なぜ、今わかものが就職できないのか

皆さま、ごきげんよう。矢辺です。
 

私は日々、ニート、フリーター、引きこもり経験者、何かしらの障害のある方の就職相談を受けています。そこで感じたなかなか知らないリアルをお伝えします。
 

なぜ今わかものが就職できないのか?というリアルです。
 

どうもどうも、大変お世話になっております〜
どうもどうも、大変お世話になっております〜

 

わかものがなぜ就職できないのか。
 

それを一言で言えば、就職という出口が狭くなってきたからです。
 

グローバリゼーションや不景気も1つの理由でしょうが、私は産業構造の変化だと考えています。1次産業や2次産業のような、コミュニケーションが少なく作業できる仕事が減って、コミュニケーションがなければ仕事が成り立たない3次産業が増えてきたからです。
 

u18_e01

製造業と言っても、実際の工場は海外に移転されているので、作業レベルの仕事は製造業にはほとんどないと考えています。あったとしても、派遣かアルバイトで募集をしている程度でしょう。また、賃金が安くても不満が出にくい外国籍の方が働いていることも事実です。
 

さらに、不況も相まって、企業は人材育成全般にコストを割く余裕がありません。そのため、コミュニケーション能力も高く、既にスキルを持っている人間が企業のほしい人材となってしまいます。これが出口が狭くなっているということです。
 

その結果、自分にちょっと自信がない、人見知り、寡黙だけどコツコツ作業ができる人が採用されず、採用される人間は、新卒であれば高いコミュニケーション能力を持っているか、もしくは、そのように見せることができる人間となってしまいます。中途採用であれば、わかもので高いスキルを持っていることはあまりないため、就職自体が無理ゲーになってしまいます。
 

また、採用の考え方は減点方式です。100点満点の人間がいたら、その点にどれだけ近いかが重要視されます。理想の人材像ってやつですね。だから、本当に優しくて親の介護のために20代を過ごした人とか、イジメが理由で自信がない人とか、高校中退など一度つまづいた人は、その点のみで弾かれてしまい、一生、挽回のチャンスがめぐってきません。
 

こういう理想の人材像にならなくてはいけない、なれない自分は悪で価値のない人間だ、と思ってしまうから、就活うつや就活自殺になってしまうのではないでしょうか。
 

そして、余談になりますが、この状況に追い打ちを掛ける仕打ちが親からのプレッシャーです。
 

産業の変化や企業が求めているものを理解しないまま、「自分たちは就職できたのだからこの子もできるだろう」という根拠のない理由や自分の将来の不安を子どもに押し付けてしまうことで、「早く就職しなさい」と焦らせてしまいます。このプレッシャーに苦しむわかものは本当に多いです。
 

サンプルをお配りしています〜
サンプルをお配りしています〜

それはさて置き、この状況を変えていくためには、3つの方法があると考えています。
 

1つ目。就職の間口を広げること。つまり企業の応募者への評価軸を変更するよう働きかけることです。

私がやっている障害者活躍組織コンサルティングは、これの1つです。障害のある人が活躍できる組織は誰もが活躍できる、そういう組織になれば、わかものも育てられる土壌が整うのではないかと考えています。実はもう1つアイデアがあるのですが、公開できるようになったらお伝えします。
 

2つ目は、狭い就職出口に入れる教育をすることです。

現代で働く上で必要なことは、コミュニケーションです。そのため、小学生くらいからコミュニケーションができる子どもを育てていくことです。これは途方もない時間が掛かりますが。
 

3つ目、最後は、企業で働く以外の選択肢がふんだんにある・もしくは自分で実現することです。
 

なぜ我々は働くのかというと生きるためです。ということは生きていければ、基本的にはどんな働き方をしても良いはずです。だから、半農半Xのように、農業生産をしながら自ら生産することで生活コストを下げ、低収入でも何かの仕事をすることで生きていくことができます。
 

また、我々は企業で働くことだけが働き方ではないはずです。商店街の店主として働くことも1つ。農業で働くのも1つ。路上芸術家として働くのも1つ。起業することも1つ。このように様々な働き方に触れ、自分が本当にどう生きたいのか。その上で、働き方を決めていけるようにすることです。そして、その実現したいと思う選択肢がふんだんにある、もしくは自分で実現していこうと覚悟して企業以外の選択肢を実現していこうとすることです。

よりよく生きるプロジェクトのわか部では、このように自分が実現したいと思う選択肢を考えてから、働き方を決めることを大切に活動しています。
 

わかものが働けないことを「選ばなければ仕事はある」「自己責任だ」と言う人がいます。確かに選ばなければ、完全成果報酬の営業スタッフ募集のブラック企業や将来の見えないアルバイトなどの仕事はあるでしょう。
 

しかし、その前に大きな産業の変化という自己責任では抗えない流れがあります。どんなにがんばっても1人ではその流れに抗うことはとても無理です。それを踏まえて、議論しなければわかものの働き方の問題は解決しないと考えています。
 

記事をシェア

この記事を書いた人

矢辺卓哉

双子の妹に知的障害があったことが「生きづらいいね!」の始まり。彼女たちを恥ずかしいと思った自分の心を恥ずかしいと思い、大学3年時、障害のある人に関わる仕事を生涯の仕事にすると決める。障害者採用支援の会社で6年間働き、株式会社よりよく生きるプロジェクトを設立。現在は、障害のある人やニート・フリーター、職歴の多い人、企業で働きたくない人などに特化した支援を行っている。また、障害者雇用を行う企業へ退職防止、障害者が活躍できる組織づくりのコンサルティングを行う。「人生を味わいつくせる人を増やす」ことが一生のテーマ。