2013年(平成25年)障害者雇用状況の集計結果からみえる、これからの企業が行なわなければならない障害者雇用とは?

皆さん、ごきげんよう。矢辺です。
 

毎年11月末に障害者の雇用状況が発表されることをご存知ですか?その年の6月1日時点の民間企業や国の機関などの障害者の雇用状況が発表になります。
 

今回は数字がたくさん出てきますよ〜。しかもちょっと長いよ〜

今回は数字がたくさん出てきますよ〜。しかもちょっと長いよ〜


 

この調査を6月1日時点の雇用数なので「ロクイチ調査」と俗にいい、このロクイチ調査に間にあわせるように、障害者採用活動は進められます。実は年明けからこの6月1日までが障害者採用のピークだったりします。
 

ということで、今年2013年6月1日時点の障害者雇用率が11月19日に発表になりました。
平成25年 障害者雇用状況の集計結果
 

民間企業における今年のポイントは、

○雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新。数、率の伸び幅も過去最高。
・雇用障害者数は 40万8,947.5人、対前年7.0%(26,584.0人)増加
・実雇用率1.76%、対前年比0.07ポイント上昇
○法定雇用率達成企業の割合は 42.7%(前年比4.1ポイント低下)

だそうです。
 

【法定雇用率推移】大手企業の雇用率がギュイーンと高まっています(クリックすると大きくみれます)

【法定雇用率推移】大手企業の雇用率がギュイーンと高まっています(クリックすると大きくみれます)


 

実は、今年4月に法定雇用率(達成しなければならない、社員数に対しての障害者数の割合)が1.8%から2.0%にアップしました。そのため、採用意欲が高まり、実雇用率は過去最高の1.76%となりました。
 

一方で、法定雇用率の達成企業の割合は、46.8%から42.7%と4.1%低下しました。
 

雇用率は高まっていても半分以上の会社が雇用率を達成できていません

雇用率は高まっていても半分以上の会社が雇用率を達成できていません


 

これは法定雇用率が2.0%にアップしたため、2.0%を達成できた企業が減ったためでしょう。法定雇用率そのものがアップしたため、雇用数は増えたものの達成企業は減ったという結果です。
 

じゃあ、これで終わり…では私らしくないので、私が思うところを記載していきます。
 

人数ペースの雇用者数は?

今年発表された40万8,947.5人。障害者雇用の世界では、障害者1名の採用を1ポイント、重度障害者1名の採用を2ポイント、短時間勤務者1名の採用はそれぞれ半分のポイント(重度障害者の短時間勤務者は2ポイントの半分で1ポイント)として計算していますので、実際の人数ベースではありません。したがって、この40万という数字はポイントだと考えられます。
 

ということで、実際の人数ベースでどれくらい障害のある方が雇用されているか見ることが大事だと思っています。障害があっても人ですから。
 

・企業における雇用人数:32万3839人(昨対比:2万5387人プラス)
厚生労働省の発表が40万8947.5ポイントですから約8.5万人の差があることになります。
 

・企業と国の機関など含めた雇用人数:38万6143人(昨対比:4万8528人プラス)
厚生労働省の発表だと49万1675ポイントで、約10万人の差があることになります。
 

過去5年間の雇用純増数は?

下記のグラフをご覧下さい。
 

2011年に身体障害の方が前年の5倍、新規で雇用されています(クリックすると大きくなります)

2011年に身体障害の方が前年の5倍、新規で雇用されています(クリックすると大きくなります)


 

これは、過去5年間の全障害と各障害の雇用数の推移です。「昨年差」というのは「前年に比べてどれくらい新規で雇用されたか」という数字です。これを「雇用純増数」と呼ぶことにします。
 

昨年2012年は全体的に雇用純増数が落ち込みましたが、今年は法定雇用率が2.0%になったことで雇用純増数があがっています。過去五年間の雇用純増数をみてみると、2011年の身体障害者の雇用純増数が前年の5倍と特出しています。
 

そして、上記グラフの矢印に記載してある「雇用純増数割合」をグラフ化してみました。
 

2011年の身体障害の雇用数がスゴい

2011年の身体障害の雇用数がスゴい


 

2011年には全体で雇用純増数が2.93倍ありましたが、昨年2012年は0.6倍に減りました。今年2013年は法定雇用率が2%になったことで、雇用純増数が増えていますが、2011年の2.93倍にはほど遠い1.6倍ほどで2011年の2.93倍には戻っていません。
 

これは、この2つの理由が考えられます。
 

1)マネジメントしやすい障害(特に身体障害)が雇用され尽くしてきていること
※マネジメントしやすいとは、障害の配慮が少ない、コミュニケーション能力が高い、仕事に対する意識が高いなどの総称と考えます
2)雇用に積極的な大手企業が雇用率を達成し出してきていること
 

これまでの大企業の積極採用により、マネジメントしやすい(特に身体障害)が雇用されている可能性が高いのです。
 

一方で、大きな変動はなく、着実に増えつつあるのが精神障害のある方の雇用です。これは2015年の精神障害者の雇用義務化(現状に法律を合わせるだけなので実質的には企業には何の影響もないのですが)の影響と同時に、上記2つの理由が相まってのことでしょう。
 

就業率は?

それでは、全体の就業率はどのようになっているのでしょうか。
 

2013年就業率

※過去の記事で精神障害者手帳の発行数に誤りがありました。大変申し訳ありませんでした。

※過去の記事で精神障害者手帳の発行数に誤りがありました。大変申し訳ありませんでした。


 

今年の就業率は、昨年度と比べ、0.78%アップの13.47%です。この数字をみて、皆さんはどのような印象を持ったでしょうか。もちろん全ての障害のある人が雇用を望んでいる訳ではありませんので、一概には言えませんが、就職数が増えたとはいえまだまだ障害のある人の就業率は低いと思っています。
 

しかし、前述のようにある程度働く意欲のある障害者が雇用され尽くされたことが想定されます。障害者の雇用数をより増やしていこうと考えると、障害者雇用の考え方を変化させなければ雇用が難しくなる時代になってきています。考え方の変化については下記の記事を参照して下さい。
 

なぜ企業は障害者を雇用しなくてはならないのか?法律以外の新たな採用理由を今ここにお伝えしましょう

障害者雇用で日本の労働問題が解決する!障害者雇用に存在する可能性とは?
 

これからの障害者雇用は、「ただ優秀な障害者を雇用するだけではなく、業務の細分化と再配分により今まで受入れなかった障害者を受入れ、社内で活躍させ、しっかりと評価できるようにすること」が企業に求められてくるでしょう。
 

それが強いては、社員みんなのため、自社のためになるのです。

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