うつを乗り越えても、生きているのは光と闇の狭間である。

私のうつ病が寛解して、すべての治療が終わって1年以上になろうかというところ。自分では完璧に乗り越えたつもりでいるけれど、やっぱりそうではないんだと思う瞬間が時々あります。このまま気分が落ち込んだまま、また再発への道を転がっていくのだろうかと絶望的になったり。
 

「うつは再発しやすい」という現実。それをまだうまく乗り越えられずにいるのかもしれません。
 

暗雲と海
 

うつは再発しやすいという現実

 

うつは再発しやすい。これはいろいろなところで言われています。実際に私も1度再発していますし、うつで悩む多くの人にも当てはまる現実だと思います。
 

なぜうつは再発しやすいのか。それにはさまざまな原因があると思いますが、私が思うに、たとえ寛解したとしても、うつになった根本的な原因が解決されていないから、再発するんじゃないかということです。その人の性格や考え方の癖。メンタル面に支障を来たしやすいような生活習慣。心を追い込んでしまう人間関係などの環境。これらの問題が解決しないと、本当にうつを乗り越えるということは難しいんじゃないかと、元うつ病患者として感じています。そして、それらすべてを解決することはすごく難しい。自分ひとりではどうにもできない問題が多くあることが一因です。
 

私が再発の恐怖から抜け出せない原因

 

うつが寛解したとはいえ、人並みに落ち込むことは当然あります。へこんで泣いて、そのうち立ち直ってまた元気になるという、きっと他の人でも頻繁に起こるような気分の変化はあります。うつを乗り越えれば、常にハッピーなわけではありません。
 

そんな気分の変化が当たり前だとわかっていても、「また再発するかも」という恐怖は常に近くにあります。普段は見えていないだけで。その原因のひとつは、私自身が人間関係を築くのが苦手だというところにあると思っていて、最近出会った人がそういうふうに私のことを見ているかどうかは分からないけれど、たぶんどこかで人の目を気にしているし、ふと話せなくなる瞬間があったりします。みんなが楽しそうにしていて自分も楽しく過ごしていても、急に気持ちが冷めて冷静になっていたりする。人といるのは好きなんだけど、どう過ごしていいかが分からない。そんな感覚。
 

たぶん小さい頃の出来事が背景にあるんだと思いますが、そのときのイメージが刷り込まれているから、なかなか払拭できなくて今も悩んでいるんだろう。そんな自分に耐えられなくて落ち込んで、これからのことを諦めそうになったときに、また私はうつの世界に行くんだなとぼんやり考えていたりします。
 

今のところ、うつの世界に再び足をつっこみそうになっては引っ込めて、を繰り返しているだけで、どっぷり漬かりこんでいることはありません。でも、こういった心の中の根本的な問題を解決しないと、私は私の中のうつを乗り越えることはできないんだろうと漠然と考えています。
 

水しぶき
 

問題と向き合う怖さと勇気

 

こういう、うつになるような原因と向き合うことは、ものすごく勇気がいること。普段は出来るだけ見ないようにして平静を装っているのに、そのどろっとした過去やまわりにある問題と向き合うということは、そのバランスを崩すことになります。やっと手に入れた「安定した状態」を手放すなんて、怖すぎて出来ない。
 

でも、そうやって逃げている限り、うつの再発は私のすぐ後ろにくっついて来ます。なにかのきっかけで顔を出して、あっという間に私のまわりを囲んでしまう。うつから完全に離れるためには、やっぱりちゃんと向き合わなくてはいけない。それがちゃんとできて初めて、うつを乗り越えたと言えるんじゃないかと、今は思っています。
 

明るい未来という光と、うつという闇。その境界にいる私は、今も綱渡り状態なのでしょう。
 

どうしてこういうことを書いたかというと、メンタルヘルスの分野でこれから活動したいと思っている私にとって、この問題を解決することが必須なんじゃないかと感じるようになったから。こんなに危うい状態では、誰かのために動くなんてできない。きっとどこかで心をやられてしまって、立ち直れなくなってしまうんじゃないか。
 

うつを克服した状態に自分を持っていくこと。自分がうつになった原因とちゃんと向き合うこと。それが、これからの私の課題だと思います。
 

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この記事を書いた人

小松 亜矢子

1984年生まれ。自衛隊中央病院高等看護学院卒、元うつ病のフリーライター。元精神科看護師。22歳でうつ病を発症し、寛解と再発を繰り返して今に至る。そんな中、自分自身のうつ病がきっかけで夫もうつになり、最終的に離婚。夫婦でうつになるということ、うつ病という病気の現実についてもっと知ってほしいと思い、ブログやウェブメディアを中心に情報発信中。孤独を感じるうつ病患者とその家族を少しでも減らすことが願い。