2014年春、独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選

今年の年初、「独断で選んだ2013年に登場・話題となった障害者便利アイテム5選」という記事を書きましたが、2014年春時点での「独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選」を書きたいと思います。
 

今回、障害者便利アイテムを調べていて感じたキーワードは「人間の限界へのチャレンジ」です。今までは「障害者だから(物理的に)〇〇出来ない」という厳然とした事実がありました。しかし、科学が発達していくと「いやいや、この機械さえ使えば、出来ちゃうんじゃない?」というセリフが当たり前のようになってきていると感じます。まるで、子供の頃に見たSF世界が間近に迫っているかのようです。もちろん、アイテムの全部が科学的なものではなく、ちょっとしたアイデアが活かされたアイテムも多くありますが。
 

独断で選んだ注目の障害者便利アイテム5選をお楽しみください。
 

5位:防水義足(オットーボック・ジャパン)

(出典:オットーボック社HP:http://www.p.ottobock.jp/
 

図1
 

防水?と疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。これは義肢装具ユーザーしかわからないことかもしれませんが、われわれユーザーは自分の義肢装具が水に浸からないようにする注意は常に行っています。何故かと言うと、水に濡れることで義肢装具の錆びや腐食があるからです。ただでさえ高額、ましてや制作に時間がかかる義肢装具ですから、容易に作り替えられません。そういうわけで海なんかご法度です(笑)。
 

「義足だからという理由で、生活の範囲を制限したくない防水機能付の3R80+なら、水場の使用環境でも不安なく生活ができ、様々なアクティビティーを満喫することもできます。海・川・プール・お風呂…可能性が広がります。」

 

義足ユーザーの私だからこそ分かる画期的さです。
 

4位:「視覚障害者の読書アイテム  携帯用電子ルーペ オーキー」

(出典HP:http://s.webry.info/sp/ikkokudou-t.at.webry.info/201208/article_16.html
 

視覚障害者(弱視)の方に向けた携帯用電子ルーペです。機能などは写真で見ての通りですが、このアイテムで生み出されることとして、視覚障害者の方がもっと自由にいろんな場所で本を手に取れるチャンスが増える、ということです。視覚障害者の方が本を選ぶとなると、専門(点字)の図書館が主になりがちですが、このルーペがあれば、容易に表紙や中身の吟味が出来て、普通のリアル書店や点字などは間違いなく存在しない古書店での書籍、そしてAmazonなどでの購入(選択)が可能になってくることです。
 

1.9倍の倍率で覗いてみる
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3.9倍の倍率で覗いてみる
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フルカラーでの画面で覗いてみる
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3位:「3Dプリンターでつくる義手」

(出典:CBSイブニング・ニュース:https://www.youtube.com/watch?v=fK2VdctV_h4
 

図3
 

発育不全で生まれつき指が無いわが子のために、3Dプリンターで義手を制作した父親のニュースが話題になっています。3Dプリンターでプリントアウトした各部品を組み立てて使用するそうです。通常の義手が3万ドル(約295万円)※するのに対し、こちらの義手にかかった費用はたった5ドル(490円)ほど。成長に合わせて作り直していけるところも実用的。生憎、ニュース内容は英語でわかりませんが、これからどんどん広がっていく技術でしょう。※価格はニュース発表でのもの。
 

2位:「ドラムを見事に叩けるロボット義肢」

(出典:http://wired.jp/2014/03/13/new-robotic-arm-opens-up-musical-worlds-for-cyborg-drummer/
 

Drummer
 

百聞は一見に如かずということで、まずは、こちらの動画をご覧になってください。
 

 

右腕から下を失ったドラム奏者が、ジョージア工科大学チームとともに、ロボットアームを開発しました。多くのドラム奏者たちには想像もできないようなすぐれたワザも可能であると、注目されています。さらに、この技術の可能性は、ドラムの演奏に留まらず、宇宙飛行士や外科医をはじめ、複雑で時間的な制約のある物理的タスクを行う人たちなど、健常者が使用することも視野に入れているそうです。障害者向けに開発されたものが、その枠を超えて多くの可能性を秘めていることはとてもワクワクしてきますね。
 

1位:「ReWalk」(安川電機/アルゴ・メディカル・テクノロジー)

出典:http://response.jp/article/2013/09/26/207219.html
 

ReWalk
 

脊髄損傷などにより下半身が完全にマヒしていても、装着することにより歩行が可能となる外骨格状のロボットです。正確には、安川電機と資本提携とともに戦略的協業を進めることで合意した、イスラエルのアルゴ・メディカル・テクノロジー社の製品となります。
 

 

初めて動画を見た時は震えが起きました。しかし、そのくらいインパクトがありました。不可能が可能になっていく予感がします。ただ、関係者の話によると、まだまだとてつもない高額品なので市場に広まるには時間がかかるだろうし、日本では保険も現段階では難しいだろうとのこと。市場の原理の観点から言うと、「もう一度、歩けるようになりたいから、脊髄損傷で歩けない自分でも稼げるスキルを身に付けて、ガンガンに稼いで、このロボットを購入してやる!」という障害者が現れたりすると、世の中が変わってきますよね。もちろん、私の勝手な理想ですが。
 

冒頭で、「人間の限界へのチャレンジ」と書きました。決して100mを9秒で走れるようになるという類の話ではなく、(障害者の問題で言えば)「あれも出来ない、これも出来ない」と限界が見えやすかったですが、工夫と努力でいかようにも限界にチャレンジできるようになってきている、ということをお伝えしたかったのです。
 

前回のアイテム記事でも書きましたが、障害者にとっても世の中はどんどん便利になってきていますし、希望が持てるようになってきています。ただ、モノだけが進化している状況はやっぱり悲しい。使う人間も、日々成長していけるよう、毎日の生活や仕事などを充実させていけるよう張り切っていきましょう。それこそ「限界へのチャレンジ」ではないでしょうか。私自身もそうありたいと願い、行動していきたいと思います。

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この記事を書いた人

堀雄太

野球少年だった小学4年生の11月「骨腫瘍」と診断され、生きるために右足を切断する。幼少期の発熱の影響で左耳の聴力はゼロ。27歳の時には、脳出血を発症する。過去勤めていた会社は過酷な職場環境であり、また前職では障害が理由で仕事を干されたことがあるなど、数多くの「生きづらさ」を経験している。「自分自身=後天性障害者」の視点で、記事を書いていきたいと意気込む。