「バイセクシャル」の恋愛って、実際はどうなの?

こんにちは!宇高みらんです。前回「ゲイの出会いと恋とセックス」を取り上げましたが、今回はバイセクシャルの恋愛事情について取り上げてみたいと思います。
 

今回インタビューさせていただいたのは、桜沢良仁さん(42歳)。バイセクシャルの世界は、私にとって全く未知の世界です。桜沢さん(以下敬称略)は「あくまでも僕自身の話で、バイ全般に当てはまるわけではないんですが」と前置きした上で、お話ししてくれました。
 

バイの「おつきあい」の仕方

 

宇 高:ズバリお聞きしますが、バイの方ってどんな風におつきあいされているんでしょうか?
 

桜 沢:「つきあいかたは、うーん、女性とつきあうときと、男性とつきあうときとで、だいぶ違いますね。まず女性とつきあう場合。これは「普通」のつきあい方と同じです。そして男性とつきあう場合。これは、ゲイの男性とつきあうことになりますね」
 

宇 高:なるほど。バイの男性じゃなくて、ゲイの男性と付き合うんですね。
 

桜 沢:そうです。バイとして男性を探すよりも、ゲイとして男性を探す方が、圧倒的に探しやすいんです。ゲイの男性とつきあうときは、自分もゲイとしてつきあいます。これは相手が女性のときも男性のときもそうなんですけど、自分がバイであることは、あえて言う必要がないときは言いませんね。
 

宇 高:その理由、伺ってもいいですか?
 

桜 沢:ゲイに対してわざわざ「女性も大丈夫です(=バイです)」って言うのってちょっとハードルが高いんです。バイであることはゲイの人にも理解されにくい。実際にゲイの男性とつきあうときに、自分もゲイであるという「設定」をするバイの男性は多いと思いますよ。ちなみに、ゲイに対して「バイである」とカミングアウトする状況の一つとして、「既婚バイですけど大丈夫ですか?」なんていうフレーズもあります。
 

宇 高:既婚バイ。なんだかすごいフレーズですね。ちなみに、そういったゲイの男性とはどういう風に出会われるんですか?
 

桜 沢:ゲイバーや、ゲイ専用の出会い系アプリ、それからゲイのサークルなんかもあります。バレーボール、テニス、吹奏楽など、いろいろあります。ゲイの世界の入り口としては、ゲイ雑誌なんかも重要なツールになっていると思いますね。
 

「好きなタイプ」が二種類!バイの性的志向

 

宇 高:男女どちらも好きになれるということは、「普通」の人よりも出会いが2倍あるということなんでしょうか?
 

桜 沢:単純に考えるとそうですね。でも、選択肢が多いのと、理想の相手が見つかるのは、また別の話だと思いますよ。
 

宇 高:確かにそうかもしれません。
 

桜 沢:それに、「どんな性別でもOK」という人は「パンセクシャル(全性愛)」と言われたりしますが、僕の場合はバイであってもパンではないと思います。たとえば、「自分は男でも女でもない、自分の性別を決めたくない、自分の性別をどちらかに認知したくない」という「中性」の人もいて、自分はそういう「中性」の人は恋愛の対象にはできないかなと思うので。
 

宇 高:バイセクシャルとパンセクシャルは別物なんですね。ちなみに、s桜沢さんの好きなタイプってどんなタイプですか?
 

桜 沢:僕の場合は男女でそれぞれ全く違うタイプが好きなんですよ。まず男性の場合は、あえてこういう言い方をしますが「男っぽい」タイプ。ストイックな感じの、バランスの取れた体つきの人が好きですね。芸能人で言うと、為末大。女性の場合は、かわいい系というか、「女っぽい」タイプが好きですね。髪が長くて、ちょっと不思議系の女性も好きです。芸能人で言うと、渡辺麻友みたいな。要するに、性格と見た目が一致しているのが好みなんですよね。
 

宇 高:好みのタイプが男・女の二種類あるわけですね。
 

桜 沢:好きなタイプを聞かれたときに、説明しづらくてしょうがないですね。両方説明しても、人から理解されにくいというか。だからやっぱり、そういう意味でも、「ゲイ」で通した方がラクなんですよね。
 

桜沢さんがバイであると気付いたきっかけ

 

宇 高:桜沢さんはどういう風に自分がバイだと気付かれたんですか?
 

桜 沢:そうですね。僕は高校卒業くらいまでは、自分は恋愛に興味がないタイプなのかなと思っていたんです。大学一年生のとき、はじめて女性とつきあったんですけど、そのときにはじめて、「自分は恋愛できるんだ」と。でも、結局その女性とはグダグダになって終わってしまって。そのとき、恋愛に疲れた、こりごりだという感じになって、「次は違うタイプとつきあおう」と思ったんです。その「違うタイプ」が、僕にとっては男性だったんですね。それでその次は男性とつきあいました。それからは、男、女、男…と交互になるような形で、つきあっています。
 

宇 高:「自分は女性だけじゃなくて、男性もいけるんだ!」って気づくのは、けっこう大きな価値観の変化ではなかったですか?
 

桜 沢:そうですね。直接的なきっかけは、先ほど述べた、はじめて女性と付き合ったときの「もうこりごりだ」っていう気持ちなんですけど、それ以前になんとなく「男性もいけるかも」と思ったこともあるんです。大学四年生のときで、ちょうど内定式の帰りだったんですけど(笑)、今はないのですが、当時大阪駅のキヨスクにはゲイ雑誌が置いてあったんですよ。たまたまその雑誌の表紙を見たときに、「あっ、かっこいい!」と思ったんです。それでなんとなく、「男もいけるのかな」と思うようになりました。とはいえ、はっきりと自分がバイであると自覚したのは、やっぱり男性とつきあったときですね。性的志向って、相手がいてはじめてわかっていくものなんだなあと。
 

バイセクシャルに関する昨今のトピック

 

桜 沢:バイの人は実際には、ヘテロとゲイの二つのコミュニティを行き来しているという側面があると思います。僕にとってはゲイのコミュニティのほうが多少ラクですね。どちらのコミュニティが居心地いいかは、人それぞれなんでしょうが、自分の外見がよりウケるコミュニティのほうが、ラクでしょうね。
 

宇 高:そういえば、「LGBT」の「B」ってバイの男性も、バイの女性も指しているんですね。
 

桜 沢:そうなんですよ。同じバイでも、バイの男性とバイの女性とでは、本当は全然違うんですけどね。「B」(バイ)と「T」(トランスジェンダー)の括りって、意外とざっくりしているんですよ。トランスジェンダーの場合は、少なくとも「性の越境」という一つのゴールを持っていると思うんですけど、バイの場合にはゴールがない。さらに、さっき言ったように、ゲイだと言っているバイも多いわけですから、どれくらいバイが存在しているのかもよくわからない。なので、バイって、非常にまとまりづらいんですね。それがバイの難しいところだと思います。ただ、「LGBT」っていうふうに記号化すること自体は悪いことだとは思っていません。記号化しないと広がらないので。ただ、LBGTの当事者側は、みんなもっと自分以外の性的志向についても知る努力したほうがいいなあと思っています。セクシャルマイノリティにも、本当にいろんなタイプがありますから。
 

宇 高:そういえばFacebookの性別って、「男」「女」以外にも、50種類ほどから選べるようになっているそうですね。
 

桜 沢:性の多様性を認めようというというのが、やはり昨今のトレンドになってきていますね。性的志向について、「自認する性別」・「体の性別」・「好きになる人の性別」の三つの軸で捉えよう、という考え方も出てきていますから。ほかに、最近では、10代のバイやゲイの子たちが、ヘンな入口から入っていかないようにしようという流れが出来てきていますね。たとえば、座談会を設けて、性的志向についてお酒抜きで話しあえる場を設けたり。最近では、大学のLGBTのサークルも増えてきましたね。
 

おわりに。

 

「バイの人って生きづらいのだろうか?はたまた生きやすいのだろうか?」という疑問を抱きつつ始めたこのインタビュー。桜沢さんのお話を通して見えてきたのは、バイの多様さ、そして「バイ」という概念自体のあいまいさでした。バイに限ったことではないのかもしれませんが、生きづらいか、そうでないかは本当に人それぞれなんですね。個人的には、桜沢さんから発せられている不思議なエネルギッシュさを、ビシビシ感じられたインタビューでした。
 

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