「ゆとり問題」の本当の問題とは?(後編:原因を考察してみる)

年がかなり上に見られるため「坂本くんは子どもいるの?」とよく聞かれます。
すかさず「まだ26なので子どもどころか、結婚もまだですよー」と返します。
すると「え?そんなに若いの!?じゃあ、ゆとり世代か!!」と言われます。
残念ながら、どちらも違います。
老け顔だけど1986年生まれ。ゆとり教育導入前卒業。けーすけです。
この煮ても焼いても食えない感じが、実に私らしいですね。

 

さて本日は前回に引き続き「ゆとり問題」についてです。
皆さんもこの1週間でゆとり問題についてお考えいただけたでしょうか。
私の意見と比較しながらお楽しみいただけると嬉しいです。
それでは後編をどうぞ。

 

20120315「ゆとり問題」の本当の問題とは?(後編:原因を考察してみる)

 

前回はゆとり問題が騒がれるようになった原因が、

 ① メディアの過度な「ゆとり」批判とネガティブな解釈
 ② 大人(ゆとり世代以外)の自分たちを棚に上げた偏った解釈
 ③ ゆとり世代のメディア信仰と反論をしない姿勢

という3つに大別されるというお話しをしました。
今回はそのそれぞれについて考察してみたいと思います。

 

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① メディアの過度な「ゆとり」批判とネガティブな解釈
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まず気になる点は、ゆとり世代というキーワードが
他の世代と比べても目につくという事です。
世代には様々なカテゴライズがあるようですが、「団塊の世代」「バブル世代」
「氷河期世代」「ゆとり世代」といった辺りは誰しもが知るところでしょう。
それぞれのキーワードをgoogle先生とamazonさんに聞いてみました。
それぞれのヒット数は下記のとおりです。

20120315「ゆとり問題」の本当の問題とは?(後編:原因を考察してみる)データ1

このように世代として取り上げられる機会が多いのは「団塊の世代」と
「ゆとり世代」であることがわかります。
これはここ数年間の間で、ゆとり世代が社会人になりはじめたという時代背景と、
団塊世代が退職していったという時代背景からから考えれば、
当然と言えるかもしれません。
つまり団塊の世代とゆとり世代というキーワードは旬なのです。
当然、旬な話題に言及すれば読者もついてきますし、
簡単に言えばウケるわけです。
(ちなみにゆとり世代が社会人になり始めてからまだ2、3年という事を
考慮すると、この伸び方は団塊の世代と比べても、
多く取り上げられていると言えるでしょう。)

そして次に気になるのが、「ゆとり」というキーワードの大半が
批判的な内容であることです。
実際にネットで「ゆとり世代」と検索すると、その多くが、
“使えない” “常識がない” “どう付き合えば良いのか” “どう教育すべきか”
などについて言及されたネガティブな記事である事がわかります。

これに関してはあくまで私見ですが、ネガティブな批判の方がウケるから。
という理由が挙げられるのではないかなと感じています。
共通の敵を作ることで盛り上がるという事は、誰しも経験があることでしょう。
同様にゆとり世代も共通の敵として槍玉にあげられている恐れがあると思います。

このような理由から、ネガティブな情報が多く出回り、
ゆとり問題を加速させると同時に一人歩きさせているのではないかと考察します。

 

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② 大人(ゆとり世代以外)の自分たちを棚に上げた偏った解釈
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ネガティブな切り口の方がウケるというのは少なからずあるとは思いますが、
それにしてもゆとり世代には批判が多いように思います。
これは同じくらい取り上げられている団塊の世代と比べても明らかです。
むしろ団塊の世代は逆に「日本経済を作り上げた功労者」というような
ニュアンスで賞賛されるケースの方が多いように感じます。

ましてや団塊の世代を

・とりあえず良いものを作りさえすれば売れると勘違いしている
・例え間違っていても、自分が黒と言えば白も黒という横暴さを持つ。
・理屈でかなわないと「屁理屈を言うなと!」で押し切ろうとする。
・男尊女卑の考え方が根強く、時代錯誤している。
・過去の成功体験を手放せず、それが唯一解と思い込んでいる。

という特徴を持った、手におえない世代である。
などと揶揄するケースは非常に少ないのが現状です。
(例は坂本調べで上がってきた特徴を、あえて悪いように解釈してみました。)
さてこの批判と賞賛の差はなぜ生まれるのでしょうか。

その答えの一端は、古代エジプトにありました。
というのも「今どきの若いものは…」というフレーズはよく耳にしますが、
古くは古代エジプト時代のパピルスにも記載されていたと言います。
つまり太古の昔から若い世代を批判するのはお約束なのかもしれません。

またこれに加えて、表立ってNOと言わない日本人の特徴から考えてみても、
上司、先輩に対してあまり目立った批判は行わないのではないでしょうか。
そうなると、単純に矛先を向けられる絶対量はゆとり世代に向くわけです。

20120315「ゆとり問題」の本当の問題とは?(後編:原因を考察してみる)データ2

ちなみに私事ですが、私は年齢が26歳(1986年生まれ)という事がバレると、
急に「あー、ゆとり世代だもんねー。」などと言われます。
それまでは落ち着いているや、しっかりしているという評価を
してくださっていた方までもが、急にゆとり世代の特徴に当てはめて
私からその傾向を探そうとするのです。
そして一つでも該当箇所があれば「やっぱりね」と言われるわけです。
しかしながら前回も書きましたが、ゆとり世代はゆとり教育を受けた世代であり、
1987年4月以降生まれを指します。つまり私はゆとり世代ではないのです。
むしろ「ゆとり世代は…」という皆さんと同じ教育を受けてきた世代なのです。

このような傾向から考察すると、矛先を向けやすいゆとり世代を
集中砲火している可能性が高いという事。
ゆとりのネガティブイメージを、若者の中から見出そうと、
躍起になっている傾向がある事。が言えるのではないでしょうか。

 

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③ ゆとり世代のメディア信仰と反論をしない姿勢
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そして最後は本人たちの問題です。
ここまでは社会風潮や他の世代と比較してきましたが、
本人たちにも責任があるのは間違いありません。
まず、よく聞くゆとり世代の言い分をご紹介します。

・ゆとりって言うけど、ゆとり教育を作ったのは大人じゃん!
・やっぱり自分たちはゆとり世代だからダメなんです。テレビでも言ってたし。
・まぁ学校教育がそうだったから、仕方ないよね…。
・おっさん、うるせぇ。ゆとりゆとりって言うな。

などなど。
このような話を聞いて、私はなんてこったと思うのです。

彼らはネットネイティブなどとも呼ばれており、
メディアは切っても切れない存在である事は間違いありません。
それでもメディアのいう事を鵜呑みして、
勝手にネガティブなサイクルに突入している傾向はいかがなものかと。

そして何とか反論する若者もいます。
しかしその反論の、なんとも稚拙な事。
親世代のせいにして言い逃れ。
ゆとりって言うな!というだけでその先の主張のなさ
なぜ「ゆとりだって〇〇なんだぞ!!」とか、
「ゆとってますけど?何か問題がありますか?こんな強みがありますよ。」
くらいの事を言えないのでしょうか。

そこで明確な反論ができない事が、
このゆとり批判を助長させている一因になっている事は間違いありません。
つまり彼らにも大きな問題があるわけです。

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ここまで3つの原因について私なりに考察をしてみました。
私はこれらの考察から、ゆとり問題の本質はゆとり教育ではないと考えています。
ゆとり世代に対するネガティブな見解を蔓延させている社会風潮と、
それを助長するようなゆとり世代のスタンスに
この問題の本質はあるのではないでしょうか。

短所を叩くのではなく、長所をキチンと伸ばしてあげる。
現在のゆとり世代と呼ばれる若者たちの長所と短所を見極めて、
ポジティブな見解を広げていく事がこの問題を解決する唯一の方法なのです。

さてみなさんはゆとり問題をどう捉え、どのように解決していきますか?

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この記事を書いた人

坂本啓介

小学校の恩師に憧れ、教師こそ天職と信じ教員免許を取得するも、学校教育と社会が求める教育に差を覚える。勉強を教えることだけが教師の仕事なのか?人生経験をもとに子どもたちの土台を作ることが仕事ではないのか?伝えたいこと・必要なことを、声を大にして発信することは求められていないという教師の現実に葛藤を覚える。
自分の想いを堂々と、声を大にして発信する学び場を作るべく、2012年2月、神保町大学を設立。「考えるって楽しい」をコンセプトに、通常の教育機関が言わないタブーに挑み続ける。