社会的不利・困難を抱える若者応援プログラム集を手に取ってみて。

2014年3月末にNPO法人ビッグイシュー基金より発行された「社会的不利・困難を抱える若者応援プログラム集」が手元に届きました。若者という言葉の響きだけだと、若い・未来がある・希望に満ち溢れているというような印象を抱くこともありますが、今の若者は様々な問題や不利を抱える場合もあります。正確には、社会が成熟していくにあたって、今まで露見していなかった若者の問題が浮かび上がってきたと言えるかもしれません。
 

若者応援プログラム集
 

この冊子は首都圏を中心に活動している若者支援団体のプログラムを紹介するものです。主たる目的が「若者支援団体が分野の垣根を越えてそれぞれのプログラムを共有するため」となっているので、NPOや一般社団法人などの団体向けに作られていますが、むしろ、若者本人であったり、親御さんや学校などが持っていても役立つものなのではないでしょうか。
 

学習支援、自立準備、住まい、路上・不安定住居、シェルター、DV、児童養護、障害者就労、就労、居場所、その他という11のカテゴリーに分かれ、何か問題を抱えた場合、電話帳のように検索することができます。
 

カリヨン子どもの家
 

紹介されているプログラムの中身は、空間的な支援が多いという印象を持ちました。上の写真に記載されているカリヨン子どもの家はシェルターとしての役割があり、保護者の虐待やネグレクト、パートナーからのDV、頼れる家族・大人の不在といった事情からの避難場所を設けるプログラムです。最近の若者支援でよく語られている安心していられるための「居場所」づくり、以前よく語られたネットカフェ難民に代表されるような「ホームレス」「不安定住居」対策なども記載されています。
 

また、この冊子の特徴として挙げられるのは、若者支援団体の紹介の前段、あるいは補足として、若者を巡る社会問題の構造や縮図、詳細についてのコラムが多く掲載されていることです。また、依存症や摂食障害、外国人支援、セクシュアルマイノリティ、夜の世界(性風俗産業)、難病、シングルマザー、奨学金返済、生活保護といった、意外と多くのひとが気づいていない、若者を巡る問題点が簡潔にまとめられた上で、支援先の団体が紹介されています。
 

先述の通り、困ったときに使う冊子としても活用できますが、純粋に社会問題を知るための冊子としても活用できます。ぜひ手元に取り寄せてみてください。これで無料は驚きです。
 

ビッグイシュー基金「社会的不利・困難を抱える若者応援プログラム集」:
http://www.bigissue.or.jp/activity/info_14033101.html

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この記事を書いた人

佐々木 一成

1985年福岡市生まれ。生まれつき両足と右手に障害がある。障害者でありながら、健常者の世界でずっと生きてきた経験を生かし、「健常者の世界と障害者の世界を翻訳する」ことがミッション。過去は水泳でパラリンピックを目指し、今はシッティングバレーで目指している。障害者目線からの障害者雇用支援、障害者アスリート目線からの障害者スポーツ広報活動に力を入れるなど、当事者を意識した活動を行っている。2013年3月、Plus-handicapを立ち上げ、精力的に取材を行うなど、生きづらさの研究に余念がない。