「死にたい」ーそれは、うつ病になった患者がしばしば発する言葉。口にする方にも口にされる方にも、重たい言葉です。
うつ病になると死にたくなるらしい、そんなことはなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが、実際に大事な家族や友人、恋人からそんな言葉を言われたら、大きなショックを受けるでしょう。「私がいるのに、どうして…」と、支えたいと思っている自分の存在を無力に感じてしまうかもしれませんし、支える意欲も奪われてしまうかもしれません。
しかし、そこまで自分を責める必要はありません。前回の記事(「生きたい」と「死にたい」の狭間で揺れる心。)にも書きましたが、その言葉は今の辛い状況を表現するためのものであって、実は心の底では生きたいと願っていることもあると思うからです。
「死にたい」と言われたらどうすればいいのか?
1.理解を示す
「死にたい」という言葉は、自分のつらい状況をどうにか伝えるためのSOSの言葉。だとすればまずは、その思いを受け入れてあげることが必要です。
「死にたいと思ってしまうくらいつらいんだね」と、理解を示すこと。その気持ちが全てわからなかったとしても、つらい状況にあるんだということを汲むことができればそれでいいと思うのです。
「そんなこと言ってはダメだよ」と否定してしまっては、SOSを発することができなくなってしまい、いよいよ追い込まれてしまいます。その言葉を否定することは、本人に対して無理解を示すのと同じこと。だからこそ、まずは、理解を示すことが重要なのです。
2.行動を見守る
次にすべきことは、行動を見守ること。心のどこかに生きたいという思いがあっても、死にたいという思いに負けてしまえば、実際に行動に移してしまいかねません。命を落とすような行動をしようとしていないか。そこは注意しておく必要があります。
お互いうつの経験がある私たち夫婦は、どちらかがそこまで追い込まれてしまったときには、仕事を休んで相手のそばにいるようにしていました。自分がそばにいられないときは、近くに住む夫の両親に声をかけたりもしました。そうやって見守る大勢の存在も大切になってきます。
3.逃げることを許す
死にたいと思うまでに追い込まれた状態で、何かをすることは難しく、無茶な負荷をかけるくらいなら、置かれている状況から逃げるのも必要です。
仕事は休職、学校なら休学、家事もしばらくお休み。辞めるとか引っ越すとか離婚するとか、そういった決断は後回しにして、とりあえず考えることから離れてみる。それをできるように導いてあげるのも、支える側の大事な役目だと思います。
休むことは、支える側としては焦るかもしれませんが、長い人生をよりよく生きるためには必要な時間です。本人が休むことを決断できずにいるなら、そっと休んでもいいんだよと声をかけてあげてみてはどうでしょうか。
これらはすべて、私が実際に「死にたい」と思っていたときにしてもらって救われたことであり、夫に対してもしたことです。
そんな言葉、言うべきではないことくらい、頭ではわかっています。でも、言わなくては潰れてしまうのです。心が死ぬ寸前なのですから。そんな状況を受け入れてあげるだけでもきっと、言った本人は救われるんじゃないでしょうか。