女子高生の正義感

どうも、飯田です。
 

前回、私は「便所」から女子高生の生きづらさをご紹介しましたが、今回は場所を変え、無料通話アプリ「LINE」からお伝えします。
 

高校に入学して直ぐに、レクリエーションをしたり、ハイキングをしたり…と、クラスで親睦を深めるための合宿がありました。この合宿は、これからの高校生活が、更にワクワクするような、素敵な二泊三日になるはず…でしたが、そこで「LINE」を利用し、クラスの大半が関与した仲間外れが起こってしまいました。もう半年前のことになりますが、実はまだ私の頭には、モヤモヤした気持ちが残ったままなのです。これを「合宿LINE事件」と名付け、JKとSNSの関係について考えたいと思います。
 

まず、「LINE」(Wikipedia参照)の説明をさせていただきます。「LINE」は、通話をしたり、文章やスタンプを使ってやり取りをしたり、リアルタイムのコミュニケーションが、無料で行えるスマートフォンアプリです。一部スタンプが有料ですが、お金を一切払わなくても、十分に利用することができます。また、登録を一度スマートフォンでしてしまえば、パソコンからのログインも出来るようです。2年前の2011年6月23日に始まって、登録者数が1億人を突破するまでに要した月日は、わずか19ヶ月。Twitterは49ヶ月で、Facebookは54ヶ月であることから、爆発的に普及したことがおわかりいただけると思います。
 

私のクラスでの、主な連絡手段は「LINE」です。
 

LINEのウォール
 

クラスのLINEグループがあり、そこに殆どのクラスメイトが参加しています。参加しているメンバー全員が見たり、投稿したりすることができるグループチャットで、今まで連絡網で回していたような連絡がされたり、時には雑談で盛り上がったりします。
 

登録が非常に簡単で、閉鎖的な1対1のやり取りが出来るところがFacebookとの違いです。「LINE」について、ご理解いただけたでしょうか。
 

では、その「合宿LINE事件」についてです。
 

この事件は実話ですが、仮名として、「A子ちゃん」と「B君」と「C子ちゃん」が登場します。二泊三日滞在した宿舎は海辺にあり、朝日や夕日がとても綺麗に見える場所。合宿中は、そこでラジオ体操をしたり、学年集会を開いたりしていました。皆、見晴らしの良い景色や、友達との集合写真などをスマートフォンや携帯で撮るわけですが、そこで…「A子ちゃん、B君のこと盗撮していない?」という噂が回りました。
 

確かに少し意識して見ると、明らかにB君のことを狙って撮っている…これはクラス全体に知れ渡り、クラスのLINEのグループチャットで話題になりました。たちまちグループチャットは、「引くわ」「キモい」など、A子ちゃんを中傷するような投稿や、A子ちゃんの顔写真を面白可笑しくコラージュした悪意ある画像の投稿で盛り上がってしまいました。
 

そんな悪乗りがエスカレートした時、C子ちゃんがクラスの全員を宿舎の一角に集め、全ての話を全員の前で整理し、「これはいじめなんじゃないか」という話を始めました。その中でC子ちゃんは、A子ちゃんに「盗撮はしたの?」と聞きましたが、A子ちゃんは「偶然写った写真はある」と、やんわり否定をしました。その場で、皆がA子ちゃんに頭を下げ、一通りの事件に関して「ごめんなさい」と謝りました。因みに、ここまで担任や先生などの大人は関与していません。これが「合宿LINE事件」の概要です。
 

私がこの事件の中で、半年という月日が流れても、未だモヤモヤとした感情を抱いている事は、クラスの悪乗りでも、A子ちゃんの盗撮の真偽でもなく、C子ちゃんの行動についてです。
 

「LINE」は、先程の通り、閉鎖された空間です。便利である反面、残念なことに、人の悪口を書いて複数で共有する、つまりいじめをするには打ってつけのツールかもしれません。C子ちゃんがしたことは、そんないじめを止める勇気ある行動だとは思いますが、私は、わざわざA子ちゃんに、「LINE」での全てを伝える必要はあったのだろうか…と疑問に思っています。A子ちゃんはガラケーユーザーで、「LINE」を利用していないので、自分の中傷や自分の写真が「LINE」に書かれていることを知らなかったのです。
 

私はC子ちゃんの行動に、「変な正義感」を感じました。あれからA子ちゃんは、クラスメイトと距離を置いているように見えます。もっとC子ちゃんが全体のことを考えた行動をしていたら、半年経って違う今があったのではないかと思うのです。
 

私がC子ちゃんのような行動をとるのであれば、わざわざグループチャットに参加していない少数の人を付き合わせることはしないと思います。LINEで起こったことはその中で解決させるべき。グループチャットで「もうやめとけよ」等の投稿をした方が良いと考えます。クラスメイトと距離を置きがちな今のA子ちゃんを見ると、知らなかった方が良かったのではないか、と思ってしまうのです。
 

私が小中生の頃は、いじめを題材にした漫画やドラマが多くありました。「ライフ」や「いじめ」などです。道徳でも、いじめを理由に自殺してしまった子のニュースや、「わたしのいもうと」という絵本を題材に、授業が行われた記憶があります。中1の頃、私は、これまたSNSを利用したいじめを受けた経験がありますが、幸か不幸か、私の通っていた学校では、目立った肉体的ないじめというのは小学校・中学校どちらも無かったと思います。
 

今のJKは、「いじめは、何が何でも、絶対、だめ!」という教育を、道徳で…ニュースで…散々受けてきた世代だと私は思います。その教育が生んだ、「変な正義感」が、面と向かったいじめではなく、裏でコソコソ、SNSでコソコソ、というタチの悪いいじめを生んでいるのではないでしょうか。
 

この「変な正義感」は、「合宿LINE事件」での盗撮を気持ち悪がるクラスメイトにも当てはまります。B君が盗撮されるのを嫌がるのは、当然のことかもしれませんが、その他多くのクラスメイトにとって、このことは「どうでもいいこと」の筈。自分に関係ないのなら、黙っていれば良いものを「引くわ」「キモい」という言葉を投稿することこそ、可笑しいことです。
 

とは言っても、あの時、入学直後の合宿にビビりまくりで、結局何も出来なかったのが私の実状です。考えれば考えるほど、「正義って何だ?」という疑問にぶち当たり、未だ答えは出ませんが、「合宿LINE事件」をここで振り返ることで、少なくともSNSとの上手な付き合い方を学ぶことができました。SNSを上手に利用するということは、画面の向こうにいる人、関わっている人の顔を頭に浮かべることであり、必要なのは、その相手を思いやる想像力!半年前の反省と共に、これからは、少しでも疑問を抱いたら、その思いやる想像力を使って行動を起こす!という決意を私はここに表明します。
 

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飯田るゐ