ステッキユーザーによるヨーロッパ旅行体験記②~ポルトガル&スペイン~

ステッキユーザーによるヨーロッパ旅行体験記第二弾!今回はポルトガル&スペインのレポートを綴ってゆきます。
 

「第一弾:イギリス編」はこちら → //plus-handicap.com/2014/12/4648/
 

楓友子20150306①
 

(1)ポルトガル
 

ポルトガルのなかでも最南端、ファーロに滞在した私たち。ポルトガル?ファーロ?と日本ではあまり馴染みのない地名ですが、ヨーロッパのなかでは温暖な気候のおかげでリゾート地、リタイア後の移住地として有名なようです。日本で言うと沖縄のような感覚でしょうか。
 

-ポルトガルはとにかく雑。
 

作りかけですか?とつっこみたくなる像
作りかけですか?とつっこみたくなる像

 

あまり裕福な国ではないせいか、とにかくポルトガルはいたるところが雑な作りとなっています(笑)。私はその雑な感じがツボにはまったのですが。一部の高級住宅や大型デパートを除いて、基本的に建物も道路も公園も色々雑です。大きな道路は舗装してありますが、小さな道路やちょっとした広場なんかは石畳も多いです。これらは未だに職人さんがひとつひとつ石を敷き詰めて作るのだそうです。なんて気の遠くなる作業。でもだからこそのあたたかみも感じられるんですけどね。
 

手作業でつくっているという道路
手作業でつくっているという道路

 

車椅子の方もいらっしゃいましたが、デコボコ揺れてかなり進みにくそうでした
車椅子の方もいらっしゃいましたが、デコボコ揺れてかなり進みにくそうでした

 

-ポルトガルの杖は木製がほとんど。
 

楓友子20150306⑤
 

おしゃれなステッキがたくさんあった英国とは打って変わって、お店でも街中のユーザーさんでも、ポルトガルで見かけた杖は木製ばかりでした。イギリスだったら木製杖でも「この素材は貴重な○○を使っていて…」「一本一本職人が手作りで…」となりそうなものですが、ポルトガルではやはりこのへんも、雑(笑)。とりあえず使えればいいわと言わんばかりのつくりです。
 

楓友子20150306⑥
 

しかし、大型デパートの看板を見て驚き。なんとステッキユーザーのマークが、ハットを被ってオシャレになっているではありませんか!今回の旅ではヨーロッパ5ヶ国を回りましたが、ハットを被っているのはここだけ。ステッキユーザーとしては、なんだか嬉しくなっちゃいました。
 

―なんて素敵なポルトガル生活。
 

ちなみにポルトガルでは、「ポルトワイン」と言うワインも有名だそうです。日本生まれで現在ポルトガルに在住の伯母が言うには、「ポルトガルのワインはとっても美味しいのよ。もっと売りに出せばいくらでも買い手がいると思うのに、この国の人たちは『まぁ自分たちが美味しく楽しめるだけ作れればいいよ~』って考えなのよね」とのこと。
 

そんなこの愛すべきポルトガルでは、なんとお昼休みが3時間もあるそうです。12時から15時くらいまでワインを飲みながらゆっくりお昼休憩をするというから、「それじゃ夜帰る時間が遅くなるんじゃない?」と聞いたら「そうなのよ!大体19時くらいに仕事が終わるから帰ったら20時くらいになっちゃうわよ。遅いわよね。」と。ワーカーホリックな日本人からは考えられないような生活。日々を大切に暮らすポルトガルの暮らし、素敵ですね。
 

(2)スペイン
 

ポルトガル滞在中に、スペインにも少し足を延ばしてきました。ユーロ圏内はパスポートもいらずに行き来できるので、東京在住の方が「ちょっと静岡でも行こうか」くらいの感覚で行けちゃいます。
 

ポルトガルからスペインに入るときの高速道路の看板。「see you soon」!
ポルトガルからスペインに入るときの高速道路の看板。「see you soon」!

 

スペインと一言で言ってもまぁ広いです。今回私たちが行ったのは、ファーロから車で3時間程で行けるセビリア。世界で3番目に大きいというセビリア大聖堂が街のシンボルで、フラメンコ発祥の地としても有名です。
 

街には馬車もたくさん走っていました!(日本でいう観光用の人力車みたいな感じですね)
街には馬車もたくさん走っていました!(日本でいう観光用の人力車みたいな感じですね)

 

観光バスの停留所から見た風景
観光バスの停留所から見た風景

 

セビリアの中心街は綺麗に舗装されているので、ステッキユーザーでも割と歩きやすいですし、路面電車が走っているので移動もしやすいと思います。観光用の二階建てバスも走っているので、「とりあえず街を一周してみたい」「観光地巡りをしたい」人にはこちらがおすすめ。価格はちょっと高いですが、日本語のオーディオガイドもありますし、歩かずに観光できるのでかなり助かります。
 

余談ですが、スペインは美女率が高かったです。「スペイン人は若いうちはいいんだけどね~…」と、イギリス人の友人たちは言っていましたが(笑)。
 

10日間ほどポルトガル&スペインを楽しんだ私たちは、次はパリへ向かいました。日本ではあまり知られていませんが(直通の飛行機もないですしね)、ファーロは本当に素敵な場所でした!青い海、青い空、新鮮なお魚、おいしいワイン、そして安い!
 

今回ヨーロッパを5ヶ国回って帰ってくるとたくさんの人に「どの国に住みたい?」と聞かれましたが、私は「老後に住むなら絶対ファーロ」と答えます。なぜ老後かっていうと、若い人にとっては仕事がなくて困りそうだからですが。愛すべきポルトガル、ぜひ一度、足を運んでみてくださいね!
 

次回はステッキユーザーのパリ旅行について書きたいと思います。お楽しみに~!

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この記事を書いた人

楓友子

21歳のときに交通事故に遭い、脊腰椎骨折、大腸破裂などの重傷を負い、杖が必要な生活となる。市販の高齢者向けの地味な杖を使うのが嫌で、2011年9月、24歳で独自ブランド「Knock on the DOOR」を立ち上げ、自身で装飾をした杖のインターネット販売を始めた。自分が嫌いで死にたいと思っていたが、事故を通じ「生きてるって奇跡なんだ」と知り、いのちへの考え方が180度転換。日本で唯一のステッキアーティストとして活動するかたわら、「生きるをもっと楽しもう」というメッセージを伝える活動も行っている。