CEOならぬCHO(最高健康責任者)が会社に必要な3つのわけ。

会社や組織には必ず経営トップがいます。CEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)など、日本でもこのような肩書きが増えてきましたが、実は、この中に新たに「CHO(最高健康責任者)」を含めようとする動きが始まっています。おそらく、ほとんどの人が知らないと思いますが、CHO(最高健康責任者)とは何なのか、そしてなぜこれからの会社にはCHO(最高健康責任者)の存在が不可欠になるのかをお話したいと思います。
 

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そもそもCHO(最高健康責任者)ってなに?

 

CHOとはChief Health Officerの略で、会社や組織などが従業員やその被扶養者の健康づくりを企業経営の一部として位置づけ、経営責任として従業員等の健康マネジメントを組織的に運営していくための最高責任者のことです。つまり、従業員の健康をマネジメントするプロが企業経営のトップ集団の中に入るということ。これは産業保健業界からすると、飛躍的な大進歩になります。
 

2014年ごろから徐々に、日本の大手製薬会社や医療機器メーカー、大型飲食チェーン店などでもCHO(最高健康責任者)を導入し始めています。また経済産業省は2015年3月「日本再興戦略」による取組の一環として、東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」22社を初めて選定・公表しました。健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場会社の中から、従業員等の健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に実践している企業を選定して紹介しているものです。
 

CHO(最高健康責任者)の導入や健康経営銘柄企業の選定などが始まったということは、働く人の健康を守ることこそが企業にとって最も重要な成長戦略の一つであるということに、ようやく日本の会社や組織が気付き始めたという大きな証拠です。
 

CHO(最高健康責任者)が会社に必要な3つのわけ

 

では、このCHO(最高健康責任者)という存在は会社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?私は以下の3つのポイントがあると考えています。
 

①会社のコストカットに貢献できる
 

先日話を聞いた、とある大企業の健康保険負担額は年間20億円前後だそうで、その保険料は従業員とその家族の医療費に使われるほか、政府を通じて高齢者医療の支援金となっています。したがって、企業の保険料負担の総額を圧縮するには、従業員とその家族の医療費を抑制するしか方法はありません。
 

CHO(最高健康責任者)が従業員の病気や怪我、障害を負わないような予防のシステムを組織的につくり、中長期的観点に立って従業員の健康レベルを上げることによって、医療費を抑える。医療費を抑えること自体はいい響きには感じづらいかもしれませんが、健康促進によってそもそも医療費がかからないようにできれば、コストカットと健康維持という一挙両得な仕組みができあがります。
 

②会社の業績と価値の両方をアップさせる
 

従業員の健康は会社にとって一番の資本だと私は思っています。心や体の病気を抱えながら仕事をすることは働きづらさを生み出し、会社にとっても労働生産性の低下を招きます。その両者にとってのメリットは健康であり続けること。できるだけ従業員には健康で長く働き続けてもらったほうが、総合的にみて会社の業績と企業価値を高めることにつながります。
 

現に、先ほどお話した健康経営銘柄企業の株価について東証が2005年1月からの値動きを指数化したところ、東証株価指数全体を大幅に上回っていたそうです。やはり、社員の健康づくりを真剣に考えて取り組んでいる会社は絶えず成長し続けられるのではないでしょうか。
 

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③働く人が病気になるリスクを減らす
 

これが最も大切なことだと考えています。会社や組織全体を改善することはもちろんですが、働く一人ひとりの健康レベルを上げて健康的な人生をサポートするという基本的なケアができなければ、CHO(最高健康責任者)を導入する意味はありません。働く人が何を望んでいるのか、どう改善してほしいと思っているのか、会社としての健康問題は何か、まずはその声をしっかり聞くことが健康的組織改革の第一歩ですし、CHO(最高健康責任者)になるべきひとは、これができる人材でなければならないと思います。
 

CHO(最高健康責任者)はまだまだ新しい概念であり、社会に浸透していくにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、企業経営にとって必要な存在であると世の中が何となく気付き始めたということは、とてもよい流れだと私は思います。10年後20年後の日本が、皆さんにとって健康的で働きやすい社会になるように、私も保健師として微力ながら貢献していきたいと考えています。
 

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