「パキッ」という音が鳴ったと同時に「メキョッ」という音が鳴り始めました。
義足のつま先部分が割れたときの一瞬です。
義足というのは、切断した足を補うためのもので
機能的・外見的に回復させるためのものです。一般的には義肢といいます。
普段、義足を履く際、このような姿勢をとっています。
これは浮腫(むくみ)により足が義足の中に入らないため
全体重をかけて押し込まなくてはいけないからです。
最近では右ひざの部分を使い、てこの原理を応用した履き方もマスター。
足全体を覆う義足の場合は、着脱に工夫が必要です。
これが理由なのか、私は普通の人より身長に対するリーチが長く、
また体前屈もマイナス15センチです。ここだけ体が柔らかい。
少しでも義足を軽くしようとタイトな設計にし、フィット感を大切にした結果、
毎朝、義足vs右足のむくみという格闘が繰り広げられています。
(女性でいうハイヒールと浮腫みの関係と似ています)
ちなみに義足は約2キロ。もう片方の装具は約1キロ。合計3キロ。
たかが3キロ、されど3キロ。階段の上り下り、坂道は堪えます。
この重りを毎日身につけて歩いていますが、体にフィットさせて巻くのと、
ぶらさげるのとでは、どちらがより重たさを感じるでしょうか。
もっと軽量化してくださいと障害認定の際に話したら
これでも軽いほうですよと言われました。皆さんタフですね。
さて、今回割れたのは、この部分。
実際の人の足で言うと、中足骨と言われる部分です。
一般的に中足骨は折れると時間がかかります。
全体重がかかる、踏ん張るための骨であるため
アスリートが疲労骨折しやすい箇所としても知られています。
サッカー日本代表の香川選手が日韓戦でケガをした箇所もここです。
彼の場合はプレーできるようになるまで3ヶ月近くかかりました。
香川選手に倣って、私も3ヶ月ほど仕事を休もうと思っています。
こんなことを言うと、各方面から非難続出なので、
義足が壊れても仕事をしなくてはいけないのですが。
(こんなに障害者を酷使していいのかと言うとまた叱られる)
壊れてみると、義足って技術の粋だなと思います。
このサイトにいろいろな種類の義足が掲載されています。
人の骨や筋肉と同じような機能、動作をサポートしてくれるのが大前提。
その上に、アスリートが活用するような義足であったり
モデルが着用するような義足であったりが存在します。
ぜひ「オスカーピストリウス」と「エイミー・ムラン」で検索してみてください。
あなたの義足に対するイメージが変わります。
また、私の場合、左足にも短下肢装具といわれる装具を履いています。
これはヒザ下から内側に向いている足を矯正するための器具です。
装具は矯正具というイメージが当てはまりやすいかもしれません。
例えば、コルセットやサポーターも装具です。
ご覧のように、かかとの部分がバッコンバッコンに割れています。
右足が中足骨骨折であれば、左足の場合はアキレス腱断裂手前です。
両足に爆弾を抱えている、アスリートなら悲運と言われるのでしょうが
私の場合は単なる不摂生です。義足や装具を履いている人間にとって
「メンテナンス=体調管理」なのです。
そんな義足と装具のお値段は?
だいたい義足が40万円、装具が10万円です。