こんばんは、プラス・ハンディキャップライターの宮原です。
さっそくですが、今回お伝えしたいことは次の2つです。
『「慣れ」というのは、時に恐ろしい事態を招くことがある』
『ガマン、よくないね』
そんな教訓を、身をもって知ることとなってしまった当団体の理事でもある重光さんに起こった事件を通して、ご紹介したいと思います。
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<この記事をお楽しみ頂くために>
「重光さん」とは、当団体 一般社団法人プラス・ハンディキャップの理事であり、『脳脊髄液減少症』(脳脊髄液が漏出または減少することで、とてつもない痛みや記憶障害・睡眠障害・視覚障害・めまい・吐き気など様々な症状が同時に起こる病気)の当事者です。
参考記事:出会いと別れと痛みがもたらした変化【脳脊髄液減少症】
https://plus-handicap.com/2015/12/6922/
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こちらの、絵に描いたような「orz」ポーズをとっている男性が、重光さんです。ネトゲ廃人がアカウントを消されてしまった直後みたいな悲壮感が漂っていますが、一体どうしたんでしょうか?
ことの始まりは半年ほど前。美容室で髪を切っていたところ、突然信じられないレベルの腹痛に襲われたんだそうです。その痛みたるや、『気絶しそうなくらいの痛み』だったそうで、歩いて5分の病院に行くのも非常に困難で、病院の受付ではスタッフさんに「大丈夫ですか?!」と声をかけられるほどの状態になったんだとか。
四苦八苦しながらもX線と超音波の検査を受けところ、「腸のなかに気泡が溜まっているのが痛みの原因でしょう。これ以上悪化したらすぐ救急外来へ行ってください。」という診察を受けました。とりあえず飲み薬を処方され、その日は自宅に帰りました。
翌朝も指示通り同じ病院に行ったのですが、痛みがわずかに軽減していたことから様子をみていくことになったそうです。その後は、たまに痛みを感じることはありつつも、当初に起こった激痛ではなかったため、ずーっと特に対応はせずに過ごしていたそうです。それから半年が経過して…
はい、この状態に戻ってきました。この日の夕方、またも突然腹痛を感じ、夜になるにつれて、それがだんだん強くなったそうです。
このポーズ、ただうずくまってるようにも見えますが、手元のパソコンで病院を検索している最中なんだとか。しかし、日曜日の深夜というタイミングのため選択肢が限られていたこともあり、最終的に117番を経て119番で救急車を呼び夜間対応の病院へと向かいました。
救急車を待っている重光さん。「とんでもない激痛発生中、救急車待ち」という注意書きが無ければ、パッと見、ただゴロリとしながらお昼寝中みたいに見えますね。
こちら病院搬送中の救急車内。スーパー仕事人間でもある重光さんですが、さすがにこの状況ではビジネスプランについては考えられなかったそうです。
先に結論を言ってしまうと、この腹痛の原因は『盲腸』だったそうです。半年という時間をかけて、結果的に盲腸を悪化させてしまい、ついに限界を迎えていたそうです。運が悪いことに半年前に受けたX線検査ではわからず、CTスキャンじゃないと発見できないんだとか。
また、重光さんは冒頭で紹介した通り「脳脊髄液減少症」の当事者であり、その症状により日常的に痛みが発生していました。さらに、その痛みを抑えるため「医療用麻薬」を利用しているのですが、これらの要因により、盲腸による痛みのサインに一般の方よりも気づきにくくなっていたようです。
(参考記事)
「医療用麻薬」ってなんぞ?全く知らないので、見に行ってみた【脳脊髄液減少症】
https://plus-handicap.com/2016/04/7330/
重光さんの言葉をそのま引用しますと、
「病気で普段いつも痛いし、痛みには強いから、前まで首が100痛かった割合が、首60とお腹40になって「あ、お腹も痛くなってバランス取れたなー」くらいの感覚だった。」
ということです。反射的に(何言ってんの?)と思ってしまったほど全然わかんない説明で困惑しましたが、そういうことなんだそうです。
さて、まだ記事は途中ですが、この記事で一番お伝えしたいことはこちらです。
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<記事は途中ですが、結論>
「痛みに強いというのは、良いことではない」
痛みに慣れているために、身体にサインが出ていたにも関わらず盲腸に気づきにくい状態になっていた重光さん。今回は結果的に無事完治したので少しおふざけテイストの記事にしていますが、あと少し無理して頑張っていたら、盲腸の該当部分が破裂し、それから最悪死に至るケースもあり、ちょっと危なかったと医師から言われたそうです。
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盲腸、発覚
深夜、救急車で運ばれ病院に到着した後、すぐ検査にうつりました。CTスキャンをしたところ腹腔内に気泡が見つかり、入院を勧められため、そのまま入院することになったそうです。
それから数時間後の朝7時頃に医師がベッドに訪れ、『すぐ手術します』と言われました。ほとんど寝ていないため頭がボーッとしたなかで耳に入ってきた言葉としては、
「盲腸の可能性が高く、放置している期間も長いため、破れると大変なことになるので、すぐ手術します」
とのこと。っていうわけで、さっそくこの日に手術することになりました。
手術1時間前にミーティング
急遽入院→急遽手術が決定したこの日、ちょうどプラスハンディキャップの理事ミーティングが予定されていため、佐々木代表理事(中央)と井上理事(左)が病室に集まる運びとなりました。
入院中に点滴打ちながらノートパソコン広げてミーティングとか、意識高すぎませんかね?プラハン、恐ろしい団体…!(結局、ミーティングってよりもお見舞いがメインになったようです)
病人に、素敵な嫌がらせ
手術前ということで、完全絶食中(食事はもちろんのこと、飲み物も禁止の状態)の重光さんの前で、大好きな缶コーヒーをシニカルな笑みで掲げる佐々木代表理事 兼 編集長との記念写真がこちらです。プラハン、恐ろしい団体…!(2回目)
さっそく、手術
そして、このミーティング終了10分後には、手術に臨まれました。
手術、終了
スヤァ…。(腹腔鏡手術のため、おへそや下腹部などに計3つほど小さな穴が空きながらお休み中)
手術後、目を覚ました直後は当然ながら手術による激痛があり、翌朝までベットから出てならないと指示されたそうです。翌朝、リバビリのために看護師さんから病棟を一周だけ散歩することを勧められるも、それがとても大変だったそうです。わずか50mほどの距離を歩くのに5分くらいかかったんだとか。
仕事人間 重光さん。手術後すぐに退院する
ところがどっこい、手術から僅か40時間後の様子がこちら。仕事のため、無理して退院し外出した結果、顔色がカラーコードでいうところの「#FFFFFF(White)」みたいな白さになってしまった重光さん。背面の文字と色味がお揃い。オシャレさんかな?
このほか、救急車での緊急搬送から退院までには、次のようなことも起こったそうです。
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<脳脊髄液減少症の重光さんが緊急入院した時あるある>
・救急車に乗り込む際には、保険等、携帯電話とクレジットカード、そして医療用麻薬だけは忘れず持参していく
・看護師さんから、「いま何か薬飲まれてますかー?」って問われたので、『医療用麻薬を貼ってます』と答えたところ、「なにそれー!なんで麻薬もってんの?!」って驚かれる
・手術前に麻酔科医さんからも「なんで麻薬貼ってるの?必要なことだから経緯を教えて?普段から麻薬使ってるなら麻酔の量を調節しないとね」とヒアリングされる
・脳脊髄液減少症を知らなかった担当医から色々質問され、逆にお医者さんに病室で30分ほど病気についてレクチャーする
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改めてお伝えしますが、今回の記事では、
『慢性的な激痛を伴う脳脊髄液減少症のせいで、痛みに慣れ、痛みを感じることが当たり前だったため結果的に大変な事態に繋がってしまった』
というお話をさせてもらいました。直接的に多くの人に何か参考になることはないかもしれませんが、これも現実に起こったリアルってやつだと思いますので記事とさせて頂きました。
さて、身体を張ったネタを提供してくれた重光さんが主導で始まりました新プロジェクト『脳脊髄液減少(漏出)症と”ほどほどに”付き合うためのライブラリー「feese(フィーズ)」』。重光さんのホワイトではない元気な状態の顔写真なども掲載されておりますので、ぜひ一度ご覧くださいませ。
(参考)
『脳脊髄液減少(漏出)症と”ほどほどに”付き合うためのライブラリー「feese(フィーズ)」』
https://feese.jp/
脳脊髄液減少症と”ほどほどに”付き合うための webサイトfeeseがサービス開始
https://plus-handicap.com/2016/06/7483/