果たして花粉症患者は障害者になれるのか

 

花粉症の人を横目に「大変そうだねえ」と笑っていたら
とうとう自分も花粉症になったようです。
春に入ってから、くしゃみ・鼻の奥の痒み・目の痒みが激しくなりました。
症状のひどい人と比較するとまだ軽いですが、おそらくデビューです。

 

そして、花粉症になってようやくわかりました。
「両足の不自由さよりも、花粉症の方がよっぽど辛い」

 

伊勢旅行でやられました
伊勢旅行でやられました

 

今の症状だと、くしゃみと鼻水、目の痒みが厳しいので
・くしゃみ連発による作業の中断
・鼻づまりによる意識の朦朧
・目の痒みによる集中力の低下
この3つが仕事/日常生活に大きな影響を与えています。

 

多少、足が不自由でも、私の仕事に大きな影響を与える訳ではありませんが
花粉症による様々なストレスは、私の仕事から生産性を奪っていきます。
義足を履く足は治らずとも、花粉症だけは何としてでも治したい。
そんな気持ちが高まっています。

 

花粉症になってしまったが故に、詳細を知りたいなと思い、検索をかけると
花粉症ナビというサイトがヒット。
今や、何でもナビサイトがある時代ですね。

 

花粉症は一般的な病名として「季節性アレルギー性鼻炎」や
「季節性アレルギー性結膜炎」と呼ばれています。
スギやヒノキの花粉が主な原因(アレルゲン)となって、
鼻みず・くしゃみ・鼻づまり、目の充血やかゆみ、流涙などの
諸症状を惹き起こすアレルギー性の病気です。

 

花粉症はアレルギー性の病気。
アレルギーは治らなさそう。これは治るのでしょうか?

 

以前、読んだ本に「子どものアレルギーのすべてがわかる本
というのがあります。
かつて入社式の前夜に食べた貝にあたって、嘔吐・下痢・高熱にうなされ
社会人デビューした私が、前職のお客様と貝を食べにいくことになり
慌てて読んだのがこの本だったのですが非常に興味深いことが書いてありました。

 

整理すると、
“発症する年齢やアレルギーの種類によって、治癒するかどうかは変わる。
例えば乳児期に発症した食物アレルギーは小学校に入る前までに9割程度は
症状が出なくなると考えられている。しかし大人になってから発症した場合は
アレルギー反応が完全に出なくなるのは難しいと考えられている。”

 

そう、花粉症は治らない。特に大人になって罹患した私の場合は。

 

ここで考えてみたいのは、アレルギー性の不治の病の場合、
障害者になり得るのかどうかという点です。

 

心臓にペースメーカーを入れたり、人工透析を受けたりする方は
障害認定を受け、障害者として手帳をもらっています。
花粉症と比較すれば、命に関わるという点で病気は重たい印象ですが
治らないという点では似ています。
ある時期になれば、日々の活動に支障を来すという点では
かえって症状として重たいと言えるかもしれません。

 

ちなみに、障害者とはWHOでは以下のように定義されています。
“障害とは、身体の損傷、活動の制約、参加の制限が含まれる包括的な用語である。
損傷は身体における機能もしくは構造に対するものを指し、活動の制約は個人が
仕事や行動を行う際に直面する困難を指し、参加の制限は個人が生活する中で
体験する問題である。したがって、障害は複雑な現象であり、ある個人の肉体が
持つ特徴と、その人が生きる社会の特徴とがもたらす相互作用の反映である。”

 

花粉症によって、普段の生活が非常に辛いという場合、
障害認定(障害者ですと認定されること)を受けられそうな気がします。

 

障害認定で検索をすると、障害認定基準という分かりやすいサイトが出てきます。
花粉、アレルギーと行った原因となるもので障害が認定される訳ではなく
疾患によってどのような状態になるかがポイントであることが分かります。

 

花粉症によって呼吸器系に著しい支障を来しているとすれば
障害認定されるかもしれません。
アレルギーが原因となっている化学物質過敏症や気管支喘息は
障害認定を受けているケースが多々見受けられます。
(2級で認定されるという話ですので、両足機能障害の私と同じです)

 

花粉症は日本人の約25%が患っていると言われています。
もし花粉症が障害認定されれば、約3000万人が障害者デビューする計算です。
障害年金にかかる予算、障害者福祉に計上される予算を考えると
大変なことになりそうなので、きっと障害認定されないと思いますが。

 

花粉症の苦しみを考えれば、認定してもいいものだと思いますが
それ以前に、森を守るためにはスギを植えようというような流れを
食い止めることが花粉症患者にとって最適なのかもしれません。

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この記事を書いた人

佐々木 一成

1985年福岡市生まれ。生まれつき両足と右手に障害がある。障害者でありながら、健常者の世界でずっと生きてきた経験を生かし、「健常者の世界と障害者の世界を翻訳する」ことがミッション。過去は水泳でパラリンピックを目指し、今はシッティングバレーで目指している。障害者目線からの障害者雇用支援、障害者アスリート目線からの障害者スポーツ広報活動に力を入れるなど、当事者を意識した活動を行っている。2013年3月、Plus-handicapを立ち上げ、精力的に取材を行うなど、生きづらさの研究に余念がない。