NPOの学生インターンが大手企業に就職したがる気持ち悪さ

2017年3月卒業予定の大卒の内定率がすでに70%を越えたそうです。今年は経団連の倫理憲章では6月1日以降が採用の解禁なので、解禁から1ヶ月で70%を越えていることになります(現実には多くの企業が6月1日以前に採用活動をしており、そもそも経団連の倫理憲章にはなんの拘束力もありません)。
 

インターンシップは採用とは直結させないというのが建前らしいのですが、実際にはインターンシップを採用の条件にしている会社やインターンシップが採用選考の一部になっている会社もあります。
 

私はインターンシップというものがいまいち好きになれないのですが、その点については「インターンするくらいなら、マックで4年間バイトしろ」を読んでください。
 

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インターンが好きではない私ですが、仕事柄、「NPOでインターンをしていました or しています」という学生に出会うことが少なくありません。インターンのきっかけは様々で「友達に誘われて面白そうだったから」とか「就活に有利そうだったから」という極めて学生らしい答えもあれば「社会問題を放っておけないと思った」という嘘かホントかわからない立派な理由を述べる学生もいます。ただ、NPOでインターンをしていた学生のほとんどが「将来は社会をよくする仕事をしたい」と言います。
 

そんな学生のみなさんに就職のことを聞くと、なぜか「NPOに行きます」という人はほとんどいません。すべての学生とはいいませんが、文系の学生だと「外資コンサル」「外資金融」「総合商社」が間違いなく人気トップ3です。
 

このような学生に会うようになったのはこの1,2年のことではなく、東日本大震災以降くらいから徐々に増えてきている印象です。人の進路やキャリアにとやかく言う筋合いはないのですが、個人的には「なんか、気持ち悪い」というのが正直な感想です。「気持ち悪い」という感情は正しいか正しくないかという判断軸ではなく「好きか嫌いか」という世界であって、きっと議論なんかしても無駄です。いつまで経っても平行線です。最終的には「だって気持ち悪いんだもん」で終わってしまいます。
 

では、気持ち悪さの原因がどこにあるのか考えてみると、ほとんどの学生の話の中に「自分はこうなりたい」という話はあっても「こういう社会を実現したい」という話がないからだと思います。
 

NPOでインターンしていた経験がありながら、ありたい社会像を語れない。でも、ありたい自分像は語れる。私には、学生たちは社会を良くしたいのではなくて、社会に良いことに取り組んでいる自分に酔っているだけにしか見えません。そして、社会にいいことをしながら、世間の平均水準よりも高い給料をもらって「社会にいいことしてて、すごいですね」と言われて生活したいだけなんだろうなコイツ、と感じてしまうのです。
 

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自分が学生の時に「こんな社会を実現したい」とはっきりと言えたかと聞かれれば、間違いなく考えていませんでした。恐らく、NPOでインターンしているかどうかに関わらず、「こんな社会を実現したい」ということを明確に語れる学生はほとんどいないと思います。それでもNPOでインターンしてたなら、嘘でもいいから「社会をこうしたい」という話をしてほしいなぁと思うのです。
 

どこかの赤字垂れ流しの保険会社の若社長が「マーケティングの仕事をしたいという学生はマーケティングがしたいのではなく、マーケティング的な仕事をしている自分になりたいだけ」みたいなことを言っていましたが、「社会を良くしたい」と言っている学生も同じ気がしてなりません。結局は理想の自分像のためにNPOを利用しているようにしか見えないのです。さらに厄介なことに、学生自身は利用しているという認識がなく、「本当に自分は良いことをやっている」と思い込んでいるところが気持ち悪さを増大させます。
 

学生に対して気持ち悪いと感じると同時に、本当に社会を変えていくのはこういう学生の中に隠れた何千、何万人に一人の、本当に「社会をこうしたい」と思って行動している人なんだろうとも思います。それでも私は、NPOでインターンをして大手企業に就職したがる大学生に対して、これからも「キモい」と言い続けます。本当に社会を変える力を持った人なら、そんな言葉くらい笑い飛ばすでしょうから。
 

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