夫がうつでも家族である私が明るくいられる理由とは?

私自身が元うつ病患者でありながら、夫もうつを発症している私たち夫婦。夫が発症してから3年くらいになるかなと思います。これまでいろいろあったけれど、どうにか暮らしていけているし、今は比較的明るく過ごすことが出来ています。
 

伊藤さん1028①
 

うつ病患者どうしは引っ張られやすいと言います。具体的にどういうことかというと、友人とか家族とかうつ病を抱えた者同士が一緒にいると、どちらかが調子の悪いときに引っ張られるように、もう1人も調子を崩してしまうことがあるということです。全員に当てはまるわけではないけれど、よく聞く話だと思います。
 

我が家にもそういうときはありました。夫が調子が悪ければ私も暗くなっていたし、私が落ち込んでいると夫も憂うつになっていた。そういうことがあるから、うつ病のパートナーがうつ病になってしまうこともあるのでしょう(私の夫がこのパターンです)。けれど、私はそんなことがありつつも、再発せずにここまで来れました。それは、次に書くいくつかのことを心がけているからだと思います。
 

①長期スパンで物事を見るということ
 

どんな病気もそうだけれど、本人も家族も「早く治ってほしい」と願うもの。私はこれが、気持ちに余裕をなくす理由のひとつだと思っています。うつ病をはじめとした心の病気は、回復するのに時間がかかるものです。それを頭に置いて長い目で見ないと、「まだ治らないのか」と考え始めて追い込まれていくことになります。
 

私が最初に発症してから、通院を必要としなくなるまでに、約7年かかりました。世の中にはもっと長い期間闘病している人もいます。そう考えれば、1~3年なんてまだまだ短い。のんびりしていれば、そのうち良くなる。去年の今頃に比べれば、少しは良くなっている気がする。そんなふうに、長い目で見ながら、できるだけ前向きな気持ちで毎日過ごすようにしています。
 

②すべては理解できないと割り切ること
 

大事な家族や友人、恋人だから、そのつらい気持ちを分かってあげたい、力になりたい、と願うんじゃないかと思います。分かってあげられないなんてと思って落胆する人もいるかもしれません。でも、支えとしてその存在はもちろん必要なのだけれど、100%分かってあげられるなんてことはあり得ないと私は思っています。
 

なぜ発症したのか。
今、何がつらいのか。
どんなふうに世界が見えているのか。
 

それは、当事者でないとわかりません。同じ病気を経験した者同士でさえ、完全に分かりあえることはないのです。病状も環境も違うのだから。
 

すべてを分かってあげることはできません。でも、側にいるよ、私はあなたの味方だよ、というメッセージは伝わるように努力しています。話す時間をしっかり確保したり、つらそうなときは何も言わなくても隣にいたり、そういう配慮を欠かさないように気をつけています。
 

全部は分からないと割り切る。でも、気持ちは出来るだけ近い位置にいられるように。そう、日々心がけています。
 

③自分の気持ちを解放する時間を持つこと
 

仕事でバタバタして、家に帰れば夫が暗い顔をしていてだけの繰り返しが毎日行われていたら、私自身も憔悴してしまいます。したがって、自分自身のことも大事にするように心がけています。
 

私は幸い、職場の上司に理解があるので、「ちょっと今しんどいです」とか「仕事の集中力が欠けてて…」という訴えをその都度していました。それで仕事を休んだりすることはなかったけれど、話すだけで少し楽になりました。
 

そして、意識的に1人になる時間をとるようにもしていました。ちょっとお茶したり、いつもより長く歩いてみたり。そんなことをしていると、自分のことに目を向けることが出来るので、自分の中から出るSOSにも早めに気付けます。自分のことも大事にして労わってあげないと、長い闘病期間を乗り越えていくのは大変だと思います。
 

私自身が落ち着いていて、どっしり構えることが出来ていたら、夫にも「大丈夫、そのうち良くなるよ」って余裕を持って声を掛けてあげられます。ちょっと調子が悪くなっても、「そんな日もあるさ」って思うことが出来ます。
 

考え過ぎずに、考えること。悲観的になり過ぎないこと。そのうち良くなると信じること。そんな感じでいられたら、長い闘病期間もどうにかやっていけそうな気がしています。
 

※この記事は「GOOD!! Log」の記事を加筆、修正したものです。
http://www.ayk-i.com/post-1123/

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