病気?障害?私を定義するものって何?自分が何者かわからないので冒険に出ることにした:ボストン冒険記①

この連載は、メンタルの浮き沈みのある私が、今後の生き方を探る冒険記。
 

2020年8月までのハーバードメディカルスクール編ではメンタルヘルスに関する研究活動を通して自身の病気・障害、そして社会と向き合う中で、自分が「何者か?」を考えていけたらいいなぁ。
 

ボストン冒険記
 

自分は何者なのか。何を核にして生きていく人間なのか。この疑問が常に頭のどこかでぐるぐるしていています。
 

ルーツ、仕事、趣味、生きがい…くくりは何でもいいと思います。病気や障害もその一つに入ってくるかもしれません。私の場合は双極性障害という精神疾患があります。
 

何をもってして自分を表すか、どんな自分を信じるか。自分を定義づける何かが多分あるんだと思うけど、なぜだか何もしっくりこない。
 

私は自己紹介が苦手です。どんな言葉で自分を表現すれば過不足がないのか、自信が持てない。「私は〇〇です」と定義するのは、シンプルなことだけれどもすごく難しいです。
 

これまでいろいろなことに携わってきたつもりだけど、どれが自分の核なのかは結局わかりませんでした。
 

「それ」が見つからないというか、本当は既にあるのかもしれない。けど、どれなのか決められていない?あるいはこれから新しく取り組むことなのかもしれない。
 

自分が何をしている人間か説明できない気持ちの裏には、何者でもない=何の専門性もない、というコンプレックスもあります。何を自分の武器として物事を語るのか。語れない自分がすごく恥ずかしいし情けない。
 

ずっと考えあぐねていた私ですが、このモヤモヤを振り払うきっかけとなればと思い、とある挑戦を決めました。海外で1年間、メンタルヘルスの問題について勉強しつつ自己研鑽をするというものです。
 

私は罹患して10年程経ちましたが、病気と自分の人生の関わりについてじっくり考えたいとずっと思っていました。全く考えていなかったわけではありませんが、10年経ってなお、私はこの病気とちゃんと付き合っていくことができるのか、いや、付き合っていくしかないんだけど実際どうしていくのか、実は今もそんなに明確ではありません。
 

今までのように堂々巡りに悶々と悩むのではなく、具体的に頭と体を動かしながら「次にできること」を考えていきたいと思っています。
 

前半の半年では、アメリカ・ボストンのハーバードメディカルスクールで客員研究フェローとして、メンタルヘルス関係の研究室に所属しながら、精神疾患の予防策に関する研究をします。また、研究活動を通じて精神障害者にとっての「インクルージョン」について考えることも目標としています。
 

後半の半年では、ニュージーランド・オークランドにある現地のメンタルヘルス関係のNPOでインターン生として活動予定です。ニュージーランドは、「インクルージョン」が早くから検討されてきた国でもあります。その社会のあり方から、いろいろと学んできたいと思っています。
 

この一年の挑戦の目標は、メンタルヘルスをめぐる海外の動向をたくさん学ぶことはもちろんとして、それだけではなく、その土地でしか出会えないいろんな人と会い、いろんな場所に行き、異なる文化や価値観。生活スタイルの中で、今までとは違う視点で自分を捉え直し、今後の自分の指針となる「何か」を得る機会にもなればいいなと思っています。
 

ボストン冒険記
 

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今回の海外研修は、公益財団法人ダスキン愛の輪基金が実施している「障害者リーダー育成海外研修派遣事業」の第39期個人研修生として選んでいただいたことにより実現しました。
 

ダスキン愛の輪基金|
https://www.ainowa.jp/index.html
 

ミスタードーナツのレジ横の店頭募金もこの事業につながっています。全国の皆様のご支援のもとで学ばせて頂いております。
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この記事を書いた人

杦本 友里(すぎもとゆり)

1988年茨城県生まれ。双極性障害2型当事者。障害の受容はまだ途上。躁の波も鬱の波もまだうまく乗りこなせないけど、こんな自分だからこそ生きられる道を模索中。とはいえ、自分探しをして果たして何年経ったことか。でも、病気になってから将来のことを考えるのがますます難しく感じている今日この頃。日々の小さな発見を大事にしながら、執筆やイベントを通じて、少しずつでも「違う視点」との橋渡しができれば。