発達障害のパートナーが陥りやすいカサンドラ症候群って知っていますか?

私はかつて、発達障害のパートナーと共に道を歩んでいました。
 

一般的に「カサンドラ情動剥奪障害」とは、アスペルガー症候群持ちの配偶者・パートナーに現れる二次障害です。カサンドラ症候群、またはカサンドラ状態と言われることが多いです。
 


 

カサンドラとは元々どんな意味なのでしょう。
 

カサンドラというのは、ギリシア神話に登場するトロイの王女の名前である。太陽神アポロンに愛されたカサンドラは、アポロンから予知能力を授かる。しかし、その能力でアポロンに捨てられる未来を予知したカサンドラは、アポロンの愛を拒絶したので、怒ったアポロンに「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけられた。カサンドラは真実を知って伝えても、人々から決して信じてもらえなかった(wikipediaより引用)。

 

また、カサンドラ症候群というのは、どのような状態になるのでしょう。

 

アスペルガー症候群(AS)[注釈 1]の夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉である[1]。アスペルガー症候群の伴侶を持った配偶者は、コミュニケーションがうまくいかず、わかってもらえないことから自信を失ってしまう。また、世間的には問題なく見えるアスペルガーの伴侶への不満を口にしても、人々から信じてもらえない。その葛藤から精神的、身体的苦痛が生じる[2]という仮説である(wikipediaより引用)。

 

現在のDSM(精神障害の診断と統計マニュアル)には記載されておらず、あくまでも俗語です。ですが、カサンドラ状態の人たちが集まる自助グループなども盛んになるほどの用語となっています。
 

最近、発達障害がクローズアップされるようになり、その支援や合理的配慮の必要性が叫ばれるようになりました。大変素晴らしいことです。ですが、成人発達障害においては、必要とされる配慮項目が広く浸透しているわけでもなく、また一番近くにいる立場の人たちへの支援は著書や情報量が少ないため、個人的に悩む人たちが書くブログが検索上位にヒットすることが現実です。
 

ならば「アスペルガーをはじめとする発達障害と呼ばれる人たちは酷いのか、または故意にパートナーを傷つけているのか?」と問われたら、それはNOです。単に酷い人たちであれば、そもそも彼らに近づかないかと思われます。私だって、彼の不器用ながら純粋なところに惹かれ、こんな人は他にいないと思っていました。それは今も変わりません。だから幸せになれるのだと思っていました。
 


 

私はパートナーから「あなたがカサンドラ状態になったらどうしよう」と心配されたことがあります。そこで初めて検索することになりました。ですが当時は他人事でした。彼が発達障害であることは重々承知でしたし、それを悲観的に捉えたことはありません。むしろ「得意・不得意」が極端であることが彼を苦しめていたので、それを見ていることが大変心苦しかったです。
 

では、どのような人がカサンドラ状態になりがちなのでしょうか。
 

それは、共感性が高く、責任感が強い人に多いと言われています。「思いが伝わらない」「反撃される」「コミュニケーションが取れない」と悩み、誰かに相談しても「別れたらいいのでは」「責任感がない」「理解が足りない」と、ことごとく言われ、自分の状況を思いやってくれる人はいませんでした。そして孤立していきました。
 

私は抑うつ状態となり、自己肯定感が一気に下がりました。「おかしいな、どうしてだろう…」と考えたとき、ハッと思い、また「カサンドラ症候群」で検索してみました。すると、正しくカサンドラ状態に陥っていることに気づかされました。
 


 

こんなこともありました。私が子宮内膜症を患い、我慢できないほどの月経痛を伴っていました。そこで相手の気持ちを想像しづらい彼は「そんなにつらいなら、子宮を摘出すればいい。そうすればQOL(生活の質)が上がるじゃない」と簡単に言い切りました。
 

手術をするということ、また女性のシンボルである子宮を取ってしまえと堂々と言い切りました。それを「酷い」と言っても彼からすると「私が楽になるように」と気遣っているつもりでした。呆れた態度を出すと、否定的に捉えられてしまったようです。
 

私は結果的に彼と別れる選択肢を選んでしまいましたが、うまくいっている人たちもいるようです。この記事を読んで「カサンドラ状態かも…」と心配になるかもしれません。アスペルガー症候群を始めとする発達障害を持つ人たち、もしくはその親にあたる人たちに不安を煽る記事になるかもしれません。ですが、カサンドラ症候群を克服する人たちもたくさんいます。
 

自助グループに参加すること、書籍を読んで勉強することだけでも、心持ちはだいぶ違ってくると思います。私はパートナーがアスペルガーを始めとする発達障害を持っているからといって「別れ」を選んで欲しいとは思いません。むしろ不器用ながらまっすぐなところを、どんどん応援していただける人が増えたら本望です。
 

【参考文献】

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この記事を書いた人

小笠原 早苗