【うつ経験者インタビュー】うつ病はつらかったけど、人生にプラスになっていると思う

うつ病で苦しむ人はたくさんいます。けれど、その苦境を乗り越えて自分らしく生きられるようになった人もたくさんいます。今回は、その一人であるAさん(30代男性)に話を聞いてみました。うつの苦しみを乗り越えたAさんの言葉は、明るく前向きなものでした。
 

伊藤さん原稿0512①
 

つらいのが当たり前だと思っていた

 

Aさんがうつ病を発症したのは、今の仕事に就いて2年目のこと。まだ仕事に慣れていないこともあって、毎日忙しく、夜遅くまで残業する日々だったそうです。
 

「休みの日も仕事のことばかり考えてしまって。ストレスをうまく発散することができなかったんです。食事もだんだん摂れなくなって、体重も減っていき、夜もなかなか寝付けなくなりました。その症状を、職場の同期に話したところ、受診したほうがいいんじゃないかと勧められて、病院へ行きました。」

 

徐々にうつ病の症状が現れ始めてからも、自分がうつ病だとは思っていなかったAさん。
 

「仕事も始めたばかりだし、みんなこんなもんだろう、つらいのは当たり前だろうと。仕事に慣れれば、楽になるだろうと思っていました。だから、まさか自分がうつ病になるなんて、と思いました。でももう限界だったので、休むのは仕方なかったです。」

 

休む環境が良かったのはラッキーだった

 

休養中は、環境に恵まれていたというAさん。休む環境が良かったことが、回復にもつながったようです。
 

「実家に住んでいたので、日常生活に関する心配はありませんでした。両親もゆっくりと見守ってくれていたので、つらくはなかったです。ただ、生活のリズムは乱れていたし、友人と会うこともほとんどありませんでした。症状に波はあったし、寝てばかりなことも多かったです。職場の方も理解があって、ずっと待っていてくれました。」

 

周囲の理解もあって、徐々に職場へ戻ることに。簡単にはいかなかったそうですが、最終的に復帰することができたのは、やはり環境が良かったことが大きかったそうです。
 

「職場へは、症状が落ち着いてきてから少しずつ復職していきました。最初は出勤するだけ、次は1時間、それができたら2時間、午前中いっぱい、と徐々に時間を延ばしていきました。フルタイムに戻るまで、3ヶ月くらいかかりました。その前にも1回復職しようと試みたのですが、そのときはダメでした。2回目でようやく戻れました。そして復職する頃には、配置換えなどで上司や同じ部署の人が変わっていて、仕事内容も大きく変わったので、負担がずいぶん減っていたんです。今では定時で帰れるようになりました。働く環境が変わったことも、ラッキーだったと思います。」

 

通勤時の山手線
 

うつを経験したことはプラスだと思う

 

うつ病はつらい経験であるにもかかわらず、自分にとってプラスだと話すAさん。
 

「自分にとっては、うつ病になったことはプラスだと思います。いろいろなことを楽しめるようになったし、生き方が変わりました。病気になってよかったと思います。当時の自分に声をかけるなら、もっと息抜きしようよと伝えたいです。」

 

自分のあり方や生き方を見直すきっかけとなったうつ病は、結果的にAさんの人生にいい影響となったようです。
 

うつ病を発症してからここまでくるのに、5年かかったというAさん。今では薬も飲まなくていいくらいまで回復したそうです。そんなAさんの表情は明るく、生き生きとして見えました。今では趣味を楽しむ気持ちの余裕も生まれ、公私ともに充実しているそうです。Aさんが順調に復職し薬を手放すところまで来れたのは、本人の努力ももちろんですが、周囲の理解も大きかったと思います。ご家族の見守る姿勢、復職に向けた職場の環境など、やはりまわりの人たちの協力がないと、乗り越えるのは難しいのかもしれません。
 

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この記事を書いた人

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小松 亜矢子

1984年生まれ。自衛隊中央病院高等看護学院卒、元うつ病のフリーライター。元精神科看護師。22歳でうつ病を発症し、寛解と再発を繰り返して今に至る。そんな中、自分自身のうつ病がきっかけで夫もうつになり、最終的に離婚。夫婦でうつになるということ、うつ病という病気の現実についてもっと知ってほしいと思い、ブログやウェブメディアを中心に情報発信中。孤独を感じるうつ病患者とその家族を少しでも減らすことが願い。