うつ病になった自分を生きづらくしていたのは、他でもない自分自身だった。

うつ病になって、この社会はなんて生きづらいんだろうとずっと思っていました。世間の偏見、サポートの受けにくい職場、再就職へのハードル…。幾つも生きづらいと感じる要素はあったけれど、そんな状況に追い込んでいた要因のひとつは、他でもない自分自身にありました。
 

鏡像
 

自分はダメだという思い込み

 

生きづらさを作っていた要因。それは、自分自身に対する「ダメだ」という思い込みでした。症状が改善しても、できることが増えてきても、「自分はうつになったからダメなんだ」と頭のどこかで思っていたのです。
 

かつての職場や学校の同期と比べたり、テレビや雑誌に出てくる同世代を羨んだりしては、「なんて自分はダメな人間なんだ」と落ち込んでいました。早くまともに働けるようにならなくちゃと焦っては、また悪化するという悪循環を繰り返していました。
 

今となってみればわかります。その思考がなんてバカなものだったんだろうと。「ダメ」と決めつけているのは自分だけで、まわりに何と言われたわけでもないんです。それなのに、病気になったという事実だけで自分は「ダメ」な人間だと、自分でレッテルを貼っていたのです。
 

できることはたくさんある

 

うつ病になったとはいえ、できることはたくさんあります。散歩に行く、本を読む、食事を作る、掃除をする。どれも簡単なことだけれど、ちゃんと人として真っ当なことばかりです。毎日はできないかもしれないけど、時々やるくらいならできるでしょう。
 

いきなりハイレベルを目指すから、できなくて落ち込むんです。できることを積み重ねていけば、レベルは少しずつ上がってきます。どうしても比較するならば、それは他人ではなく、過去の自分なんです。
 

私も何もできない人間になってしまったと思い込んでました。でも、今の最低レベルでもできていることをひとつずつ認めて、できる回数を増やしていって、段々とできることのレベルを上げていった結果、こうやって文章を書いたり働いたりできるまでになりました。
 

人と比べず、今の自分でできることを受け入れてあげればいいのです。
 

日の出
 

思い込みをなくしたら生きやすくなった

 

「何もできない自分」という認識から「ほんの小さなことだけど、何かはできる自分」という認識へシフトしたら、ずいぶん生きやすくなりました。
 

毎日のなかで「できること」というプラスの視点で物事を見るようになると、自分への評価も変わってきます。マイナスなものばかりを気にすると、自分への評価はマイナスに、プラスのものに目を向けるようになれば、自分への評価はプラスに傾いてきます。「今日はこれくらいできたから、明日は違うことができるかな」と考えられたら、生きる力にもなります。
 

私は仕事をしていない間は、朝起きられたらOK、掃除が1か所できたらOK…というように、本当に些細なことから自分にプラス評価をしていました。自分で自分にOKを出すこと、それが生きやすくなる一番の近道なのかもしれません。
 

うつ病になって生きにくくなる要因はたくさんあります。でも、自分になかにある思い込みという生きづらさをなくすだけで、世界は少しやさしくなるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

小松 亜矢子

1984年生まれ。自衛隊中央病院高等看護学院卒、元うつ病のフリーライター。元精神科看護師。22歳でうつ病を発症し、寛解と再発を繰り返して今に至る。そんな中、自分自身のうつ病がきっかけで夫もうつになり、最終的に離婚。夫婦でうつになるということ、うつ病という病気の現実についてもっと知ってほしいと思い、ブログやウェブメディアを中心に情報発信中。孤独を感じるうつ病患者とその家族を少しでも減らすことが願い。