皆さん、ごきげんよう。矢辺です。
今日も障害者雇用について書きます。
障害者雇用はこれまで「法律だから」という採用理由で進められてきました。それは、これまでもPlus-handicapでさんざん指摘してきた通りです。私も以前の営業現場では人事担当の方に「なぜ障害者を雇用しなくてはならないのですか?」と聞かれたとしても、「法律だからやらなきゃいけないんです」としか答えられませんでした。今考えると、法律を盾にしたとてもゲスいヤツです・・・苦笑。
でも、考えてみてください。同じ賃金を払うのであれば、効率や作業スピードの劣る障害者ではなく、健常者を間違いなく採用します。それは市場が競争原理である以上、仕方がないことです。企業が行うのは慈善事業ではなく、営利活動だからです。そのために法律ができたのです。
企業論理を無視して、正義のヒーローのように「障害者は何がなんでも雇用しなければならない!」と企業に対して法律を盾にして言うことは、今のぼくにはできません。企業、障害者の双方にとって、障害者雇用がメリットにならない限り、精神、発達障害者の雇用が進むなどといった、障害者雇用はこれ以上進まないと思うからです。
では、なぜ企業は障害者雇用をしなくてはならないのか。これまで10年近く障害者雇用を研究、触れてきて法律以外の理由が見つかってきました。しかもそれは、障害者の働き方だけではなく、日本で働くすべての人の働き方の問題が解決できると考えています。今日はそれをお伝えします。
障害者をなぜ雇用しなくてはならないのか。答えは、誰もが働き続けられ、活躍できる組織を作るためです。そして、結果として、会社に利益が出るからです。
何かしらの制限がある障害者を雇用し、働きがいを持たせ、活躍させることができる組織は、社員のモチベーションが高く、成果を残すことがでます。というのも、マルクスが「資本論」で言ったように、会社は労働者を同じ賃金で、できるだけ長く働かせることが、会社に利益につながります。20万円で8時間働いてもらうのと、16時間働いてもらうのであれば、多少生産性が落ちるでしょうが、企業にとっては給料が同じにも関わらず、成果物は多く生まれるわけですから企業の利益につながります。しかし、この前提に立ち続ける限り、過重労働はなくなりません。日本企業の多くがブラック企業化しつつあるのは、これが原因です。
前述のように、障害者には何かしらの制限があります。だからこそ、彼らが働き続けられる組織というのは、過重労働ありきの組織ではないということです。同じ賃金でできるだけ長くたくさん働かせるのではなく、労働者に無理のない組織運営ができているということです。また、例えば、主婦、妊娠中、一時的に骨折した人、家族の介護が必要な人などといった、何かしらの制約がある人も無理なく働ける組織とも言えます。
※なぜ制限がある人を活躍させることでメリットになるのか、それはどうやれば良いのか?については、後日記事を書こうと思いますが、今は下記の記事を参考にしてください。
参考記事→障害者を雇用するための特例子会社って、ほとんど赤字なんだってよ。
少子高齢化の現代、働く人が少なくなってくる時代の中で、企業経営を続けていくために、企業が取りたい戦略の1つになるはずです。誰もが働き続けられ、成果を出せる組織にするために、障害者を雇用するのです。
私は、毎回こう言っています。
障害者が活躍できる組織は、誰もが活躍できる
障害者を雇用し続け、活躍させられるかどうか。それが永続する企業の1つの指針になるでしょう。そして、障害者を雇用し活躍させられる企業が増えることが、障害者だけではなく、労働者全般の働きがいにつながっていくと考えています。