、ある時点から気持ちよくなってくるのです。
 

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私もリストカット、髪の毛を抜いてしまう、そんなことがあります。リストカットは手術に至った経緯もあって、もうしないと思えたのですが、やはり快感を感じてしまうのか、大きなストレスが掛かると髪の毛を抜いてしまいます。
 

そんなときに、私自身が周囲に求めたい対応は、それなりに手当を手伝ってもらいながら、「そうかあ」と相槌は打ちつつも、あれこれ何も言ってくれないのが一番いいなあ、と思っています。余計な励まし、ありがたそうな言葉ほど、その瞬間に鬱陶しいものはありません。
 

自傷行為の有無を相手に打ち明けたならば、打ち明けた相手をそれなりにでも信頼しているのです。身勝手な意見ですが、近からず遠からず接してほしい。これが本音です。この距離感はなかなか難しいのですが。
 

反対に「もうやっちゃダメだよ」というついつい言ってしまいそうなこの言葉が一番心苦しいです。自傷行為はやりたくてやっているのではないのです。
 

自傷行為をしてしまう人にどう接したらいいのか。案外身近なことも自傷行為のひとつだったりするため、気がつきにくいこともあります。取り扱いが非常にデリケートなものです。
 

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この記事を書いた人

小笠原 早苗