皆さん、こんにちは。心と体の健康を守るナースこと杉本九実です。
私はストレスケアを専門に行う保健師として活動していますが、なかなか人に言えないようなストレスを抱え、ひとりで苦しんでいる人がとても多いことを日々感じています。
前回の「ストレスでセックス失敗。ストレスはつらいよ男性編。」に引き続き、今回は女性編。女性として生きていくためには切っても切れない関係の「生理」についてお話したいと思います。
ストレスで生理がこないのは今も昔も変わらない?
女性にとって毎月1週間ほどやってくる生理は、体調も悪くなるし痛いしイライラもするし、やっかいだわと思っている人が多いはず。でも、いざ生理がこなくなると「妊娠?それとも病気?」と不安や恐怖を感じて悩んでしまうこともありますよね。
またこんな経験、女性なら一度や二度はあるのではないでしょうか?
「ここ1、2ヶ月生理がこない」
「生理周期が不安定で、いつも不安でいっぱい」
「仕事が忙しかったり、人間関係で悩んでいたりすると生理が遅れる」
生理不順はその大半が過度なストレスが原因だといわれています。現代社会はストレス大量生産の時代で、入学や就職、結婚、離婚、病気、環境の変化、人間関係などなど、女性のライフステージには様々なストレス因子がころがっています。
でも実は、現代だからストレスによる生理不順が増えているというわけではないんです。過去をさかのぼると、昭和18年の終わりくらいから昭和20年の終戦前にかけて、婦人科外来を受診する無月経の患者さんが増えたといいます。これは「戦時無月経」というもので、戦時下という環境の中で発生する特殊なストレスが原因だったようです。
このように、ストレスで生理がこないのは今も昔も変わりません。そしてストレスと生理不順が密接に関係していることも事実なのです。
生理不順はどうして起こる?生理の乱れはこころの乱れ
では、ストレスによる生理不順はどうして起こるのでしょうか?
まずはどこからが生理不順かを知ることが大切です。生理不順は生理周期が24日以内または39日以上のことをさします。そしてその原因は、何らかのストレス因子によって女性ホルモンのバランスが乱れることにあります。生理は基本的には女性ホルモンの卵胞ホルモン、黄体ホルモンによってコントロールされていますが、実際には体内のホルモン分泌のメカニズムはより複雑で、脳の視床下部、脳下垂体、卵巣という3つの器官が関係し合っているため、そのうちのどれかひとつにトラブルが発生すれば、すぐに生理周期に影響が出てしまうのです。
簡単にいうと、女性ホルモンも結局は脳がコントロールしているので、過度なストレスにさらされると、その影響を受けやすい場所(視床下部や脳下垂体)が疲れてしまい、コントロールがうまくいかなくなるため、生理不順が起こるのです。
まさに生理の乱れはこころの乱れ。女性の体はとっても繊細で正直にできていることを改めて感じます。
ただし一点注意が必要なことがあります。生理不順の原因はストレスだけとは限りません。ちょっとしたストレスで一時的に生理不順になっても、だんだん周期が戻ってくるなら問題はありませんが、卵巣や子宮に病気が隠れている場合や下垂体機能異常、甲状腺の異常、薬の副作用などが原因の場合もあります。3ヶ月以上生理不順が続くようなら、婦人科を受診することをおすすめします。
体にやさしい生活が生理不順を予防するカギ
ストレスに弱い女性の体を守り、生理不順を改善・予防するためには、心と体のストレスを減らすことが大切です。
生理不順を感じたら、まずは自分の生活をきちんと見つめ直すことからはじめてみましょう。1日3食バランスよく食べているか、十分な睡眠がとれているか、体を冷やすような生活をしていないか、急激に体重を減らすような間違ったダイエットはしていないか、たばこは吸っていないか、アルコールの量が増えていないか、これらをチェックしてみて思い当たることがあるようなら、生活を改善してみることをおすすめします。
また、ストレスと上手に付き合うことも重要なポイントです。たとえばヨガやアロマテラピー、瞑想法や太極拳などといった自律神経や女性ホルモンのコントロールにつながる運動を日常的に行ったり、趣味や好きなことをして忙しい日常から離れられる時間をつくったり、あるいはストレスをため込まないような考え方の転換をしてみたり。心も体もストレスフリーになれる機会を自分自身でつくることが大切です。
2回にわたってお届けしたストレスはつらいよシリーズ。性にかかわる症状や悩みは、当事者じゃないとなかなか理解しづらいところがあると思います。ぜひ「異性にはこんな症状や悩みがあるんだ」と知るためのきっかけになっていただけたらうれしいです。そして、ストレスが原因の症状や悩みを改善するためには、ストレスに負けない健康的な心と体をつくることが一番重要であるということを覚えておいていただきたいと思います。