障害のある学生への大学等での配慮188事例が紹介

独立行政法人日本学生支援機構は4月30日、全国の大学などで実施された障害のある学生に対する支援・配慮事例を計188例紹介しました。その内訳は視覚障害27例、聴覚・言語障害42例、肢体不自由38例、病弱・虚弱22例、発達障害35例、精神障害24例となっており、様々な状況から多様な事例を抽出するために、障害の種類だけでなく、大学等の形態(国公立/私立)や規模などから選択されています。
 

来年4月より施行予定の障害者差別解消法によって、大学の形態問わず障害者への差別的取扱いは禁止となり、国公立の場合だと合理的配慮の不提供の禁止は法的義務となります(私立の場合は努力義務)。今年度は法施行までの最後の1年。どのような合理的配慮を行うべきか、適切に対応するための参考として、今回の事例収集調査が行われました。調査対象は811校。障害のある学生が在籍している学校です。
 

同法人が考える「障害」は、「個人の問題」のみではなく「社会(環境)側の問題」という前提に立っています。その前提から合理的配慮とは、
 

障害のある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、大学等が必要かつ適当な変更・調整を行うこと。障害のある学生に対し、その状況に応じて、大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの。大学等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの。

 

という定義、考え方に則っています。(詳しくは下記参照ページをご覧ください)
 

大学の教室
 

私自身、両下肢不自由ですが装具や義足を履けば健常者と変わらないため、合理的配慮を受けなくても学ぶことはできました。ただ、通学時の困難さ、キャンパス内や教室間の移動の困難さを感じることはあり、もし広大な敷地のキャンパスに通い、敷地内での移動が自転車が主(障害上、自転車に乗れない)ならば、配慮を申請していたかもしれません。
 

聴覚障害であれば、講義を聞き取ることに困難があったり、視覚障害であれば、教科書や板書が読めない、ノートが取れないといった場合もあるでしょう。テストを平等に受けることができないという側面もあるでしょう。これらは配慮を要する一場面に過ぎません。障害があることで学ぶ機会が削がれるというのは非常にもったいないこと。今回のような事例の収集は非常に貴重なものですし、大学などを卒業した障害者OBOGが改善点を紹介していくことも必要なのかもしれません。

 

(参照)
独立行政法人日本学生支援機構ホームページ「障害学生修学支援情報 支援・配慮事例」より
http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/2014jirei_top.html#syoukai

独立行政法人日本学生支援機構ホームページ「大学等における合理的配慮の基本的な考え方」より
http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/guide/documents/kentoukai_houkoku_1st_summary2.pdf

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