健常者で裕福な家庭に生まれて、大学卒業後に職についても「生きづらい世界」に入り込む人もいます。大卒の3年以内離職者(早期離職者)はその一例です。
厚生労働省から最新の「大卒新規学卒者の3年以内離職率」が発表されました。大卒新卒者の3年以内離職率は32.4%で昨年よりも1.4ポイント上昇しています。これは、2年連続での上昇となっています。
参照:(厚生労働省HP)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000062635.html
PDFデータが見られない場合はコチラから → 新規学卒者の3年以内離職率データ
昨年よりも上昇しているという点から「ミスマッチが増えていることが原因」とか「ゆとり教育が原因」と考察している方もいますが、果たして本当にそうでしょうか。2年連続上昇する前まで、3年以内離職率は徐々に低下しており、3年前の28.8%は1995年以来最低の水準でした。さらに、今年の32.4%も2000年以降では5番目に低い水準であり、例年と比較すれば決して高い水準は言えません。それにも関わらずデータだけを見て「最近の若い人は~」と言われてしまいます。
私自身も早期離職者です。私と同じような早期離職者100名へインタビューとアンケートを行った結果を「早期離職白書」にまとめて発表したのですが、私は早期離職者を大きく二つに分類しています。それは、ポジティブ退職者とネガティブ退職者です。
ポジティブとネガティブの判断基準は退職企業への満足度です。退職企業に満足していたけど退職した場合はポジティブ退職、不満足であればネガティブ退職。私が行った調査では早期離職者のうち7割がネガティブ退職であり、ネガティブ退職の約15%はうつ病などの精神疾患です。私は、この事実まで行きついて、やっと「早期離職者は生きづらい」のだと感じました。
早期離職と一言に言っても、個別の事情は様々です。先ほど「早期離職は生きづらい」と書きましたが、そうでない人も当然いるでしょう。障害を持っていてもネガティブにとらえていないPlus-handicapの編集長と同じです。それでも「生きづらい」と感じている人と感じていない人のどちらが多いかと言えば、感じている人の方が多いでしょう。だから「早期離職は生きづらい」のです。
早期離職に関しては識者の見解も人によって異なります。「まったく悪くない。もっと雇用の流動性を高めるべきだ」という人もいれば、「由々しき問題である。」という人もいます。けれども、どちらも肝心の早期離職者が不在のまま話が進められてしまっていると感じます。
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早期離職の当事者として、早期離職白書の作者として早期離職の現状についてデータだけでなくリアルな話も含めて多くの方々に知っていただきたいと思い、インターネットの生講義「Schoo」で早期離職に関する授業を担当させていただくことになりました。
11月25日(火)21時~22時
「3年で辞めるのって得?損?早期離職白書の作者が語る若者のキャリアのあり方」
http://schoo.jp/class/1520
退職を考えている若手社員の方や、部下や後輩から「退職したい」と言われて困っている方など、身近に早期離職を感じている方なら役立つ情報をお伝えします。是非ご覧ください。