会社辞めたいと相談してくる人に投げかける、たったひとつの言葉

最近、私のまわりに30代無職が増えています。たぶん、私のまわりだけです。
 

久々に連絡したら「実は今、無職なんだよね」と言われる確率が高すぎます。これが偶然なのかどうかはわかりません。
 

無職になりました報告が続くのはさすがに珍しいですが、私は普段企業向けに採用支援や若手社員の定着率向上支援などをやっていることもあってか「会社辞めたいんだけど…」という相談を受けることがあります。ちなみに、相談をうけたところでカウンセリング料取るわけでもないし、人材紹介免許もないので、一銭にもなりません。
 

相談
 

会社を辞めたいと思う理由やその後の展望は人それぞれ

 

相談をしてくる人の大半は、今の仕事や会社に対してなんらかの不満を抱いています。当たり前ですね。
 

日頃はその不満に耐えながら仕事をしていて、そろそろ限界かもしれないと周囲の人に相談するわけです。相談してくるのは私と同年代のアラサーの方もいれば、入社1年目くらいの方もいます。転職先を探している人もいれば、独立したい、起業したいという方もいます。
 

会社を辞めたいと相談してくる人に投げかけるたった一つの言葉

 

相談されたとき、私が投げかける言葉は決まっています。
 

「で、いつ辞めます?」
 

この一言で、多くの人は驚きます。鳩が豆鉄砲を食ったようという表現がぴったりです。そして、この私の質問に明確にこたえられる人はほとんどいません。
 

よく返ってくるこたえは「今辞めると会社に迷惑かかるから。。。」というものです。そんなとき、私はさらに言います。
 

「退職の意思表示から2週間で辞められますよ。就業規則で1か月前とか2か月前に意思表示となっていても関係ありません。内容証明郵便で退職届を送ればいいんですよ。手伝いましょうか?」
 

この質問に対して「手伝ってください!」と言ってきた人は今のところいません。
 

会社を辞めようかどうか悩んでいる段階の人なので、辞める時期が決まっていなくて当然です。すぐに辞めたい人ならわざわざ相談してこないし、最近なら退職代行をつかうという方法もあります。私も、明確な期日を言ってほしくてこの質問をしているわけではありません。
 

本当に辞めたいなら辞めればいい

 

早期離職対策を仕事にしていると「早期離職に対して反対の人」と思われることが多く「早期離職は悪いことじゃないんだ!」という絡み方をしてくる人に出会うこともあります。ですが、私自身は「本当に辞めたいなら辞めればいい」と思っています。大事なのは「本当に辞めたいなら」です。
 

仕事をしていれば、一つや二つの不満はあるでしょう。嫌だと思う瞬間もあるでしょう。私はあります。
 

そんな時に突発的に「辞めたい」と思うことは自然なことです。だから、辞めたいと思うことが悪いことではありません。自然なことだからこそ、気持ちが本当なのか確かめて欲しいのです。
 

「辞めたい」という気持ちが本当なのかどうか確かめるに、実際に辞めるまでの具体的な手順や辞めた後の行動、そのときの自分の感情を考えてみてください。けっこう面倒くさくないですか?その面倒くささを上回るメリットはありますか?その面倒くささを途中で投げ出さない自信がありますか?
 

メリットもあり、途中で投げ出さない自信もあるなら本気で辞めたい可能性は高そうです。
 

退職届
 

メンタル不調とただの不満の混在が「仕事辞めたい」問題をこじらせている

 

「本当に辞めたいなら辞めればいい」という話をすると、必ず出てくるのが「メンタル病んだら本当に辞めたいかどうかの判断もできない」という主張の方々です。
 

私自身、新卒入社の会社では通勤中に毎日腹痛、打ち合わせ中に突然涙が止まらなくなり、出張中に飛行機墜落しないかな?と考える日々でした。かなりメンタル的には病んでいました。身近な人をメンタルの病で亡くした経験もあります。メンタル的に不調な方に「本当に辞めたいわけじゃないなら続けろ」なんて言うことの危険性はわかっているつもりです。
 

私が「本当に辞めたいなら辞めればいい」と言っているのは、当然、メンタル面の病がある方ではありません。メンタル的に不調な方については、専門家ではない私がどうこう言えるものではないし、言って良いわけもありません。メンタル不調の「辞めたいけど辞められない」と会社への不平不満を言いながら行動しない人の「辞めたいけど辞められない」を同列に語ることがナンセンスです。
 

不平・不満を言ってるだけなら時間の無駄

 

「本当に辞めたいなら辞めればいい」というのは、ただの不満を述べるだけなら時間の無駄だからやめましょうという私のメッセージでもあります。不平・不満をいうだけでなく、具体的な行動にうつしましょう。
 

転職活動でもいい、まず辞めてみるのもいい、目の前の仕事で成果を出すのでもいいのです。「どれがいいのか、まだ決められない」という方は、今すぐ退職届を書いてください。提出しなくてもいいのでとりあえず書いて、退職届を常にカバンの中に入れておくか、会社の引き出しの中に入れておいてください。「いつでも仕事を辞められる」という覚悟ができるはずです。
 

不平・不満を聞いてもらうだけの時間を他のことにつかえば、現状を変えるヒントはたくさん転がっています。
 

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この記事を書いた人

井上洋市朗

「なんか格好良さそうだし、給料もいいから」という理由でコンサルティング会社へ入社するも、リストラの手伝いをしてお金をもらうことに嫌気が差し2年足らずで退職。自分と同じように3年以内で辞める若者100人へ直接インタビューを行い、その結果を「早期離職白書」にまとめ発表。現在は株式会社カイラボ代表として組織・人事コンサルティングを行う傍ら、「生きづらい、働きづらい環境を変える方法」についての情報発信を行っている。