業務連絡。義足が壊れました。

 
「パキッ」という音が鳴ったと同時に「メキョッ」という音が鳴り始めました。
義足のつま先部分が割れたときの一瞬です。
 

義足というのは、切断した足を補うためのもので
機能的・外見的に回復させるためのものです。一般的には義肢といいます。
 

P1000610
 

普段、義足を履く際、このような姿勢をとっています。
これは浮腫(むくみ)により足が義足の中に入らないため
全体重をかけて押し込まなくてはいけないからです。
 

P1000613
 

最近では右ひざの部分を使い、てこの原理を応用した履き方もマスター。
足全体を覆う義足の場合は、着脱に工夫が必要です。
これが理由なのか、私は普通の人より身長に対するリーチが長く、
また体前屈もマイナス15センチです。ここだけ体が柔らかい。
 

少しでも義足を軽くしようとタイトな設計にし、フィット感を大切にした結果、
毎朝、義足vs右足のむくみという格闘が繰り広げられています。
(女性でいうハイヒールと浮腫みの関係と似ています)
 

ちなみに義足は約2キロ。もう片方の装具は約1キロ。合計3キロ。
たかが3キロ、されど3キロ。階段の上り下り、坂道は堪えます。
この重りを毎日身につけて歩いていますが、体にフィットさせて巻くのと、
ぶらさげるのとでは、どちらがより重たさを感じるでしょうか。
もっと軽量化してくださいと障害認定の際に話したら
これでも軽いほうですよと言われました。皆さんタフですね。
 

さて、今回割れたのは、この部分。
 

20130430_134133
 

実際の人の足で言うと、中足骨と言われる部分です。
 

no22_01
 

一般的に中足骨は折れると時間がかかります。
全体重がかかる、踏ん張るための骨であるため
アスリートが疲労骨折しやすい箇所としても知られています。
サッカー日本代表の香川選手が日韓戦でケガをした箇所もここです。
彼の場合はプレーできるようになるまで3ヶ月近くかかりました。
 
 

香川選手に倣って、私も3ヶ月ほど仕事を休もうと思っています。
 
 

こんなことを言うと、各方面から非難続出なので、
義足が壊れても仕事をしなくてはいけないのですが。
(こんなに障害者を酷使していいのかと言うとまた叱られる)
 

壊れてみると、義足って技術の粋だなと思います。
このサイトにいろいろな種類の義足が掲載されています。
人の骨や筋肉と同じような機能、動作をサポートしてくれるのが大前提。
その上に、アスリートが活用するような義足であったり
モデルが着用するような義足であったりが存在します。
 

ぜひ「オスカーピストリウス」と「エイミー・ムラン」で検索してみてください。
あなたの義足に対するイメージが変わります。
 

また、私の場合、左足にも短下肢装具といわれる装具を履いています。
これはヒザ下から内側に向いている足を矯正するための器具です。
装具は矯正具というイメージが当てはまりやすいかもしれません。
例えば、コルセットやサポーターも装具です。
 

image (3)
 

ご覧のように、かかとの部分がバッコンバッコンに割れています。
右足が中足骨骨折であれば、左足の場合はアキレス腱断裂手前です。
両足に爆弾を抱えている、アスリートなら悲運と言われるのでしょうが
私の場合は単なる不摂生です。義足や装具を履いている人間にとって
「メンテナンス=体調管理」なのです。
 

そんな義足と装具のお値段は?
だいたい義足が40万円、装具が10万円です。
 

記事をシェア

この記事を書いた人

佐々木 一成

1985年福岡市生まれ。生まれつき両足と右手に障害がある。障害者でありながら、健常者の世界でずっと生きてきた経験を生かし、「健常者の世界と障害者の世界を翻訳する」ことがミッション。過去は水泳でパラリンピックを目指し、今はシッティングバレーで目指している。障害者目線からの障害者雇用支援、障害者アスリート目線からの障害者スポーツ広報活動に力を入れるなど、当事者を意識した活動を行っている。2013年3月、Plus-handicapを立ち上げ、精力的に取材を行うなど、生きづらさの研究に余念がない。