障害者に一番偏見をもっているのは、親と先生かもしれない。

知的障害を持っていても、年収1000万稼いでいます。
 

皆さんはこのフレーズを読んでみて、どう思いましたか?素直に納得できる方はほとんどいないのではないでしょうか。「そんなはずない」と感じた方も多いのではないでしょうか?
 

私自身、障害児教育の現場に従事していますが、その反応のとおりで、そんなはずありません。ここまで稼いでいる知的障害の方は、私が接した限り、そして知っている限りの中では聞いたことがありません。では、なぜこんなことを書いたのかというと、この「知的障害者でも年収1000万」というフレーズが皆さんにとって衝撃を受けるという事実を伝えたかったからです。
 

知的障害というと、どんなイメージがあるでしょうか?少なくとも「年収1000万」という言葉からは大きくかけ離れているのではないでしょうか。
 


 

70歳のおばあちゃん、年収1000万稼いでいます。

 

『そうだ、葉っぱを売ろう!』という本があります。株式会社いろどりの横石知二さんが書いた本です。
 

かなり有名な会社なので、説明の必要はないかもしれませんが、株式会社いろどりは人口2000人の徳島県上勝町という過疎化が進んでいるような町で、刺身料理などに使われる「つまもの」を商品化したという会社です。
 

この本を読んで、私が衝撃だったのがここで働くおばあちゃんたちの年収でした。中には1000万の年収のおばあちゃんもいるのです。70歳のおばあちゃんたちが、です。
 

衝撃は、マイナスイメージの裏返し

 

「70歳のおばあちゃんが、年収1000万」というフレーズはかなりの衝撃があるものです。なぜ衝撃的なのかといえば、当たり前ですが、おばあちゃんに対するマイナスイメージがあるからです。
 

例えば、年金暮らし、病気持ち、認知症、動けない。そんな「できない前提」があってマイナスイメージをもっているので、年収1000万が衝撃的なわけです。
 

このマイナスイメージは、先述した「知的障害」についても同じです。知的障害=できない、仕事が遅い、うまく話せない、などといったマイナスなイメージを抱くことが多いのが現状ではないでしょうか。
 

要するに、言葉から放たれる衝撃というのは、マイナスイメージの裏返しなのです。
 


 

「知的障害者でも年収1000万」に衝撃を受けるのは、親と先生だけ?

 

「知的障害者でも年収1000万」というフレーズについて、もう一度考えてみます。このフレーズに一番衝撃を受けるひとってどんなひとでしょうか。
 

私は親と先生ではないかと考えます。そこに福祉関係者も含まれるかもしれません。いずれにせよ、関係者がもっとも衝撃を受けるのではないでしょうか。
 

親も先生も福祉施設で働いている方も、毎日のように近い場所に知的障害をもつ方がいると、「できる」ことよりも「できない」ことの方が目についてしまいます。「今できることの範囲内で頑張らせよう」としてしまいますし、「できない前提」で接してしまいがちです。近くにいればいるほど、可能性は見えづらいものなのです。
 

しかし、私は「障害児の可能性を広げよう」といって、何が何でも長所を見つけようと言いたいのではありません。知らず知らずに関係者が抱いている「できない前提」に気づくことが大切だと考えています。
 

一番偏見を持っているのは自分かもしれない。たまにはそんなことを考えてみてもいいかもしれません。
 

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