【障害者活躍白書2013より】働く障害者は、やりがいがあっても30.9%しか評価・育成に満足していない

みなさん、ごきげんよう。矢辺です。
 

前回、「働く障害者って、何を感じているんでしょうか?」というタイトルで、「障害者社員・上司:意識調査」の企業事例から働く障害者が何を感じているのか?をお伝えさせていただきました。
 

先日発行した「障害者活躍白書2013」から、働く障害者が企業で働くことをどう感じているのか?お伝えします。入社して障害者雇用は終わりではありません。就職後のことを考えれば、「働きがい」についてもっと議論しても良いはずです。
 

障害者活躍白書は、企業などの組織において障害者雇用を行なう上で、「これから何をしなくてはいけないか」の提言を目的として、アンケート結果より障害者が働くことをどう考えているか実態把握を行ったものです。83名の退職経験のある障害者手帳をお持ちの方にご回答いただきました。今回の調査では様々な分析をしておりますが、その一部をご紹介します。

退職企業に対する満足度を見てみましょう。
 
満足度
 

ご覧のように、「貢献実感」「自己の成長」「やりがい」がトップ3となっています。一方、「育成」「評価」は30.9%と満足度が一番低くなっています。
 

また、満足度と重要度の関係はこのようになっています。
 

障害者活躍白書2013
 

表の見方は、縦軸が自社に対する満⾜度で、横軸が各項目の重要度となります。縦軸「自社に対する満足度」の60%ライン、横軸「重要度(総合満足度との相関関係)」0.4のラインに赤い線(統計上、0.4未満は「相関関係があまりない」という結果のため)が入っています。このラインを境目に、右上より反時計回りに(1)重点維持項目(2)維持項目(3)改善項目(4)重点改善項目としています。
 

※詳細は 前回の記事で説明しております。
 

■働く障害者が重要で満足度が高い項目(重点維持項目)
・貢献実感 ・自己の成長 ・やりがい ・人間関係

■ 働く障害者が重要だが足りないと感じている項目(重点改善項目)
・経営理念・方針 ・組織風土 ・評価 ・モチベーション ・仕事の質・量 ・育成
 

上記結果から

  • ・「貢献実感」「自己の成長」「やりがい」「人間関係」は、望んでいる環境を提供できている
  • ・「経営理念・方針」「組織風土」「育成」「評価」「モチベーション」「仕事の質・量」「育成」は、重要度が高いにも関わらず満足度が低いということがわかりました。

 

今回の障害者活躍白書2013では、経営理念・方針を明るい組織風土を通じて伝え、障害があっても育成できる職場環境、本人が納得できる評価が行われることで、モチベーションを高めていくことが障害者雇用において重要課題であることがわかりました。
 

この結果を踏まえ、各企業は自社の障害者雇用がどうあるべきかを考えることが必要だと考えます。また、障害のある方は自分がどのように働けば良いかを考えていくことが大切です。これが、障害者と企業のより良い関係を作り、障害があってもより働きがいの持てる社会につながるのではないでしょうか。
 

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この記事を書いた人

矢辺卓哉

双子の妹に知的障害があったことが「生きづらいいね!」の始まり。彼女たちを恥ずかしいと思った自分の心を恥ずかしいと思い、大学3年時、障害のある人に関わる仕事を生涯の仕事にすると決める。障害者採用支援の会社で6年間働き、株式会社よりよく生きるプロジェクトを設立。現在は、障害のある人やニート・フリーター、職歴の多い人、企業で働きたくない人などに特化した支援を行っている。また、障害者雇用を行う企業へ退職防止、障害者が活躍できる組織づくりのコンサルティングを行う。「人生を味わいつくせる人を増やす」ことが一生のテーマ。