気にはなるけど、実際にはそこになくて、でも、一度気にしてしまうと気になって仕方がないものってなーんだ?
答え、コミュニケーション能力。
ぶっちゃけ、愛とか、心とか、モラルとか、リテラシーとか、該当しそうなものはいっぱいありそうだけど、コミュニケーション能力がその答え。今回は。
編集長から「コミュニケーション能力と生きづらさについて一本書いて欲しい」と頼まれて、今回書いてみているけれど、これが決して「未読さんはコミュニケーション上手だから」じゃないのが編集長の面白いところ。Plus-handicapの面白いところかもしれない。
「コミュニケーションについてめちゃめちゃ考えていそうだから」依頼される。
最初に書いてしまうけれど、コミュニケーション能力って怪談のようなものだと思っている。
それは、コミュニケーション能力の「高い」「低い」がそれぞれ曖昧だから。どういう状態だと高いのか?低いのか?その答えが明確じゃない。
例えば、人気がある人は「高い」のか。そもそも「人気がある」ってどう判断すればいいのかという話なんだけど、それこそ、SNSのアカウントのフォロワー?友だち?投稿へのいいね?その数が多ければ、人気があって、コミュニケーション能力が高いのか。
では、フォロワーは多いけど炎上を起こしやすい人は「コミュニケーション能力が高い」と言えるのか。炎上を起こさないしフォロワーも多い人、いわゆるインフルエンサーみたいな人は「高い」と言えるのか。芸能人だから、有名人だからって、そうなるとコミュニケーション能力は関係ない。
はたまた、人間関係でトラブルを起こさない人が「高い」のか。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ……的なカタチだと、言いたいことを言えずにトラブルを起こさないだけ。トラブルを避けて、だんまりを決め込むのも「高い」ではない。
それこそ、会話を盛り上げるための引き出しが多いと「高い」のか。
「昨日の日本代表の試合見た?」「見た見た!あとちょっとだったのにね」と話しているのを見て「なるほど、日本代表=サッカーの話題→共通の話題があると会話しやすいのか」とサンプルをひとつひとつ集めていけば「高い」になれそうだけど、そんなこと考えている時点で、もうダメ(笑)。
どうすりゃ高くなるのかもわからないし、何をやっちゃうと「低い」になるのかも曖昧。
でも、きっと、コミュニケーション能力が「高い」人って、こんなことイチイチ考えてない。
もうひとつ気になることがある。
「君はコミュニケーション能力が低い」とか「コミュニケーションコストがかかる」とか、コミュニケーションに関する指摘って、コミュニケーション能力が高い人からは出てこない。
「高いな」って思う人は、相手がどんな人でも接することができる。というか、気にしてない気がする。
気にするのは「低い」人なんじゃないか。”自分では”上手く対応できない。だから、あなたのコミュニケーション能力について、コメントしてくる。
「あなたは低い」と言われたならば、言った相手が「コミュニケーション能力低いんです、私」とカミングアウトしてるようなもんだと、割り切った方がラクなんだろう。
「高い」人だと、相手を傷つけるようなことは言わないでしょ?少なくとも、伝わるように、傷つけないように、話すはず。「低い」人に「低い」と言われたならば、いったい何を鍛えればいいのか、わからなくなるのもうざったい。
と考えると、実際は、コミュニケーション能力に「高い」も「低い」もないんじゃないかとなってくる。コミュ障なんてものも存在しないのかもしれないし、気遣いや気配りで解決できるのかもしれない。もう、みんな、余裕がないだけなんだろう。
「こうしてもらえるとやりやすいな、嬉しいな」という要望を「こちらから言わずともやってくれたから”高い”」「やってくれなかったから”低い”」と、相手のことを気遣わずに判断しているだけなのかなと。どれだけ、上から目線なんだ……(笑)
ほら、なんか怪談っぽい。
「これは友だちの友だちが体験した話なんだけど…」って誰!?
身近っぽく聞こえるけど、実は遠い話。そもそも存在していないかもしれない。
「コミュニケーション能力」って言葉を意識した時点で飲まれているんじゃないか。
仕事でも就活でも日々の人間関係でも。コミュニケーションがきっかけでうまくいかなくなったり、心がすり減ったりする。
でもよくよく周りの人たちを見ていると、高い人はコミュニケーション能力なんて気にしてないし、低い人は「自分は低い」と気づいてすらいない。コミュニケーション能力っていう”まやかし”を意識し始めると、途端に生きづらくなっちゃう。
実は、コミュニケーション能力って高くなるほど負担が増える。だって、いろいろなことに気づけちゃうから。低い人のほうが楽なんじゃないだろうか。
でも気づけちゃう側になったのであれば、「高めよう」「上手くなろう」なんて考えるより「気にしないようにしよう」と考えたほうが、きっと生きやすい。