ステッキユーザーによるヨーロッパ旅行体験記①~ロンドン編~

この10月、ステッキユーザーとなって初めて、海外旅行に行ってきました。行き先はヨーロッパで期間は約1か月。自由な旅がしたいからと、英語もできないのに航空券とホテルだけとって完全フリープランで旅をしてきました。
 

今回はステッキユーザー目線で気づいたことや珍事件を旅日記として綴っていきたいと思います。体験記①は、最初に訪れたイギリス(ロンドン)のレポートです。
 

ロンドンのステッキ人口はやっぱり多かった

 

ロンドンでの滞在中、ステッキを使っている方を度々目にしたのですが、そのなかでも「これ可愛い♪」と目を引くステッキ使用者の女性2人に勇気を出して話しかけました。
 

ロンドン旅行記①
 

スウェーデンから旦那さんとお二人で旅行中の女性。「トランクに入るように、今回は折りたたみの杖を持ってきたのよ」と、杖を見せてくれました。杖素敵ですね~とお話すると、「あらあなたのほうがステキな杖を持ってるじゃない!」と私の杖を手に取って見て、「これ私が作ったんですよ」と言うと驚いていました。
 

ロンドン旅行記写真②
 

こちらはeast Londonのマーケットにいた女性。透明の杖に驚いて声をかけたら、これまた私の杖を見て「これ素敵ね!え、あなたが作っているの?!信じられない!!」とお声をいただきました。
 

ステッキユーザーさんで写真を撮らせていただいたのはこのおふたりのみですが、ロンドン市街地は確かにたくさんのステッキ屋さんがありました。さすが紳士の国、イギリス。ちなみに”紳士用”のステッキが7~8割、折り畳みなど実用的なステッキが2~3割というのが大体のステッキ売場での比率でした。
 

ロンドンの市街地は思ったより歩きやすい!でも建物は…

 

ロンドン旅行記写真③
 

「石畳の道」のイメージが強いヨーロッパですが、ロンドンの市街地はきれいに舗装されている道が多くて案外歩きやすかったです。しかし古きを愛するイギリス人。建物は古いほど価値が上がると言うだけあって、おうちやお店など建物は段差だらけです。ロンドンの中心地では近代的なマンションも多々見かけましたが、まだまだバリアフリー住宅は少ないよう。でもだからこその景観の美しさがあったりもするので、一概に良い悪いは言えないですね。
 

ロンドン旅行記写真④
 

ちなみに大英博物館は段差はありましたが、車いす用のリフト(?)があったので、車いすの方もたくさんいらっしゃいました。
 

バスやタクシーは車いすでも乗りやすい仕様に!

 

ロンドン旅行記写真⑤
 

ロンドンはバスもたくさん走っているのですが、そのすべてに車いす専用スペースが用意されていました。驚いたのはタクシーで、(少なくとも私が市街地で見かけたタクシーは)全てのタクシーに車いすマークがついていました!折り畳みの椅子となっているので、車いすでなければもう2人乗れる仕組みです。車いすを畳んで乗るか、車いす用のタクシーを呼ぶかしなくてはならない日本のタクシー事情とは大違い!素晴らしい文化だ~と感動しました。
 

ロンドン旅行記写真⑥
 

ちなみに私がイギリスでどうしても行きたかったのが、ストーンヘンジ。ストーンヘンジの周りはだだっ広い草原のようになっていて舗装なんてもちろんされていないのですが、車いすで観光に来ている方もいました。
 

ロンドン旅行記写真⑦
 

「ストーンヘンジってただの石でしょ?」と言う人も多いですが、歴史好きなら絶対に一度は行く価値あり!日本語のオーディオガイドが素晴らしいクオリティなので、ストーンヘンジの周りを歩きながら歴史に思いを馳せる時間旅行は、最高ですよ♪
 

空港で歩けなくなってしまったときの対応が神でした。

 

ロンドン旅行記写真⑧
 

ロンドンの次はポルトガル(ファーロ空港)へ行く予定だった私たちは、ヒースローではなくガトウィック空港へ行きました。日本ではそんなに知られている空港じゃないし、大した広さじゃないだろうと高をくくっていた私は車いすも借りず、空港内の移動車(?)も利用せず歩いていきました。しかしこれが大きな誤算。LCC利用で特に搭乗口が遠かったこともあり、どこまでも続く通路、通路、通路。なんと途中で立ち往生してしまいました。
 

搭乗口はまだ遠く、でも足も腰も痛くてもう一歩も歩けない。迫りくる搭乗時刻。見かねて、夫が走って片言の英語でスタッフさんを呼んできてくれました。そのスタッフさんは移動車の運転手さんだったようなのですが、すぐに車いすを持って私のもとにかけつけてくれて、私たちが英語がほとんど話せないことに気づくと、とてもゆっくり、丁寧に声をかけてくれました。
 

搭乗口まで連れて行ってくれて、優先搭乗などもすべて手続きをしてくれて。準備が整い彼がその場を去るとき、「準備が整ったよ。私のベストフレンドに頼んだから、このあとも大丈夫。彼はとても素晴らしい人だから、安心してね。良い旅を祈っているよ。」と言葉を残していきました。
 

ロンドン旅行記写真⑨
 

言うても、仕事仲間ですよ。日本感覚の「ベストフレンド」なわけないんですよ。でも私を安心させるためになのかそういう文化なのか、担当を引き継ぐときに(そもそも適当に声をかけたので正式な担当とかっていうわけでは全然ないのに)「ベストフレンド」で、「彼は素晴らしい人」だから「安心してね」って!!もう、私はロンドン最高、イギリス最高、ジェントルマン最高、と感動しておりました。
 

ああ、ロンドンに住みたい(笑)
 

紳士の国、イギリスをあとにして次に向かったのはポルトガル(アルガーヴ)。ここでは10日ほど滞在し、スペインへも少し足を伸ばしたので、次回はポルトガル&スペインの旅日記を綴っていきたいと思います。

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この記事を書いた人

楓友子

21歳のときに交通事故に遭い、脊腰椎骨折、大腸破裂などの重傷を負い、杖が必要な生活となる。市販の高齢者向けの地味な杖を使うのが嫌で、2011年9月、24歳で独自ブランド「Knock on the DOOR」を立ち上げ、自身で装飾をした杖のインターネット販売を始めた。自分が嫌いで死にたいと思っていたが、事故を通じ「生きてるって奇跡なんだ」と知り、いのちへの考え方が180度転換。日本で唯一のステッキアーティストとして活動するかたわら、「生きるをもっと楽しもう」というメッセージを伝える活動も行っている。