就活生ってなんでこんなに生きづらい?

皆さま、こんにちは。そして、初めまして。
中央大学4年の荒川夏実と申します。
 

就活が原因でうつになったり、自殺を選ぶ学生がいる現状をなんとかしたいと思い、7月6日に「就活うつについて考えるシンポジウム」を主宰することになりました。
 

それに先駆け、今日は就活生が何に「生きづらさ」を感じているのか「4年生の6月になっても就活を続けている」当事者の立場から発信したいと思います。
 

パンフレットP1(入稿用)

 

■生きづらさ其の一:内定もらえない人はダメな人間? 

現在の就職活動では12月に会社説明会がスタートし、3~4月にかけて面接を行うため、5月頭のゴールデンウィークを境に内定を獲得する人が増えていきます。そのため、4月ごろに「大変だよね~。お互い頑張ろう!」と同等の立場で励ましあっていた友達が、5月末には内定をどこかの企業からはもらい、就活を終了させていることもしばしば。所属しているコミュニティにも寄りますが、内定をもらっていない人間がマイノリティと感じる瞬間は多いです。
 

だからこそ、6月のこの段階で内定をもらっていないと、どうしても「周りより下」「なんかちょっとダメな人間なのかも…」と考えて、友達に自分の今の就活のことについては、情けなさや恥ずかしさを感じて話せません。むしろ自分を取り巻く周囲の人の間にも「内定をもらってないということについては触れちゃいけない!」というタブー視的な空気感があります。
 

つまり、現段階での内定の有無が人の価値を決めるわけではないのに、「内定をもらえない=周りよりちょっとダメで恥ずかしい」という認識をなんとなく共有されているのが「生きづらさ」を感じる一つの要因になっていると考えられます。
 

■生きづらさ其の二:面接でなぜか消される自信

就活をしていると、お祈りメール(不採用通知)が来た時に「否定された気持ちになる」という声をよく聞きます。この声の内容をもう少し具体的にすると、主にこの2つの内容になるんじゃないかと思います。
 

(1)自分自身に価値がないのでは。
(2)自分がこれまでに取り組んできたことって、全然意味なかったのかな。
 

つまり、面接で自分が「学生時代に頑張ったこと」などを一生懸命話したにも関わらず、
 

「残念ながらご期待に添えかねる結果となりました。
 今後のご活躍をお祈り申し上げます。」
 

というマニュアル通りの不採用通知がくることで、「自分がやってきたことなんて、企業にとっては意味のないものなのかな」と感じているのです。最初は「この企業と合わなかっただけだ!」と割り切ることもできますが、面接で祈られる回数が増えるにつれて「学生時代に頑張った」経験そのものに対して自信は減っていきます。
 

しかし、面接で判断されるのは、「その会社にとって合うか合わないか」「その会社が欲しいと思う利益をもたらしてくれる存在かどうか」ということだけだと、私は思います。
 

人の価値は100人から見れば、100通りの答えがあるため、別の会社、もしくは別の個人といった他の視点から見れば、「うちとぴったり合う人だ」「まさにその利益を生み出せる人が欲しかったんだ」と思われる場合もあります。
 

頑張った経験そのものに価値がないわけではありません。ただ、面接を通し「否定」を繰り返されると、自分が取り組んできたことの価値や意味を見失い、自信を次第に失っていきます。その結果「周りは価値のあることをやってるのに、自分は何もできない…。」という生きづらさにつながっていると考えられます。

 
■就活生の生きづらさの原因は?

あくまで私個人の見解のため、違う意見もあるとは思いますが、就活生は以下の2点によって、「生きづらさ」を感じていると考えられます。
 

①「内定をもらえない」=周りより劣っているダメな人間という価値観の広まり
②「内定」という価値観に振り回されて、失わなくて良い自信や価値を失っている
 

この2点が生きづらさを感じる原因だと言えますが、②は就活生一人一人のとらえ方や意識によって克服できるものです。そのため、生きづらさの一番の原因は「内定をもらえない人はダメ」という価値観にあるのではないでしょうか。
 

生きていくためには仕事をし、稼ぐことが必要です。新卒一括採用の日本では、卒業までに内定をもらわなくては、その後の生き方に不安を感じざるを得ません。しかし、働き方は多様であり、「内定」がその人の一生の価値を決めるものではありません。
 

「内定をもらわなくては」という価値観に振り回されている就活生にも責任はあることは否定できませんが、その価値観は一体誰が作り、誰が支えているものなんでしょうか。
 

企業でしょうか。メディアでしょうか。恐らく、学生も社会人も含めた一人一人がこの価値観を作り、支えているのでしょう。ひとりひとりがその価値観を支えてしまっているからこそ、その他の価値観に出会いにくく、逃げ場もなく、生きづらいのだと思います。まだ社会人として働いたことのない私の言葉では説得力がないかもしれませんが、内定の有無で人の価値は測れませんし、一生が決まるわけでもありません。
 

だからこそ、4年生の6月という時期になっても、「内定まだもらってないです!」と堂々と言える勇気や、「触れちゃいけない話題だよな…」のように勝手にタブー視するのではなく、「内定もらってないんだね!でもそれがすべてではないし、良いんじゃない?」くらいのちょっと能天気な会話が少しずつこの価値観を変えるカギになると信じています。
 

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「就活うつについて考えるシンポジウム」ご予約はこちらから
http://kokucheese.com/event/index/95224/

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荒川夏実