みなさん、ごきげんよう。矢辺です。
私は色々と障害者雇用の現場を見てきましたが、今日は私が一番スゴいと思った会社を紹介します(今後シリーズになるかも)。
今回ご紹介するのは、株式会社エフピコです。お伺いしたのが2010年なので、ちょっと前になってしまっていますが、こちらでご紹介させてください(ご紹介している数字は2010年10月現在です)。
なお、今回は2回シリーズで今週は第1回目。初回は、エフピコ社の障害者雇用の取り組みについてご紹介します。具体的な事業内容や取り組みはこちらをご覧下さい。
エフピコ社は、重度の知的障害のある人をメインで採用することで有名で、雇用率は約9%(2010年10月末現在)で、定着率は99%です。
重度の障害者でも立派に働くことが出来ることを証明するために、この会社は、あえて重度の方を採用しています。親ですら就労をあきらめている障害者を平気で雇用します。障害者自身が、働きたいと思っていれば、他に採用の条件はありません。職場に来たばかりの頃は、工場内を徘徊したり、お漏らしをしたりする子もいますが、お構いなし。そんな子たちでも6か月もすれば、普通に働くことが出来るようになるといい、実際そうなっているのです。彼らは全員、正社員。平均給与も健常者とあまり変わらない水準(地方の金額)となっています。
まず、雇用された障害者が配属される、エフピコ社のリサイクル事業について説明をします。エフピコ社が商品としているプラスチックトレーを日本人は、1日5000万枚使うそうです。1人につき0.4枚、1日に使っている計算になります。実はこのトレーは、リサイクル率が17%。ペットボトルのリサイクル率が90%であることを考えると断然の低さなのです。
エフピコ社は、社会に存在するべく、企業として、トレーのリサイクル問題に積極的に取り組んでいます。リサイクル工場を全国に6か所設立し、全国のスーパーに写真のようなトレーの回収ボックスを7000か所(関東は1800か所)設置しています。
トレーの生産量の40%はエフピコ社製品です。そして、そのうち半分はエコトレー(トレーをリサイクルして作られたトレー)で、日本のトレーの20%がエフピコ社が作ったエコトレーであると言えます。業界に先駆け、トレーのリサイクルに積極的に取り組んでいるのです。
冒頭にお伝えしましたが、なぜこのリサイクルのことを先にお伝えしたのか。それは、このエフピコ社が積極的に取り組むリサイクル事業になくてはならない存在なのが、知的障害のある人たちなのです。
まずはこの動画をご覧ください。
※大きな音がでるかもしれないので、音量にご注意ください。
解説をすると、紺色の帽子の方が知的障害のある人です。彼らは、回収されたトレーをリサイクルするために仕分けをします。それを休憩をはさみながら、8時間続けます。
代表にお話を伺ったところ、以下の事実を伝えてもらいました。
機械や健常者のパートさんより知的障害のある人の方が集中力が高く、確実な仕事をしてくれます。
回収したトレーの中にはトレーだけではなく、牛乳パックや非発泡容器など10枚に1つはトレーではないものが入っているそうです。また、彼らは耳栓をしていますが、また、彼らは耳栓をしていますが、騒音がとてもあるところでした。それくらいの場所とものを相手にして、彼らは働き高い生産性を残すのです。
この話を聞いて、私がスゴいと思うのは、この作業を知的障害のある人が行っていることだけではありません。このエフピコ社が積極的に取り組むリサイクル事業になくてはならない存在になっていることです。
というのも、障害者雇用は、多くの場合、法定雇用率の達成のために行われます。また、障害者ができるであろう仕事ということで、事務職や清掃などの仕事を用意して採用します。
障害者当人は、自分ならばこれはできるであろうという理由で事務職や清掃などの仕事に就きます。結果として、やりがいや働きがいなどを感じられることが少なくなってしまいます。
しかし、エフピコ社のリサイクル事業は会社の戦略です。つまり、会社の戦略を、エフピコ社のリサイクル事業を、知的障害のある人が支えているのです。雇用率のために用意された仕事ではなく、会社の戦略として働いているのです。
実際に彼らがいなければエフピコ社のリサイクル事業は成り立たないと仰っていました。障害のある人が会社の事業を背負っているのです。これ以上のやりがいはないのではないでしょうか。
だからこそ、働く社員は働きがいを感じ、高い生産性を残すことができ、定着率99%を実現できるのです。これが私がエフピコ社の障害者雇用がスゴいと思う理由です。
次回は、エフピコ社の取り組みから障害者雇用のあるべき姿を考えてみたいと思います。