「なんとなくしあわせ」の大切さー柔道整復師&メンタルケア心理士の千葉司さんに聞く

「病は気から」という言葉がありますが、ストレス過多であったり、不安や悩みごとを抱えていたりしていると、体の調子も悪くなる。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。心と体は不思議なくらい、つながっています。
 

「心と体が必ず楽になる、どこにもなかった接骨院」をコンセプトに、2016年9月に東京の代々木上原にオープンした「小道のほぐし 接骨院」。柔道整復師として体の治療を行う一方、メンタルケア心理士の資格を活かしてカウンセラーとしても活動する千葉司さん。
 

そんな千葉さんに「心と体のケア」「しあわせってなに?」をテーマにお話を伺いました。
 


 

体のケアと心のケアの両立

 

ー「接骨院」と聞くとケガを治療するイメージがありますが、千葉さんは「心と体のほぐし」をテーマにされています。「心」に注目した経緯を教えてください。
 

千葉さん:体のケアは心のケアにつながるし、心のケアは体のケアにつながる。単純にそう思ったからです。業界に入って10年近く経ちますが、最初は体のケアだけでした。柔道整復師という国家資格をとって整形外科に勤めていた頃、新人なのに治療効果が良いとご指名をいただくようになって。
 

ーおおっ!それは、腕がよかったからですか?
 

千葉さん:いや、新人なので、腕がいいとか技術があるとかではありませんでした。周りには10年選手とか、鍼灸師やトレーナーとかの資格も併せ持っている先輩がたくさんいましたし、その人たちと比べて、知識が深いわけでもありません。「なぜ指名がいただけるんだろう?」と考えたときに「誰よりも話を聞いているからかもしれない」と思いました。旦那さんが亡くなったというおばあさんの話を聞いて、一緒に泣きながら施術をしていたこともありました。そういうことを繰り返して「治ったのは、あなたのおかげです」と言ってもらえたりしていました。
 


 

千葉さん:「みんな体の不調もそうだけど、しゃべりに来ているんだ」と感じたとき「じゃあ、これって心の問題にも寄り添わないといけないんじゃないか」と気づいて、心のケアの勉強を始めたんです。施術に取り入れ始めてみると、良い結果が生まれるようになりました。
 

ー体のケアと心のケアを両立させながら行う施術ってどんな進め方なんですか?
 

千葉さん:正直に言って、体をほぐしながらいろいろなことを聞くだけ。特別なことではありません。施術中の雑談がカウンセリングになっていると言えば分かりやすいと思います。最近では、カウンセリングを受けるために接骨院に来ていただくことも増えました。体と心はつながっているので、体の不調の箇所の原因を探ることで、ストレスの原因や生活上の悩みなどを発見することができます。逆も然りです。僕は普通の施術者よりもじっくり話を聞くだけ。そして、体のケアと心のケアに対する知識を持っているだけです。僕との時間を通じて、体と心、両方ともほぐれたなと感じていただければ嬉しいです。
 

ー施術料金の取り方も変わっているんですよね?
 

千葉さん:施術料金1円からというスタイルでやっています。効果がなかったと思えば、60分の施術料金は1円でも構いません。タダではないですけど(笑)。このスタイルにしてから、実は売上が伸びています。僕も今までのような「1時間いくら」というようなスタイルより、一人ひとりに真摯に向き合うようになりました。
 

「ちょっとくらい悩みがあっても、なんとなくしあわせ」

 

ーこれまで多くの方の体と心のほぐしをされてきた千葉さんが大事にしていることは何ですか?
 

千葉さん:今って「なんとなく」が許されないような時代になってきているじゃないですか。「イエスかノーかはっきりしよう」「白か黒か決着つけよう」みたいな空気が広がっていて。
 

ーパートナーに「なんで私のことを好きなの?」って聞かれて、「なんとなく」って答えたら絶対に怒られることと似ていますね(笑)。
 

千葉さん:でも、「ここが好き」って言ったら「そこが無くなった瞬間に嫌いになるのか?」って思いませんか?それなら「なんとなく」と言っておいた方がやさしく包んでいるような感じがします。
 

施術台のすぐ横にホワイトボードが。


 

千葉さん:僕は「なんとなくしあわせなら、それでいいじゃん」ってところに持っていきたいんです。「お金をこのくらい稼がなきゃ」とかの「こうじゃなきゃ」というのをもっとやわらかくしたい。これは最近スタートした「小道の部屋」の想い(※後述)でもあります。お金を稼いでも、また失う恐怖とかが出てくる。「ちょっとくらい悩みがあっても、なんとなくしあわせ」と思えたら、それだけでしあわせですよね。
 

ー悩みがない状態って怖いですよね。ストレスも同じで、ストレスがないと人間は生きていけなくなるように。
 

千葉さん:怖いです。みんないいことだけを目指すじゃないですか。「ずっと喜んでいる人生が果たしていい人生か?」と考えると、それはもう喜びとして感じられないですよね。嫌なことがあるからこそ、いいことがあって、苦しいことがあるからこそ、憙びがある。波が無いとおもしろくないですよ。
 

接骨院を「みんなで意見を交わせる場所」へ

 

ー先ほどのお話にも出てきましたが「小道の部屋」という場づくりを始めたと聞きました。「小道の部屋」を始められたきっかけは何ですか?
 

千葉さん:心と体のケアについて、自分の考えをブログやフェイスブックに3年間毎日欠かさず書いていました。それころ、1日に2本や3本発信するときも。ただ、SNSは相互コミュニケーションが生まれやすいと言われていますけど、一方通行。どれだけ発信しても、相手がどう感じたかはコメントが来ない限りわからないし、コメントが来たとしてもそれが真意とは限らない。だから「もっとリアルに話し合える時間があった方がいいんじゃないか?」と思いました。単純にSNS疲れしただけかもしれませんが(笑)。
 

ー施術やカウンセリングはマンツーマンで行われるものなので、接骨院をリアルに話し合える場所にするという考え方が新しいですよね。
 

千葉さん:それぞれにしあわせがあるから、お互いが思っていることを共有できれば、よりよい世界になるはず。みんなで意見を交わすことで、みんなでしあわせになろうよという感覚です。心のケアをするうちに「どうすればやる気が出るのか」は個々人で違うなと感じたんです。「こうやった方がいい」と直接伝えたほうがいい場合もあるし、遠回しに伝えたほうがいい場合も、自分で気づく場合もあって、バラバラ。「心と体のほぐし」だけではないサービスとして選択できるものかなと考えています。ぜひ、遊びに来てください!
 

ここでは詳しく書いていませんが、元プロ野球選手、21歳の頃に多額の借金を抱えていたなど、興味深い過去もある千葉さん。「ちょっとくらい悩みがあっても、なんとなくしあわせ」という言葉は、自分の経験から生まれているのかもしれません。
 

施術料金1円からという投げ銭制や接骨院を多くのひとが集まる場所へするという意欲など、ユニークな観点から心と体のケアを展開する千葉さん。施術はもちろん「小道の部屋」に遊びにいっても面白そうです。「小道の部屋」は毎週水曜日午後に開催しています。
 

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「小道のほぐし 接骨院」
東京都渋谷区上原2-43-7-101
小田急線・東京メトロ千代田線 代々木上原駅から徒歩5分
http://group.komichi-co.com/access/
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ライター:森本しおり
 

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