“障害”は本質を見つけるきっかけだと思うんですよね

 

plus handicapをご覧のみなさん。
こんにちは。ライターのリーホーです。
 

早速ですが、みなさん。こちらをご覧になったことはありますか?
(おなじみになったこの出だし(笑))

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「よみうりGENKIフェスタ2013」
先月末に行われた教育関係のイベントになります。簡単にご紹介を。
 

約200の中学・高校が参加する中学・高校進学相談会となり、
学校個別相談ブースや講演会、相談コーナーなどが設けられました。
入場無料で入退場も自由。@東京国際フォーラム。
 

主に小中学生のお子さんを持つ親が、わが子の進路を考えるために
各学校の関係者から学校の生の情報をもらうためのイベントになります。
詳しくはこちら
 

まだ子供もいない自分としては、「こういう世界もあるんだなぁ!」と
感心しきりだったのですが、一番のお目当ては画像にも載っていた
乙武洋匡さんの講演会を聞きに行くことでした。
 

前回記事にも登場していただいた(笑)乙武さん。
やはり先輩障害者(笑)の言葉にはとても含蓄があり、
その言葉をご紹介しつつ、今回の考察をしたいと思います。
 

万が一、乙武さんを知らない方はこちらを。
 

講演については、乙武さんが主演されている映画「だいじょうぶ3組」
宣伝を兼ねているのですが、教育者である彼らの教育についての在り方を
語っていました。
 

例によって講演の全部はご紹介いたしません。
聴講者として参加した私が、一番心に響いた話に焦点を当てて
書いていきたいと思います。乙武さんの話のテーマは、
「人間だれしも個性がある。そこに気付き、伸ばしてあげる(のが教育)」です。
 

その中で彼の一つの持論として。
「頭の良い(学校の勉強が出来る)子は、運の良い子」
というものを紹介していました。
 

どういうことかと言うと、
「学校の勉強ができる」という長所は、周囲(親)から
価値を認められやすい長所である、だから運が良い子。
認めてもらいやすいポジションを確保できたのだから。

さらに言うと、今はそのポジションにいない子も、
(自分を認めてもらうために)そのポジションを目指そうとする。
 

もちろん、一生懸命勉強をすることは、何よりも大事なことですが、
そこに価値観の狭小化が生じてしまうことは問題であるとも感じます。
 

乙武さんは加えて、ある一つの例を出しました。

「漫画『ドラえもん』に出てくるのび太。彼は、勉強もできませんし、運動もできません。しかし、あやとりにかけては天才的です。でも、周囲はなかなかその価値は認めてくれません。あくまで特技の一つ。『そんなことよりも勉強しろ』と言われてしまう。だけど、教育の原点って、一人ひとりの個性・価値を認めつつ、大きな目的に導いていくこと、だと思う。だから、教育側(親)は、まずは一人ひとりの個性・価値を認める努力が必要だと考える。そこからすべてが始まる。教育側が、価値観の狭小化になってしまってはいけない」

という趣旨の話をしてくれました。
 

とても感銘を受けつつ、障害者ビジネスの根幹は
そこにあるのではないかと考えました。
 

障害もしくは障害者の運が悪い部分があるとしたら、それは、
「(障害によって社会から)価値を認めてもらいやすいポジションから
外れてしまいがちになる」
ということではないでしょうか?
 

たとえ障害を持っていたとしても、
社会からフツーに価値が認められるポジションを築いてさえいれば、
別に、障害も運が悪いことではない、ということになると思います。
 

もちろん、感情的な問題もあると思いますし、
そんな一元的な話でないのもわかっています。
少し視点を変え、話をビジネスの場で考えてみましょう。
 

市場が飽和化し、画一的な商品・サービスが増える中で、
他社と差別化している企業は、味・価格・サービス・雰囲気・
ブランド・販売方法・利便性 etc…さまざまなもので工夫をしています。
特定の企業を上げるといろいろと問題があるので、、、そこは割愛します。
でも、イメージはみなさんもわいてくると思います。
 

要は、人(他社)と違う強みを発揮しようと必死なわけですよね。
さらに言うと、出発点も他社と当然違うのだから、
その部分を資産と考えているわけです。そこが本質なのではないかと。
 

話を障害に戻して。障害という実質的・物理的なハンディキャップを負うことは、
確かに大変不便です。しかし、本当の意味で人生を勝ち抜いていくためには
人との差別化が必要です。その際、根本的に人とは違う部分があるというのは、
大きな強みにもなると思うのです。早いうちから覚悟が違ってきます。
 

以前、話をしたことがあるキャリアカウンセラーの言葉が印象的でした。
「あくまで私の見解ですが。障害者と健常者。就職・転職市場において、
本当の意味で優秀なのは障害者だと思います。理由として。
障害者の方は、物理的に出来ることが制限されてしまう。
だけど、その分、ご自分のできることを必死でやってくるので
専門性が生まれます。企業で求められるのは専門家です。

逆に、健常者は身体の自由が利く分、なんでもやろうとします。
それはそれで良いと思いますが、結局、その人は(雇用市場において)
具体的に何もできない人なのです。そうした人が思いの外、とても多いのです。
障害者の方もそうした部分をアピールでしていってほしいと考えます」
 

こう書いている自分自身も、障害を負った当時は、
出来なくなったことの多さに愕然としました。
しかし、年を重ねるとともに「自分の価値=社会への価値」
と考えられるようになると、違った捉え方もできるようになってきました。
 

ただ、そうした考え方が、10年15年早くできていればなぁ~(笑)と思いつつ、
Plus-handicapでは少しでも価値の伝播をしていければと感じています。

 

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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この記事を書いた人

堀雄太

野球少年だった小学4年生の11月「骨腫瘍」と診断され、生きるために右足を切断する。幼少期の発熱の影響で左耳の聴力はゼロ。27歳の時には、脳出血を発症する。過去勤めていた会社は過酷な職場環境であり、また前職では障害が理由で仕事を干されたことがあるなど、数多くの「生きづらさ」を経験している。「自分自身=後天性障害者」の視点で、記事を書いていきたいと意気込む。