障害があっても準備は自分たちで。デンマークからイスラエルへの修学旅行。デンマーク留学記⑥

この連載は「ワカラナイケドビョウキ」という不思議な病気になり障害をもった私が、ノーマライゼーション発祥の国デンマークに留学する1年間の放浪記です。デンマークでゴロンゴロンでんぐり返しをしながら「障害ってなんだろう」と考えます。
 

修学旅行で私が行ったのは??

 

「今期の修学旅行先を発表します!フランスのアヴィニョン、イタリアのローマ・ナポリ、スペインのカミーノ、ゴゾ・マルタ島、中国の北京・香港・上海、南アフリカとスワジランド、イスラエルとパレスチナ。この7か所です~」
 

1月末の授業中、全校生徒を前に、先生たちが意気揚々と各地の魅力についてプレゼンをしている中で、私の頭は置いてきぼりでした。
 

南アフリカ?イスラエル・パレスチナ?いや、それはいい。でも、イタリアまでバスで片道36時間…。ん?フランスもバスで行く?カミーノは聖地巡礼のために毎日歩き続けて、そして定宿がない?
 

いやいや、だってこの学校の子は車椅子で行くんだよな…。普通に旅行するのだって大変だよな…。車椅子で歩き続ける…?えっ?歩き続ける?
 

いや、ちょっと待って。南アフリカ、イスラエル・パレスチナ?デンマークは国際ニュースが流れていないのか、はたまた彼らはそれを無視しながら生きているのか。
 

先生たちの修学旅行先のプレゼンテーションに聞き入る学生たち。

 

私の通うエグモントホイスコーレンでは、毎年春に2週間ほど全校生徒で修学旅行に行きます。行先はそれぞれの履修している科目によって決まったり各自の希望から選んだりできます。
 

基本的には自由に選んでよく(日本人学生の場合は通訳の都合等もあるので、話し合いをしなければいけませんが)、障害があるなしに関わらず、自分の体力も考慮して決めます。私は膝から下の筋肉の委縮が進んでいるので、10キロ以上歩き続けると途中から足に力が入らなくなってしまうし、疲れで全身が痙攣してしまうこともあるので、バスに乗り続ける耐久レースのような旅にも向きません。
 

どの行先も、体力面、精神面、おのれの限界を超えてみろ!どんな環境でも楽しもう!という高めのハードルがちらちら見え隠れするなかで、もろもろの事情がございまして、今回私はイスラエル・パレスチナに行くことになりました。もちろん準備も自分たちで。
 

準備の話題はとにかく、どうやって車椅子やシャワーチェアを持っていくか。バスや飛行機の中で座位を保つのが難しい障害のある皆を、サポートするか。
 

車椅子の解体の仕方を確認中。

 

飛行機での移動中は、ヘルパーがちゃんと座位を確認すること。ベルトはこんな感じで取り付けてね~とレクチャー中。
 


 

みんな楽しそうに、でも真剣に話し合っています。
 

日本だと危険なイメージが強いイスラエル。でもヨーロッパでは死海もあり、人も穏やかで人気の観光地だとか。何よりも宗教の発着地。ヨーロッパ版お伊勢参り。人類の信仰の歴史と、世界情勢を肌で感じてくることができる国です。
 

デンマーク人の友人に「日本人にとってイスラエルはとても怖いんだけど、本当に安全?」と聞いたら「テロはどこでもあるから大丈夫だよ!」っていう返事が返ってきました。
 

おおらかですね、デンマーク人。
 

私の姉からは「なみこ…生きて帰ってきてね」と心の声でブルブルと震えているメールが。
 

私にとって、はじめてのイスラエル・パレスチナ。3月末から4月初めまで約2週間、エグモントホイスコーレン校イスラエルチーム総勢40名で向かった旅の様子は、次回また。
 

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この留学は、ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業第36期研修生として行きます。ミスタードーナツに行くとレジの横に置いてある募金箱。全国の皆様の応援で行かせて頂きます。
 

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この記事を書いた人

Namiko Takahashi