仕事探しで障害者手帳を有効活用できていますか?

 
plus handicapをご覧のみなさん。
こんにちは。ライターのリーホーです。
 

先日、こんなニュースを目にしました。

「就職で障害者手帳取得者が急増」

私が最初に見たNHKニュースのリンクが切れてしまっているので
別の情報源にリンクしています。
 

内容を簡単に説明すると、
障害者手帳の取得者が10年前に比べ30%増えているそうです。
約500万人前半だった人数が600万人後半になったとのことです。
新生児や幼少期の人間でこんなに障害者が急増することは考えにくいので、
青年期以降の障害者が手帳を取得していることが推測できます。
 

実は障害者手帳は申請制。
逆に言えば、申請しなくては手帳を取得することができないのです。
「身体に何らかしらの障害を負う=障害者」ではなく、
「障害者手帳の申請(取得)=障害者」なのです。
 

自分を障害者と認めたくない人は手帳を申請しないという選択肢もありえます。
しかし、その結果、障害者が受容できる恩恵は受けられなくなります。
とても生きづらい選択です。気持ちは痛いほどわかりますが。
ちなみに、私は幼少期に障害を負いまして、
自分の意志とは別に、家族が申請をしてくれました。
 

“障害”と一口で言ってもいろいろ等級があるんですねー
“障害”と一口で言ってもいろいろ等級があるんですねー

 

話を戻しますが、このリンクの記事では、
障害を負ってしばらく後から障害者手帳を取得する理由を、

「就職のため」と推測しています。

この仮説が正しいのであれば、私はこの障害者の方々の気持ちはよくわかります。
 

「出来ることなら手帳の申請はしたくない」
        ↓
「自分を障害者として認めたくない」

これは障害者の本音でしょう。しかし、
 

「現実問題、(障害者であるため)就職が厳しい」
        ↓
「障害者手帳を取得し、就職を有利にしたい」

このように思い至った障害者の方々が、手帳取得を進めているのでしょう。
 

世の中には、健常者だけでなく、当の障害者も
「障害者手帳を使っての(障害者枠での)就職・転職は負け」
という認識が厳然とあります。私自身、そう思っていた時がありました。
 

そもそも障害者手帳(障害者枠)で仕事を得ると閑職で働くことになる、
という世間の思い込みが強くあります。
しつこいですが、私自身もそう思っていた時がありました。
 

私は健常者枠(あえてこう表現します)で就職・転職を経験しましたし、
障害者枠(手帳を使用)での転職も経験しました。
職場では周囲の健常者とまったく同じ仕事をしていました。
上記の思い込みはただの思い込みだったことを自分の経験として知りました。
 

助成金だけもらって障害者を閑職に追い込もうとする企業は、
むしろ、すぐに退職した方がよいかもしれませんね。
なんとなくブラック企業の臭いがします。
 

結局、就職・転職をする障害者の問題は
自身の能力・ヤル気・向上心・周囲との関係構築能力などなのです。
最初はおもしろくない仕事をあてがわれるかもしれません。
しかし、それは健常者の世界でも十二分にある話で、ないほうが少ない。
自分の今の仕事が未来につながっているということを自覚できれば、
おもしろくない仕事だって大いなる仕事になり得ます。
 

大体にして障害者の方は飽きっぽいのかもしれませんね(笑)
私も、めちゃくちゃ飽きっぽいですから。編集長の佐々木さんもですが。
 

障害者手帳(障害者枠)での就職・転職について考える場合、

「使えるものは何でも使うべき。しかし、将来のプランはしっかりと持つべき」

というスタンスを私は持っています。
 

手帳の効果は絶大です。正直言って、就職・転職の確率はかなり上がります。
健常者の比じゃありません。すぐに職に就けることは間違いないでしょう。
 

障害者の方は、病院に行く、リハビリをする、
装具等あれば定期的なメンテナンスをするといった
健常者の方にはイメージがつかない、表に見えにくい用事が多いです。
このような状況があるからこそ、障害者手帳を使い
タイムレスな就職・転職をすることも大事だと思います。
仕事に就き、一生懸命仕事をし、より良い人生を築いていくことが
幸せにつながるのですから、変にこだわりを持っていても意味はありません。
 

しかし、ここに落とし穴が潜んでいることもお伝えしておきたいのです。
すぐに職に就ける分、本当に自分が何をしたいのか?するべきなのか?を
よく考えないまま、就職・転職してしまうケースが多いのです。

「新しい仕事も不満があれば、辞めればいいさ。
(障害者)手帳があるから、他の仕事もすぐに見つかるよ」

結果として、自分の職能やキャリアプランが未成熟なまま
年齢だけを重ねていってしまうのです。
 

では、「本当の意味での手帳の有効活用」とは何でしょうか。

※支給される金額は自治体によって異なります。
※支給される金額は自治体によって異なります。

それは、自分の欲しいキャリアのためにうまく手帳を使うこと。
 

怖いですね。したたか過ぎます。うまく手帳を使っている障害者は
どこかで執筆活動をしていたりするかもしれません。
 

このしたたかさは絶対に必要です。
自分自身がどのような未来を創り出すのかということを考えれば
手帳の取得、活用は単なる手段です。障害者として働くことが
未来につながるのであれば問題は何もないはずです。
あくまでも手帳を使うことは目的ではありません。
 

障害者に対して就職・転職指導をされる方は、
障害者雇用の知識、転職を支援した経験を求められることはもちろんですが
このしたたかさを伝える必要があるのかもしれませんね。
 

次回は、障害者のキャリア構築について書きたいと思います。
 

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この記事を書いた人

堀雄太

野球少年だった小学4年生の11月「骨腫瘍」と診断され、生きるために右足を切断する。幼少期の発熱の影響で左耳の聴力はゼロ。27歳の時には、脳出血を発症する。過去勤めていた会社は過酷な職場環境であり、また前職では障害が理由で仕事を干されたことがあるなど、数多くの「生きづらさ」を経験している。「自分自身=後天性障害者」の視点で、記事を書いていきたいと意気込む。